【龍が如く】3万Hit記念
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30000Hit記念小説は全作品“春”をテーマにしています。
『いらっしゃいませー』
3月某日。桜の花が咲き始め、新年度に向けて世の中が忙しなく動く時期。
弁当屋“晴れ屋”には様々な客が来ていた。
本日最初の客は、20代前半くらいの男性。皺1つ無いキチッとしたスーツを着ている。
「カツ丼ください!」
『はーい、カツ丼1つですね』
名前が注文された商品を袋に詰めていく。その間に、あのっ、と控えめに話しかける声がしたため、手を止め返事をした。
「今日、俺、第一希望の企業の試験と面接なんす。応援の言葉もらってもいいっすか?ここの店員さんにパワーもらったって人、SNSでよく見るんすよ」
自分で自分たちのお店のことを調べたりしないため、そんな事が書かれているのかと驚いた。
男性は携帯を見せてくれた。そこには、このお弁当屋の良い所について書き込まれている画面が。お弁当はもちろん、接客も良いとも書いてあり、恥ずかしくもあり嬉しくもあった。
『カツ丼食べて元気いっぱいで頑張ってくださいね』
「ありがとうございます!!また来ますね!」
『結果報告楽しみにしてますね』
満足そうにカツ丼を持ち帰る就活生を笑顔で送った。
合格できますように、という気持ちを込めて。
真「今日も繁盛しとんなぁ」
『吾朗ちゃん!いらっしゃい』
数人の客をさばいたところで真島がやってきた。
春はいつも以上にいろんな人が来て楽しいのだと伝えると、真島も嬉しそうに笑っていた。
花「真島さん来てるの?」
真「おう、来とるで」
花枝は、真島を店内に呼ぶ。
動かしてほしい機械があったようで、それをお願いしていた。
真島は花枝の手伝いをしながら名前の様子を見ていた。楽しそうに接客をする名前は色んな人を幸せにしているようだと。
「こんにちはー」
その時、10代後半くらいの男の子が店にやってきた。
『あ、いらっしゃい。どうだった?どうだった?』
名前はその男の子に何やら問いかけている。今日が初めての客ではないようだ。
真島はあれは誰だと訝しげな顔で見る。
花「ん?あー、あの子は・・・」
「ダメでしたぁぁぁ!!」
『あーらら』
その男の子は、大学に気になる女子がいると言っていた。ここの弁当を食べた後に告白をしに行くと言い、先週くらいにお店に来たのだ。
そして、ダメだったらしい。
『なんでダメかは聞いた?』
「他に好きな人いるみたいで・・・」
『そっか。それはどうしようもないね、また次の恋しよう。そんな君は今日は何弁当にする?私のオススメは海苔弁当かな』
「じゃあそれにしますぅぅ」
泣きながら海苔弁当を買う。涙が溢れてきていたため、ティッシュを渡し拭くよう伝えた。
「名前さんは、俺のどこがいけないと思います?」
ズビビ、とティッシュで鼻水を拭きながら名前に問う。しかし、この男の子とは客として一度しか会ったことないのだ。どこがいけないのかと聞かれても困る。
『んー?まだ君のことあまりわからないから、いけない所は見つけられないよ。だから良い所を伸ばしな?何が得意?』
「バスケです。俺今バスケサークルに入ってて・・・」
『格好良いじゃん。好きなことに真剣に向き合ってる人が好きな子って結構いるよ。とことん頑張れば良いと思うよ!お弁当食べて元気出してバスケに恋に頑張れ!』
「はいぃ・・・ありがとうございます・・・」
男の子は泣きながら海苔弁当を持ち、帰っていった。