第12話 探り探られ
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安室は、「推理が当たっていたようで良かった」なんて惚けながら言っている。ドヤ顔で推理を披露しておいて何を言っているんだ、とツッコミたくなった。
安「公安でも噂になっていましたよ、凄腕の情報屋、ハッカーがいると」
『恐縮です』
安「ところで、“ロビン”は仕事を選ぶと聞きましたが、それは本当ですか?」
公安の鋭い顔つきになる。もしかしたら返答次第では逮捕もあり得るのだろうか。
『安室さんも思い当たる節があると思いますが?毛利小五郎を探ってほしい・・・このメールも安室さんですよね?』
安「ホォー・・・」
『そのメールの後、心配になって毛利さんの周りによくいましたが、安室さんがパスワードをさり気なく聞いているのとか怪しいなって思ってまして。
ミステリートレインの前に毛利さんのパソコンいじってましたよね』
安「・・・ハッキングしていたのはあなたでしたか」
形勢逆転のようだ。まぁ別に戦ってはいないのだが。むしろお互いに結論には辿り着いているが、そこまでの推理を披露する合戦が始まっている。
だから安室、バーボンからのメールには返事しなかったという。毛利小五郎なんていう普通に生きている人間からすると人畜無害な男が探られることなどほとんど無い。毛利小五郎、またはその周りが狙われているとしか考えられない。
『悪い人の犯罪には加担しないと決めてるんです。お父さんお母さんとも約束してます。
高い報酬を要求するのも、篩にかけるためです。本当に凶悪な組織か、それを潰そうとする警察関係の組織からの依頼が増えるのでわかりやすい』
その分、その報酬に見合った実力をつけるのが大変だったが。
その話をすると、安室は感心したように「しっかりした人だ」と呟いた。
『でも、安室さんならわかると思いますが、正義のためと謳っておきながら、犯罪行為であるハッキングだったり不法侵入だったりをしているのは確かです』
困ったように安室を見る。ちょうど信号が赤になったようで、停車すると安室も名前を見る。
安「だから逮捕されるのではないか、と?」
『一応ただの一般人ですからね』
安「まぁ、僕らも含め、その辺は目を瞑る部分がありますから。日本のために」
まずは逮捕されないという事実にホッとした。
安「どこかの組織に属したいという気持ちは無いんですか?あなたならどこでもウェルカムな気がしますが。公安でも欲しいくらいです」
『んー・・・無いですね』
理由は特に無いが、逮捕されるとかでなければこのままフリーで続けるのが気が楽なのかもしれない。
安「そうですか・・・公安に入れば、あなたを守れると思ったのですが」
『?』
安「・・・ベルモットが言ってました。ジンがロビンを勧誘したいと考えているそうです」
信号が青になり、安室は前を向きながら話す。
『ジン・・・』
安「ジンの話は聞いてます?」
コナンにも赤井にも、どんな名前の、どんな特徴の人間かは教えてもらっていたが、詳しくは知らない。
名前と長髪の男としかわからない、と話すとジンは危険な男だと安室は言う。
安「だからあなたを守りたいんです。ジンから、そして組織から」
『・・・・安室さんはどこまで演技なんですか?』
その笑顔、言葉、仕草。どこまでが演技なのか本気なのかわからない。
安室も苦笑いしながら答える。
安「答えにくい質問だ」
『じゃあ・・・私に惚れてるっていうのは?私の素性を知るための嘘?』
なんとなく気になっていたのだ。
自分や、自分の周りの人間に近づくための演技だったのではないかと。
安「・・・・・・あ、着きましたよ。ここです」
安室は名前の問いには答えず、車を店の前の駐車場に停める。高級そうな割烹居酒屋だ。
『・・・・・』
質問に答えないのか、という目線を送ると、安室はクスクス笑っていた。
そしてドアを開けると名前の方を振り返り
安「それは本当ですよ」
そう言って車から降り店の入口に向かって歩き出した。
『!?ちょ、待って・・・』
名前は一瞬キョトンとしたが、置いていかれているという事実に焦り急いで車を出て安室の後を追った。
名前が追いかけてきていることに気づくと、さらにいたずらっぽく笑っていたため、睨んでおいた。