第5話 沖矢昴
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数日後
『こんにちはー』
梓「あ、名前ちゃんいらっしゃい」
名前は喫茶ポアロに来ていた。
初めてポアロに行った後も何度か来ており、アルバイトの梓とも顔見知りになっていた。
年が近いこともあり仲良くなったのだ。
『今日は疲れたからミルクティーとパンケーキにしようかな』
梓「甘いもの祭りだね」
『うん。疲れた時は甘いものに限るよ』
いつもの角の席が空いていたため、そこに座り注文をした。いつもはカフェオレを頼むのだが、仕事終わりで頭をたくさん使った後はミルクティーにしている。
注文を終えると名前はカバンに入れていた本を取り出した。父のものではないが推理小説だ。
『・・・・』
梓「はい、名前ちゃん、まずはミルクティー。パンケーキはちょっと待ってね」
小説を読んでいると梓がミルクティーを持ってくる。
『ありがとう』と返事をしてミルクティーを一口飲み、続きを読み始めた。
『・・・・・』
数ページ小説を読んだ所で視線を感じ、そちらを見る。
するとパンケーキを持った梓が見ていた。
『どうかした?』
梓「え?あぁ、絵になるなぁって思って。私も本読みながら紅茶とかコーヒー飲むのが似合う女の子になりたかったなぁ」
『ははっ、なにそれ』
テーブルに置かれたパンケーキにシロップをかけながら笑う。
『梓ちゃんだって、料理してる姿素敵だと思うよ。梓ちゃんが作る料理美味しいし』
梓「ありがとうっ。ねぇ、名前ちゃん連絡先交換しない?」
『良いよ・・・・・・・・あれ』
連絡先を交換しようと携帯を出す。画面を見ると着信が2回、メールが1通届いていた。
どれもコナンから。
『あ』
コ《姉さん今外?蘭が園子と一緒に家に遊びに行くって言ってたらしいから、昴さんのこと言ってないし鉢合わせたらヤバいかもしれない。
もし蘭たちに会えたら説明しといて!》
メールが来ていたのは20分ほど前。
メールをした時に既に蘭と園子が工藤邸に向かっていたのだとしたらもう手遅れだろう。
コナンはきっと授業中だ。
『あーあ』
梓「?」
一言呟く名前に梓は頭に「?」を浮かべていた。名前は何でもないと伝え、連絡先を交換すると急いでパンケーキを食べ、ポアロを後にした。
ーーーーーー
工藤邸に着くと急いで中に入る。
途中で蘭に連絡を入れようとしたが、気づいていないのか繋がらなかった。
『ただいまー』
玄関の扉を開けると、ローファーが2足。きっと蘭と園子のものだろう。
『蘭ちゃん!園子ちゃん!』
蘭たちを大声で呼び、帰って来たことをアピールする。
すると洗面所の方から蘭たちが出てきた。
蘭「名前さん!あの人誰!?名前さんの知り合いだって言ってるけど!」
園「どういうこと!?彼氏!?」
ものすごい勢いで詰め寄る2人に名前は後退った。
『ち、違うよ。ホントにただの知り合い!家が焼けちゃった大学院生。ちょうどお母さん来てたからお母さんが“家に来なよ”って言っちゃったの』
嘘はついていない。
しかし納得いっていなそうな蘭と園子に苦笑いを浮かべるしか無かった。
園「ちぇ、証言は一致してるわね」
沖矢の話と名前の話が少しでも食い違っていたら問い詰めるつもりだったのだろう。
昴「すみません、名前さん。あまり余計なことを言えないと思いまして」
『ああ、大丈夫ですよ。蘭ちゃんたち、ちょっと良い?』
名前は蘭と園子を連れて少し離れた場所に行って話し始めた。
『あのさ、新一のことなんだけど、昴さんにあまり言わないでね』
沖矢にコナンが工藤新一だということがバレないほうがいい。沖矢は頭が良いため、蘭や園子がペラペラ喋ってしまえばすぐにその事実に気づいてしまうだろう。
蘭たちには、興味を持たれて家中ウロウロされても困るからと話しておいた。
園「それよりそれより!名前さん昴さんと住んでんでしょ!?ホントに何も無いの!?」
『ないって』
新一の話も終わったということでリビングに戻ると昴がいた。園子の声が聞こえていたようで困ったように笑っていた。
園子は沖矢に興味津々だった。沖矢が通っている大学が東都大学工学部だと聞くと、新一と推理対決をさせたいと言い出した。
『(こちとら眠いんだけどなぁ・・・)』
欠伸を噛み殺しながら園子たちの話を聞いていた。
園子の家の庭に何か落書きされた紙飛行機が飛んできたらしい。
それを沖矢と新一に同時に見せ、どちらが早く解決するか競うそうだ。
蘭が新一に紙飛行機の写真を送ると同時に、沖矢にも紙飛行機を渡した。名前もその紙飛行機を覗き見る。
『・・・(モールス)』
紙飛行機にはモールス信号が書かれていた。きっとこのくらい沖矢ならすぐ解けるだろう。
『昴さん、私お昼寝してきます。蘭ちゃんたちをお願いしますね』
昴「ああ」
名前は3人に手を振って自分の部屋に向かっていった。