第20話
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《それでは両者揃ったところで、式神タッグ呪法デスマッチのルールについて説明します》
新八が倒れていてもそのまま続ける司会者。
各々式神とタッグを組み、さまざまな呪法対決を3戦行うらしい。
《この勝負によって死者が出ることがあっても法的機関は一切関知しません!》
『警察見てるけどね。ま、キミたちがどうにかなりそうだったら助けるから頑張ってー』
《それでは1回戦のルールの説明にうつります》
対決するステージが変化する。大がかりな対決だ。
《1回戦目の競技は、術者と式神二人三脚による・・・》
新「ひょっとしてパン食い競争とか!?それなら勝ち目があるかも!」
運動会でよくある競技、パン食い競争なら力を使う必要もないため勝てるかもしれないと期待が高まる。
しかし、その期待は思わぬ形で打ち崩された。
《パンデモニウム食い競争です》
通路の先には、パンではなくパンデモニウムがぶら下がった棒があった。
パンデモニウムと呼ばれたものは、巨大なイモムシに人間の顔のようなものがついた生き物だった。ヌルヌルしてそうで、目も鼻も口もハッキリしすぎていて正直気持ち悪い。
『うえ・・・足いっぱい、顔も無理』
新八も冷や汗をダラダラかきながらパンデモニウムとは何だと聞いている。
外道丸がいうには、式神の好物、幼生の妖虫らしい。スナック感覚なのだとか。
『不知火は好き?』
不「無理です」
『だよね』
《それでは、位置について》
新「つかね〜〜!!絶対イヤだ!!僕は絶対行きません!」
新八は駄々をこねるように言うが、遂にスタートの号令がかかってしまった。
号令とともに神楽は走り出す。二人三脚のため、足は繋がっており、当然夜兎族で力の強い神楽に引っ張られる形になる新八。仰向けに倒れ込み、ガリガリと後頭部を地面に擦りながら引き摺られていった。
パンデモニウムの所に辿り着く神楽と新八。巳厘野衆は巨大な式神を出してしまったため歩幅が合わず、二人三脚に苦戦しており、まだスタート地点から進めていなかった。
今がチャンスだ。
神「立てェ新八!早くパンデモニウムを食べるネ!!」
新「ムリィィィ!!パンデモニウムだけはムリィィィ!!だってこっち見てるもの!こっちガン見だもの!」
神楽は、カニと同じだ、カニやタコ、貝にアンコウなどのゲテモノほど美味しいと銀時が言っていたと叫ぶ。
新八美味しくてもあんな化け物は無理だと叫び返していた。
そうこうしているうちに、巳厘野衆もパンデモニウムの所にやってきた。負けるわけにはいかないと新八は意を決してパンデモニウムに食いつこうとする。
しかし、パン食い競争と同じで、縄が揺れて上手く齧ることができない。
新「クソ、あともうちょい!」
何度もジャンプを繰り返す新八。
そしてその時
ちゅっ
突然固まる。
新「・・・ファーストキス・・・いや、なんでもない」
神「は?」
新「き・・・気を取り直していこ・・・」
「・・・しも」
パンデモニウムの唇と新八の唇が当たったようだ。童貞でキスもしたことがなかった新八は顔を赤くしていた。
さすがに大騒ぎをするところではないと、気を取り直して食べようとすると可愛らしい小さな声が聞こえた。
「私も・・・始めてだった・・・」
その声は、パンデモニウムから聞こえてきたらしい。
《おおーっと、これは思わぬハプニング!結野衆チーム、偶然にもパンとハプニングキスを交わしてしまったようです!》
『あっはは!新八くん初心すぎて可愛い』
銀「いや、笑ってる場合じゃねェだろ!食えェェェ!早く食えェェェ!!」
周りの巳厘野衆も、新八とパンデモニウムの恋にヒューヒューと言って冷やかしている。
新「ス、スイマセン、そういうつもりじゃなかったんです。ゴメンなさい・・・こんな形で、その・・・大切な初めて、奪っちゃって・・・」
パ「べ、別に・・・気にして、ないから」
新八の優しさに顔を赤くするパンデモニウム。照れたように目線を外し、手を顔の前に持っていっていた。
新「べ、別にパンデモニウムさんは好き好んで僕にキスしたわけじゃないし」
銀「パンデモニウムさんって誰!?クラスメイト!?」
フワフワとパンデモニウムと新八の間には花が見え、穏やかな空気が流れる。パンデモニウムの顔もどこか可愛らしく見えてきた。
金髪長髪のキラキラした眼。
銀「誰だコレェェェ!!パンデモニウムさんこんな顔してたっけ!?」
新八はどんどんパンデモニウムに惚れ込んでいっているようだ。
神楽に早く食べろと言われ、我に返ると再度ジャンプしてパンデモニウムを食べようとする。
フッ
パ「あん♡」
突然の甘い声にドキドキが止まらない新八。どうやら新八の角がパンデモニウムの胸に当たったようだ。
パ「次は、声出さないように我慢するから・・・」
新「あ”あ”あ”あ”あ”」
とうとう奇声をあげて頭を抱える。
と思ったら、胸がドキドキして息が苦しいのかヒューヒュー言いながら胸を押さえ、情緒がおかしくなっているようた。
銀「バカなの?あの子バカなの!?」
『あはははっ!あはっ、はは!』
銀「笑ってる場合じゃねェ!!俺はいろんなものが心配でなんねェよ!!」
この勝負もだが、従業員である新八の脳内も心配になっているようだ。
パ「ありがとう、最後に私を女の子にしてくれて」
新「(ムリだァァァ!!こんな素敵な娘、僕には食べることなんてできない!!)」
噴水のように吐血し、ガクッと膝をつく。
パンデモニウムは、新八に食べられたいと主張するが、その言葉も今の新八には効果抜群だ。どんどん食べにくくなっている。
そうこうしているうちに、巳厘野衆の式神がパンデモニウムを食べてしまった。このままでは負けてしまう。
パンデモニウムは、食べやすいように自分を床に落とすよう指示する。
しかし、もちろん新八にはそんなことできるわけがない。躊躇っていると横から神楽の声がする。
神「新八どくネ、私に任せとけ!ほあちぉぉぉ!」
ドゴォッ
神楽はパンデモニウムの脇にとんでもない勢いの蹴りを入れた。その勢いに縄が切れ、パンデモニウムは跳んで行ってしまった。
そしてパクン、と巳厘野衆の式神の口にちょうどイン。
新「何をしとんじゃァお前はァァァ!!おいィィ!パンデモニウムさんを返せェェ!」
食べるパンデモニウムが無くなってしまえば、パン食い競争に勝てるわけがない。勝利は絶望的かと思われたが・・・
神「まだだァァァ!!」
ドォォン
神楽が巳厘野衆の式神の腹部に思い切り蹴りを入れる。先ほどからずっと蹴っているのは、パン食い競争で手を使ってはいけないと言われたからなのだろうか。
いや、そんなことはなかった。
次はドゴッ、ドゴッと大きな式神からマウントポジションをとり、腹部に拳を何度も入れていく。
『まぁ、攻撃しちゃダメっては言ってないからね』
そして遂に
ゲボロシャァァァァ
式神は胃の中のものを全て出してしまった。
そしてその中からパンデモニウムらしきものを2つ取り出す神楽。
新八にどっちを食べるか平然と聞いている。
新「食えるかァァァ!!!」
第1戦目は引き分けに終わった。