第1話 始まり
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母「名前ー、ほら、遅れるわよ。転入初日から遅刻なんて笑えないからね!」
『はーい!わかってるよ!』
20XX年4月
名前は16歳になっていた。
以前の世界線とは違うのか呪術師のいない世界だった。平和な世界で第二の人生を楽しんでいた。
高校2年生になるタイミングで引っ越し、新しい高校に通うことになっている。
『お兄ちゃん!お願い送ってって!』
兄「ん?しょうがねぇなぁ」
父「お父さんが送ってくか?」
『お父さんは電車出勤でしょ!』
名前には前の人生の記憶があった。呪術師として生きた記憶が。
そして第二の人生を楽しんでいる理由は、平和だからというだけではなかった。
大好きな父母兄が一緒なのだ。
前の人生ではなし得なかった平和な日常を父母兄と送れるというだけで幸せで仕方がなかった。
父の転勤に合わせて東京に引っ越してきた苗字家は、新しい環境に向かうためにドタバタしていた。
兄はもともと東京で会社の社長をしており、引っ越してきた名前たちが慣れるまで一緒に生活をしてくれることになっていた。
『行ってきまーす!』
母「気をつけてね」
父「東京には悪い男がたくさんいるから気をつけろよ!」
『はいはい』
兄の車に乗り込み、入学する高校へと向かった。
ドキドキしながら周りの景色を見ていると、兄が話しかけてきた。
兄「まぁ楽しんで来いよ、高校生の青春は短いからな」
『ははっ、なんかジジ臭いよ?
でも、そうだね。青春を大事にするよ』
日々の尊さはもうすでに知っている。一日一日大切に、周りの人を、自分を尊重しながら生きてきた。
『(自分を大切に。自分を大切にしてくれる人と幸せに・・・)』
前の人生で五条が遺した手紙の内容は今でも鮮明に覚えている。その言葉が今の名前の生き方を支えていた。
兄「おーい、着いたぞ」
『え、もう?』
随分ボーっとしていたのか、もう高校のすぐ傍まで着いていたらしい。
『ありがと!』
兄にお礼を言うと、車から出て学校までの道を歩いた。
同じ制服を着た人たちがたくさん歩いているという事実に、田舎の高校とは違うのだという自覚が湧いてくる。
『えーっと・・・職員室に行けば良かったんだよね』
今日は1年生は入学式があるが、2、3年生は始業式のみで終わりだ。
始業式の際に転入生は紹介されるため担任の先生とともに教室に行くことになっていた。
ガラ・・・・
『おはようございます、今日から転入する苗字名前ですけど・・・』
「あ、転入生ね、今日からよろしく。貴女はD組なんだけど、今担任の先生は入学式に出たきり帰ってきてないから、私と一緒に行きましょう」
その先生は、2年生の補助の先生だという。
これから始業式をするのに転入生のいるクラスの担任がいないとはどういうことだ。
自由な学校なのかな程度に思い、名前はその先生とともに教室へ向かっていった。
ーーーーーーー
「じゃあここで一回待ってて」
『はーい』
転入生あるあるだ。一度廊下で待たされ、名前を呼ばれたら入る。
なぜ一度廊下に待たせる必要があるのだろうか。そんな事をボーッと考えていると、入っていいと声がしたため、教室の中に入る。
教室の中は大分ざわついている。転校生が来ると言われて浮ついているのだろう。
ガラッ
スタスタ
女子だ、可愛い、などの声がする。
自意識過剰ではないのだが、どれも一応は聞き慣れた言葉なので動揺はしていなかった。
「は??」
「え??」
「はぁあ!??」
しかし、名前が入ったことで、教室の中から誰よりも動揺したような声が3つ響いた。
『・・・・・え』
声のした方を見ると、名前も目を見開く。
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