【D灰】3万Hit記念
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『ふぅ・・・』
ラビ「終わったさ?」
『うん、ラビもありがと』
桜の木は少し燃えてしまったが、まだ元気な枝がたくさんあり、幹もしっかりしている。
再生できるだろう。
神「で、こいつらどうすんだよ」
神田の視線の先には、透けている子どもたち。
『きっとこの子たちが遊んでた笑い声が奇怪だったのかな』
楽しく花見でもしていたのだろうか。
この子たちの処遇は神主に聞かねばならないだろう。
話が通じるかはわからないが、とりあえず何か言ってみよう。
『・・・大丈夫?』
“うん”
ラビ「通じたさ!?」
意思疎通ができたことに驚き、ラビは声を上げていた。
いちいち驚いていては先に進まないため、ラビに神主を呼んできてもらうことに。
“お姉ちゃんたち、優しいね”
“怖いのやっつけてくれた”
『ありがと。ねぇ、君たち最近、夜に楽しくおしゃべりしてる?』
“してるよ!桜の季節は嬉しいんだ!”
“綺麗なお花がたくさんなの!”
子どもたちはキャッキャと笑いながら走り回っている。
やはり、奇怪の正体はこの子たちのようだ。
『君たちはこの桜の木が大好きなんだね』
“うん!”
「ああ・・・なんということだ・・・」
話していると、神主がやってくる。神主も透けている子どもたちが見えたようで、目を擦っていた。
『夜になると聞こえる笑い声は、この子たちが楽しくお話していた時のもののようです』
神主は、声の正体が危険なものではないとわかった安堵と、亡くなっているであろう子どもたちへの悲しみ、そしてこの寺院の今後のことを考えているようで、複雑な表情をしていた。
「悪いものではないとわかりました。しかし・・・この子たちの声で寺院を離れていく人も多くいます」
“・・・なに?”
“怒ってる?”
『ううん。怒ってはないけど、困ってるかも』
“困ってる?”
“僕たちがいるから?”
悲しそうな顔をする子どもたち。
なんとかしてあげたいが、霊に対してどうしたらいいのかわからない。それこそ祈祷師を呼ぶべきか。
そう思っていると、
『・・・?』
背中がじんわりと暖かくなる感覚がする。
『もしかして・・・』
バサッ
ナマエは片翼を出してみる。すると子どもたちが目を輝かせた。神主も驚いている。
“わぁ、天使さまだ”
“綺麗な羽根!”
神「成仏させられんじゃねーか?」
『私が?』
ラビ「そうさ!天使の力でどうにかできそうさ」
他人事だと思って言ってくる2人。
一度やってみる価値はあるだろうが、どうやってあげたらいいのかわからない。
ちらっと子どもたちを見ると、輝かせていた目から一転、何かされるのでは、と少し不安そうな顔になっていた。
『心配しないで、怖いことはしないよ』
“そっちの兄ちゃんの顔怖いよ?”
神「あ”?」
“うわぁぁ!”
『こら、怖がらせないの!』
神田に睨まれナマエの後ろに隠れる子どもたち。
ナマエは神田に一喝を入れ、子どもたちに安心させるように笑いかけると、目線を合わせるように座る。
『さっきも言ったけど、君たちは楽しいかもしれないけど困る人もいるの。それに・・・君たちは、ここにいるべきじゃない。わかる?』
“・・・”
“・・・やだよ”
ナマエが優しく伝えると、俯く子どもたち。そしてナマエの言葉を否定する。
カチン、と神田から聞こえた気がしたが、ラビが羽交い締めにして押さえにかかっていたため、そのまま続けた。
『どうして?』
“せっかく楽しく過ごせたんだ”
“綺麗なお花も見れるようになったの”
“ずっとベッドの暮らしじゃなくなったんだもん”
『・・・そっか。生きてた頃は、こういうの見られない生活だったんだね』
病気がちでこんなに走り回れなかったか、家庭環境に何かあったのか、他の理由かあったのかはわからないが、生前は自由に生きられなかったようだ。
『でも、ずっとここにいるの?』
“・・・・・”
きっとここにいてはいけないということはわかっている。しかし受け入れることができないのだろう。
“・・・もし、もし天国に行っても、お花見られる?”
『んー、正直私にもわからないなぁ』
これから旅立つかもしれない魂に嘘など言いたくなかった。どうしたら安心してくれるだろうか。
しょんぼりする子どもたち。
『じゃあ私のママの所に行きなよ』
神・ラ「!」
神田とラビは、ナマエの本当の母が天使であることや、亡くなっていることは知っている。そのため、一瞬だけ眉を顰めた。
“お姉ちゃんのママ?”
『うん。優しい天使さんだったんだって』
“知らないの?”
『私が赤ちゃんの頃に死んじゃったんだ』
“そっかぁ・・・”
ナマエは羽根をプチっと人数分取り、渡す。
『これ、目印。お姉ちゃんの名前は苗字ナマエ。それでお母さんを探してみて。きっと一緒に遊んでくれる、好きな所に連れて行ってくれるよ』
“ナマエお姉ちゃん・・・”
『じゃあ君たちにお願い。お姉ちゃんのお母さんに会えたら、私は元気だよって伝えてくれる?』
“・・・うん”
「お願い」と聞いて、少しだけ前向きになった子どもたち。ナマエはそんな子どもたちを抱きしめる。
抱きしめる感覚は無かったが、どこか暖かい感じがした。
『また、綺麗なお花がたくさん見れる所に行けますように・・・生まれ変わったら幸せな人生でありますように』
そう言うと、子どもたちの身体が淡く光る。うまくいったようだ。
“ありがと、お姉ちゃん”
“お姉ちゃんのママに会いたいな”
“みんなで探しに行こう、きっと楽しいよ”
一言ずつ話すと、子どもたちはナマエが渡した羽根とともに笑顔で消えていった。
子どもたちが消えると、最後に桜の木が大きく揺れる。
しばらく無言が続くエクソシストと神主。神主は、まさかこんなことが実際に起きるなんてと思っているような表情だ。
その静寂を破ったのはラビだった。
ラビ「さて、じゃあ俺らは壊れてる所がないか見てくるさー」
ラビは神主の背中を押し、その場から離れた。
『お母さん、あの子たちをよろしくね』
母の形見でもあるイノセンスを握りしめると、キラリと輝いた気がした。
神「・・・」
ポン
『?』
神田が頭に手を乗せてくる。どうしたのだ、と神田の方を見ると一瞬だけ目が合い、すぐに逸らされた。
『・・・心配してるの?』
神「・・・別に」
『ふふっ、大丈夫だよ、あの子たちならきっと幸せになるよ』
神「そっちじゃねぇ・・・お前あまり他人に自分の親のこと言わねぇから」
クロス元帥にあまり言い触らすなと言われていたため、エクソシストでも母のことを知らない人は多い。
別に言いたくないわけではなかったのだが、母の話題を出したことへの精神的な負担を考えてくれたのだろう。
『気にかけてくれてありがとう。私も大丈夫だよ、お母さんとはイノセンスで繋がってるから』
ナマエは桜の木を見た。神田も一緒に桜の木を見る。
『それに、あの子たちが私のこと話してくれるでしょ』
神「フッ、そうだな」
神田はナマエの頭の上に落ちた桜の花びらを取ると、そのままナマエの頭を自分の胸に閉じ込めた。
ラビ「・・・・あのー、そろそろ片付けて帰ろーぜー」
終わり