第7話
夢小説設定
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しばらくすると道場の人だろうか、ご飯の準備ができたと近藤を呼びに来た。近藤は名前を立たせると一緒に食堂へと向かって行った。
とある部屋に入ると、そこは大きな広間で、数人分の食事が置かれていた。
近「すまんな、名前ちゃん。まだ飯を食ってなかったヤツが何人かいるみたいでよ、そいつらも一緒でいいか?」
自分の方が余所者なのに意見を言うわけには行かず、小さく頷いた。
近藤もご飯を食べるようで、大盛りご飯のよそってある箱膳の所に座った。
その隣には、可愛いサイズのおにぎりと漬け物、味噌汁が乗っている箱膳。そこが名前の席だと言われ、ちょこんと座る。
すると、
「沖田先輩メシっす。行きますよ」
「だぁあ!引っ張んな!それが先輩にとる態度か!」
言い争う声がしてそちらを見ていると、先ほど頭をぶつけた少年と、ポニーテールの男性が来た。
近「オイ、トシ、総悟、飯の時間はふざけるなって言ってるだろう!」
近藤の声に少年と男性は止まった。というより、近藤の横にいる少女を見て、だが。
「あ、あんたさっきの石頭女ですねィ」
「こんなガキが何でここに?」
『わ、わ・・・・』
いきなり酷い言葉遣いが飛び交い、近藤以外の面子は怖い人ばっかりなのかと思い始める名前。
近藤は、少年沖田総悟を口と性格は悪いが良い奴だと、男性土方十四郎を口と目つきは悪いが良い奴だと紹介する。
近藤は名前がここにいる理由も2人に話した。
2人は「ふーん」とだけ相槌を打つと、自分たちも食事の前に座った。
近「それじゃあ、いただきます!」
「『いただきます』」
小さいおにぎりを1つ、手にとってみる。温かい。
温かいご飯などいつぶりだったか。
1人のときには、その辺に生えている木の実などを食べて飢えを凌いでいた。時にはごめんなさいと思いながら、お墓のお供え物を食べたり。
夢なのではないかと思いながら、恐る恐るおにぎりを口に持っていく。
『美味しい・・・』
近「ガハハッそりゃあ良かった!」
ちびちびおにぎりを食べていく。
弱った胃には大量の食べ物は受け付けられず、結局半分ほど残してしまったが、
近「少しずつ回復していくといい」
と近藤は笑っていた。どこまで心の広い人なのだろう。
そこでふと気がついた。
『そういえば、服・・・』
自分はボロボロで泥だらけの着物を着ていたはず。
しかし今は綺麗な薄緑の服だ。
近「それは総悟のだ」
『・・・・何歳ですか?』
少年の服を借りていたらしい。少しだけ小さい感じがするがほとんど同じサイズだった。
沖「8歳でさァ」
5歳も年下の男の子の服が着れてしまったことに落胆した。沖田はどこか勝ち誇った顔だ。
近「さて、名前ちゃん、これからどうする?」
食事を終え、食事を下げてもらうとその場で話をする。
近「給仕の手伝いをしてもらうのはどうかと思ってるんだが」
『私にできることは何でもやります!でも、私も道場で稽古もしたいです』
近「なっ!?いやいや、名前ちゃんは女の子だ、道場で稽古なんて!」
もちろん、助けてもらったからには手伝いはできる限りしたい。しかし、この道場で門下生として稽古もしたいと思ったのだ。
『でも私、多分普通の女の子より強いです』
浪人から逃げている時、大の大人を振り切る足の速さがあり、時には木の棒で応戦した。体力がなくなってきた時はしんどかったが、体力があれば大人数人木の棒で伸すこともあった。
それを話すと近藤は感心していた。沖田と土方は疑いの目を向けてきたが。
沖「いーんじゃないですかィ?一回痛い目見れば無理だってわかりまさァ」
土「俺ァどっちでも構わねェ」
数日後、名前の体力が回復してきた頃、道場では名前と門下生の男が向き合っていた。
近「無理だけはしちゃダメだからな?」
『はい』
目の前にいる門下生とは身長差は何十センチもある。周りの門下生たちは名前に勝ち目がないと、親戚の子どもを見るような目で見ていた。
名前と手合わせをする門下生は、傷つけたり泣かせたりしてしまうのではないかとビクビクしていたが。
近「それでは、はじめ!!」
動かない門下生と名前。名前は手加減しなくていいと話す。
門下生はギリッと竹刀を強く握りしめると、名前に向かって行った。
ヒュッ
「なっ」
門下生の渾身の振りは軽々と避けられる。負けじと今度は竹刀を薙ぐがスパンと名前の竹刀によって弾き返された。
そして門下生の目の前に竹刀を突きつけた。
近「速い・・・」
門下生たちは全員唖然としている。
ただ竹刀を避けるだけであれば、小さい子どもでもできるかもしれない、しかし相手の竹刀を弾き眼前に竹刀を持って行くのは剣術を少しでも齧っていないとできないだろう。
近「ほぉ・・・じゃあ次はトシとやるか?」
土「あ?」
「マジすか!?怪我じゃ済みませんよ!?」
「さすがに土方さんとは・・・」
近藤の言葉に周りから心配の声が上がる。
しかし、名前は大丈夫だと言い、土方の方を向く。
土方はゆっくり稽古場の真ん中に出てくる。
名前と土方は静かに睨み合う。
近「それでは、はじめ!」
ザッ
パンッ
パァン!
パンッ
「あの土方と互角だぜ」
「何モンだあの子」
土方と名前は何度も竹刀をぶつけ合う。
相手の身体に竹刀を振り下ろそうとしても躱すか竹刀でいなされる。
それの繰り返しだった。
何分闘っていただろうか、
『はあっ・・・はっ・・・っあ!?』
息があがり、反応が遅れてしまった。
土方の竹刀が下から振り上げられ、名前の手にビシッと当たる。痛みに手の力が抜け竹刀を落としてしまった。
土「勝負ありだな」
『・・・負けました』
静まりかえる稽古場内。
全員土方と名前の動きに見入っていたようだ。
近「ハッハッハ!凄いな名前ちゃんは!どこかの道場の門下生だったのかもな!」
その日から名前はこの道場の一員となった。