神隠し?
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何を言っているんだ?自分は苗字でしか呼んでいないから名前をど忘れしたとか?
『杉浦文也だけど。私の彼氏』
八「は!?名前ちゃん彼氏いたの!??初耳なんだけど」
『え、え?』
まずは八神の記憶喪失を疑った。
頭でもぶつけたのではないか、と聞くが特にぶつけてはいないらしい。
そんな話をしていると海藤が出勤してくる。
海「はよー『海藤さんっ!』
挨拶をしようとする海藤に詰め寄る名前。海藤は驚いて後退っていた。
海「な、なんだよ名前ちゃん」
『八神さんがおかしいの!』
八「は?俺は何も」
『だって文也くんのこと知らないっておかしいでしょ!』
『ね!?』と海藤に同意を求める。
しかし
海「あ?文也って誰だ?」
その言葉に絶句した。
そしてもう一つの可能性を考えた。
『わかった、私を驚かそうとしてる?』
八「いやいや、名前ちゃんにそんな冗談言わないでしょ。」
そうだ、八神たちは名前のことをよくわかっているため、本当に困らせるような冗談など言ったことがなかった。
『っ・・・ちょっと、ごめん、お昼には戻る』
八「落ち着いたら帰っといで」
『うん、ごめん』
こうなったら杉浦の家に行くしかない。
そう思い、事務所を出て杉浦の家に急いだ。
『嘘、でしょ・・・』
杉浦のマンションには仕事柄なのか“寺澤”も“杉浦”も表札が掛かっていない。
しかし今は“山田”の文字。
杉浦ではない誰か他の人が入っていることが伺えた。
『何で・・・・』
杉浦の実家まで行こうかと思ったが、もうわかった。
何かしらの理由で杉浦が消えたのだ。
名前以外の人の記憶から、全て。
『そんなの、フィクションじゃん』
テレビで見た神隠し、宇宙人、そんなことあるわけがない。
だが実際にいないのだ。どこにも存在しない。
『・・・・・・』
泣きそうになりながら一度自分の家に戻る。
『無い・・・』
朝は気づかなかったが、家の机の上にあったはずの杉浦と名前の写真がなくなっていたのだ。
『え・・・・まさか』
ベッド脇にある引き出しを開ける。
そこにはいつもならアルバムがある。杉浦との思い出もその中には入っているはず。
ペラ、ペラ、と捲っていく。
松金組
八神探偵事務所
源田法律事務所
『ないっ・・・ないよ・・・』
やはり杉浦の写っている写真だけが綺麗さっぱり無くなっていた。
なぜ、
なぜ・・・
ズキンッ
『っ・・・』
頭に痛みが走る。
そして
『え、何、してたんだっけ』
誰か探していたような・・・
忘れちゃいけない
思い出せない
忘れちゃダメ
何もしてなかった
『だめぇぇええ!!』
ガバっと起き上がる。
キョロキョロと周りを見ると
杉「大丈夫!?」
杉浦が名前の肩を揺さぶり、顔を覗き込んでいた。
『はぁっ・・・はっ、はぁ・・・』
息が苦しい。
いつものように杉浦は落ち着いて背中を擦ってくれた。
名前は杉浦の背中に腕を回し、ぎゅっと掴んだ。
『文也くんっ・・・文也くん!』
杉「いつもウチに来る時間に来なかったから勝手に上がらせてもらったよ。
そしたらかなり魘されてたから驚いたよ。どうしたの?」
『っ・・・文也くんが、いなくなっちゃう、夢っ、見たから・・・』
嗚咽を漏らしながら必死に話す名前。
杉浦がいなくなったのは夢だったのだ。
安心したら涙が止まらなくなる。
杉「何その夢。大丈夫、僕はここにいるよ」
『文也くんっ、文也くん・・・』
杉「はい、ここだよ」
夢は基本的に記憶力に関係していないため忘れることが多い。忘れるまでは精神が不安定になることもあるが、忘れてしまえば大丈夫だった。
しばらく抱き合いながら名前が落ち着くまで待った。
『・・・ありえない話なのにリアルすぎた』
杉「夢が?」
『うん』
泣き止むと突然普通のトーンで話し出す名前に少し笑ってしまった。
昨日、“世にも不思議なミステリー”を少しだけ見てしまったことを話す名前。
杉「僕も見たよ、神隠しとかのやつでしょ?」
杉浦が言うには、その番組で取り上げていた少年がいなくなったのは神隠しでも宇宙人でもなく監禁されていたということだった。
『それも怖い』
杉「ふふっ、でも存在が消えるなんてあり得ないから安心して」
『そうだね』
杉「ご飯食べて横浜行こう」
『うん、ごめんね、家に来てもらっちゃって』
杉「早く会いたかったから」
『ははっ、ありがと』
仲良くご飯を食べて横浜に向かった2人だった。
おわり
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