第16話 追跡者②
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アイ「ほう、ただの頭脳派ではないようだな」
しかしアイリッシュも戦闘能力に長けているようで、名前の動きを見極めようとしていた。
『はぁあ!』
名前がアイリッシュの背後に回り込み、足をかけて転ばそうとする。しかし、
ガッ
『あっ!』
カウンターで回し蹴りを腹部に食らってしまった。
コ「姉、さんっ」
コナンもやっと起き上がれたようで、蹲る名前に声をかけていた。
アイ「殺しはしない、気を失ってもらうだけだ」
そう言って再度コナンに暴行を加えていく。
その時、階段の下から駆け上がってくる音が聞こえる。アイリッシュがそちらに意識を向けた隙に名前は立ち上がり向かっていくが、
ドガッ
『ああっ!』
殴られ、柱にぶつかってしまった。頭を柱に強くぶつけたため、脳震盪を起こしたのか視点が定まらない。
『くっ(頭が・・・)』
悔しさにギリ、と歯ぎしりをすると、階段から声がする。
蘭「コナンくん!名前さん!」
『蘭・・・ちゃん・・・』
なぜ蘭がここにいる、危険すぎる、帰ってくれと言おうとするが全く声が届かない。蘭は警備員と一緒に来たようだ。
アイ「君たち大丈夫か?」
アイリッシュは松本管理官のフリをし、今ここに来たと思わせるように動いているようだ。蘭もそれを疑わず、下で警官らが倒れていることを報告していた。
コナンはそんな蘭を見て、力を振り絞り蘭の足を掴む。
コ「だめだ・・・逃げろ・・・」
蘭はコナンの方を向く。その隙にアイリッシュは警備員を殴り気絶させ、蘭に銃を向けた。コナンは逃げろと言うが、蘭は大丈夫だと言ってアイリッシュに立ち向かって行ってしまった。
蘭はアイリッシュが放った銃弾を避け、アイリッシュの顎に掌底打ちを食らわせる。よろけたアイリッシュはもう手加減をしないと言って蘭と闘っていく。どちらも譲らない互角の戦いだった。
しかし、ガッと蘭がアイリッシュの顎に蹴りを食らわせた時、アイリッシュのつけていた変装のマスクが破れる。
不気味な顔になったアイリッシュを見て蘭は怯んでしまい、強烈な一撃を食らい倒れた。
『蘭ちゃん・・・』
それでも立ち上がろうとする蘭。
コ「蘭!立つな!」
コナンは変声機で新一の声を出し、蘭にもう戦わないよう伝えた。
コ「後は俺に任せて、お前は姉さんとじっとしてろ」
コナンが動けるようになったことで、逃げられてしまうかもしれないと思ったアイリッシュは、破れたマスクを捨て、拳銃を拾ってコナンの方へ向かった。
コナンはボール射出ベルトや、キック力増強シューズで応戦しようとするが、どれも事前に銃で破壊され無力化させられた。コナンは非常口から外へ出ることに。
『新一・・・死なないで』
まだ動くこともままならない名前は、弟の無事を祈るしかなかった。
少しして、バラバラバラバラ・・・とヘリコプターの音が響く。きっと組織のヘリコプターだろう。
窓の近くにいたら見られてしまうかもしれない。体を引きずりながら、気を失っている蘭を展望台の奥の方へ動かした。
するとヘリコプターからマシンガンのように銃弾が何発も撃ち込まれる。
仲間割れでもしたのか、アイリッシュまでも撃ち抜いてしまいそうなほどだった。
弾は展望台の上の方を狙っている。軌道がズレた弾が展望台に入り込み窓ガラスを割っていくが、蘭や名前には当たらなかった。
狙われている誰か・・・新一かアイリッシュが東都タワーの上の方に向かっていったのだろう。ヘリコプターは銃を放ちながら上へ登っていった。
しばらくして銃声が無くなり、ヘリコプターの音も遠ざかっていった。組織を退却させたようだ。
目暮警部たちが展望台に入って来たため、外にコナンがいるということを伝え、名前も保護してもらい簡単な手当てを受けた。すぐにコナンが非常口から戻ってきたため安心して息を吐いた。
『蘭ちゃんは何でここに?』
ずっと気になっていたことを蘭に聞いた。なぜここにコナンたちがいると気づいたのかと。
蘭は、テレビの生放送で東都タワーの七夕フェアについて特集しており、そこにコナンが映り込んだのを見たという。そして夜になってもコナンが帰ってこなかったため東都タワーに来たようだ。
『そっか。ありがとう、来てくれて。でもやっぱり強かったね蘭ちゃんは』
アイリッシュと戦っているときの蘭を思い出しながら話す。
蘭「あの時は必死だったから・・・新一が来てくれたから安心しちゃったけど」
フフッと照れたように笑う蘭。そこへコナンがやってきたため、名前は2人から離れた。2人きりで何か話すことがあるだろうと。
展望台のフロアには佐藤刑事の姿もあった。
目が合うと近づいてきたため会釈をする。
佐藤「今、帰りのタクシーの手配してるわ」
『ありがとうございます』
佐藤「・・・お礼を言うのはこっちよ」
捜査会議中のメモのことだろう。佐藤刑事は、周りを怪しんでいることがバレていたら松本管理官も発見できなかっただろうと話す。
警察みんなで東都タワーに向かっている途中に、阿笠博士から松本管理官を発見したと連絡が来て、目暮警部などにも連絡せずそちらに向かったのだ。
松本管理官が見つかってよかったという話をしていると、帰りのタクシーが着いたようだ。
話を終えた蘭、コナン、園子と一緒にタクシーに乗る。
今日はマンションの方に帰ると伝え、途中でコナンたちと別れた。
マンションに帰ると、フゥー・・・と大きくため息をつく。
『バレちゃったのかぁ・・・』
黒の組織に自分が“ロビン”だとバレてしまった。ただアイリッシュが言っているだけのため確証はないが。もしかしたら安室が何か教えてくれるかもしれない。
面倒な組織に狙われたものだ、と思いつつ作戦を練る。
アメリカに突然帰るのは得策ではない。
日本で戦った方が良いだろう。
まずは周りに危害がいかないように対策を講じることにした。
ーーーーーーーー
3日後、赤井から連絡が入った。
“工藤邸に誰かが侵入した”と。
きっと黒の組織なのだろう。赤井はホテルに泊まっていて対面することは無かったようだ。
『うげー・・・面倒なことになったなぁ』
赤井に、沖矢として一緒に工藤邸に来てほしいとお願いをする。沖矢は了承してくれ、明日一緒に向かうことにした。
翌日、沖矢と名前は工藤邸に入っていた。
広い敷地内を、隠しカメラがないか、盗聴器がないか確認しながら入っていく。
『前に安室さんと戦った時につけたカメラ、何台か有効にしといたんだけど切られてるね』
防犯カメラの映像は見えなくなっていた。
部屋の中を荒らされた感じは無い。何か物を取られた、逆に置かれた、というものも隠しカメラなども無い。
『何にもないね、誰が何しに来たんだろう』
考えられるのは、家に来たのがベルモットだったのではないかということ。ベルモットは工藤家に無闇矢鱈に手を出してくることはない。
うまい具合に上に誤魔化してくれたのかもしれないと推測した。
昴「まぁ、何かあったら僕もこれからはいますし、どうにかしますよ」
沖矢は工藤邸に戻るつもりのようだ。名前も仕事が立て込んでいる時以外は工藤邸に帰ろうと思っていた。
『じゃあ、お互い何か気づいたら言いましょう』
昴「ええ」
そうして、名前と沖矢はまた工藤邸で過ごすこととなった。
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