第7話
夢小説設定
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10年前
あれは暑さが和らぎ、秋の訪れが感じられる季節のことだった。
『はぁ・・・はぁ・・・』
名前は川の辺りで目を覚ました。
服も髪もびしょ濡れで、身体中が痛む。
寒い
痛い
ここはどこ
私は・・・
『・・・・・』
名前はフラフラと立ち上がり、足取り重く歩き始めた。
目的などない。ただ何かから逃げるため、生きるため。
ひたすら森の中を歩く名前。
空腹と疲労、身体の痛みで意識が朦朧としてきた。
『(だめ・・・倒れちゃ、また、怖い人に・・・)』
その時、視界が開けて建物が見えた。
そしてその建物から人が出てくる。良い人か悪い人か分からないため様子をうかがわなければ、そう思うのに身体は思うように動かない。
名前はそのまま地面に倒れた。
『(まだ、死ねないのに・・・生きなきゃいけないのに・・・)』
「オイッ、嬢ちゃん!」
建物から出てきた人物が大声を出して駆け寄って来る。
しかしそのまま名前の意識は闇に飲まれた。
『・・・・ハッ!?』
ゴチン!
「ってェ!」
『ったぁ・・・』
名前が目を覚ますと知らない天井が見えた。
ハッとして身体を勢い良く起こすと頭に衝撃が走った。
「てめー、どのタイミングで起きてんだよ」
『え、あ、ごめんなさい』
目の前には額を押さえている栗色の髪をした少年がいた。
名前よりも年下に見える。
咄嗟に謝ると、額を押さえた少年は立ち上がりどこかへ向かった。
「とりあえず近藤さん呼んで来るからここで待っててくだせェ」
『はい・・・』
近藤とは誰なのだろうか、不思議な喋り方だな、と思っているとドタドタ廊下を走ってくる音が聞こえる。
スパァアン!
襖が壊れるのではないかという速さで開けられ、ゴリラのような男性が入ってきた。
「起きたか!体調はどうだ?」
『えっと・・・まぁ、大丈夫です』
体調はどうだと聞かれても、身体はまだだいぶ痛い。しかし初対面で助けてくれた人にそんなことは言えなかった。
「そうか。俺は近藤勲。この道場の者だ。君は?」
『近藤、勲さん・・・私は・・・』
そこで困惑した表情になったことに近藤が気づき、大丈夫か声をかける。
『私、は・・・名前・・・苗字名前、13歳・・・でも、それ以外覚えてない・・・』
近「記憶喪失・・・ってことかい?」
『多分、そういうことだと・・・』
気がついたらボロボロの状態でどこかの海岸にいた。
1人彷徨っていると、ヨレヨレの服を着て刀を持った男たちがやってきた。
まだ子どもの名前は浪人たちの格好の的だった。
身売り目的に連れ去ろうとしたのだ。
その浪人たちから必死に逃げた名前。
しかし、厳しい世の中。逃げた先でも子ども1人で生きていくことなど難しく、危険な大人に追われる生活を送っていた。
そして何日も何日も追われ、逃げ、川に落ちてしまった。すでに体力の限界が来ていた名前は泳ぐこともできずそのまま死を覚悟した。
『でも、どこかに引っかかって助かって、ここに・・・』
近「そうか・・・」
俯く名前の頭に、ポンと大きな手が乗せられた。久しく感じていなかった人の温もりだった。
近「怖かったな、頑張った!ここに来たからにはもう大丈夫だ!」
そう言われた瞬間名前の目に大粒の涙が溜まり、ポロリと落ちた。
『うっ、・・・ぅああ・・・』
声を上げて泣く名前は近藤にしがみついた。近藤はそれを拒絶せず受け入れ、背中を擦ってやった。
記憶もなく心細かっただろう、そしてきっと食べ物もほとんど食べていなかったのだろう、心身ともに疲弊し痩せ細った少女。近藤は助けてやりたいと思った。
しばらく泣いていた名前が落ち着いてくると、
ぐぅう・・・
お腹の音が静かな部屋に響いてしまった。その出どころは名前で、顔を赤くしお腹を押さえて俯いた。
近「ハッハッハ、腹が減るのは元気な証拠よ!飯を用意しよう」
『え、いや・・・大丈夫です・・・』
近「今更何を言うんだ、今日から名前ちゃんはここの仲間だ!」
似たような境遇のヤツ、親に見捨てられたヤツ、いろんなヤツがいる道場だと、すべてを受け入れる豪快な笑い方をしていた。