第6話
夢小説設定
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向かった場所は、マダム・レッドのものとは少し離れた場所にあった墓石。
そこには葬儀屋がスコップを持って座っていた。
『葬儀屋さん、終わった?』
葬儀屋はシエルたちに気づくとニコリとして座っていた場所を指差す。
葬儀屋「もちろん。ほら、切り裂きジャック事件最後のお客さんだよ。優しい伯爵たちはお墓を立ててあげたんだよねェ」
墓石に掘られていたのは、メアリ・ジェーン・ケリーの名前。海外からの移民で遺体の引き取り手が無かったこともあるが、もう一つメアリの埋葬をシエルたちがしたのには理由があった。
シエ「優しくなどない。僕はわかっていたんだ、この女を助けてやれないということを」
『・・・メアリさんの命を第一に考えたら、助ける方法はいくらでもあった』
シエ「だが僕はそうしなかった。切り裂きジャックを捕らえることを優先した。
わかっていて見殺しにしたんだ、肉親でさえ」
しかし、それを後悔はしていない。切り裂きジャックはもういなくなり、女王の憂いは晴れたからと話すシエル。
葬儀屋は、シエルにばかり辛い思いをさせる女王が気に食わないと言っていた。
シエ「これは我が一族が背負う業だ。この指輪とともに代々受け継がれてきた」
シエルは指輪に口づけを落としながら話す。苦しくはないと言うように。
葬儀屋「その指輪はまるで首輪のようだねぇ。業という鎖で君を女王に繋いでる」
シエ「その首輪をこの首にはめると決めたのは僕だ」
シエルの言葉にヒヒヒッと笑うと、次はナマエに目を向ける。ナマエは見えないはずの葬儀屋の目に吸い込まれてしまいそうになる感覚を覚えた。
葬儀屋「ナマエ嬢も、いつも付けてるその首飾り・・・ただのオシャレじゃなくて、伯爵に繋がる首輪に見えてくるよ」
『それの何が悪いの?私はシエルに尽くすと決めた。他の居場所なんていらないもの』
チョーカーの下は契約印。どちらかといえばシエルというよりセバスチャンに縛られているのだが、そんなことは言えるわけがない。
葬儀屋「小生はいつか2人がその首輪で首を吊ってしまわないよう祈っているよ。そんなのはつまらないからね」
何かあったらいつでもおいで、と言ってその場を去る葬儀屋。
セバ「お優しいのですね」
セバスチャンはシエルとナマエにそれぞれ上着を着せ、話しかける。
シエ「何度も言わせるな、僕は優しくなど」
セバ「お優しいですよ。でなければ・・・・“弱虫”ですかね?」
『!?』
シエ「っ!」
セバスチャンに馬鹿にされたように言われ、シエルとナマエはセバスチャンをバッと見る。セバスチャンの見下すような視線はシエルに向けられている。
『なんでそんなこと・・・』
セバ「なぜ撃たなかったのです?」
シエルはあの晩、銃を隠し持っていた。
なぜマダム・レッドにナイフを向けられたときに撃たなかったのかと。
セバ「お嬢様が傷を負っても、私が促しても貴方は銃を取らなかった。何故です?
マダムを自分の手で殺すのが、怖かった?」
セバスチャンは困るシエルを見たかったのだろうか、それとも伯爵としての覚悟を確認しようとしているのだろうか、問い詰めるように話す。
しかし、シエルは落ち着いた雰囲気で、当たり前かのように「お前の仕事だからだ」と答えた。
シエ「お前が死んでも僕らを守ると思ったから撃たなかった。姉様が僕を庇って切られたのは想定外だったが」
シエルとナマエが死んでしまっては契約違反だ。だからセバスチャンは美学のために助けに来ると思っていた、だから撃たずに待っていたと。
『そう、だったね。ごめん、シエルを守らなきゃって、前に出て無駄に怪我しちゃった・・・』
セバ「申し訳ありません、お嬢様。坊っちゃんが撃つと思いましたし、あの程度では命に関わる傷は負わないと思ったので。
ですが、でしたら何故止められたのです?」
マダム・レッドは表の世界を裏の力で汚した。番犬による制裁よりもしかる場所にて裁かれるのが道理だと。
シエ「マダムの目には迷いがあった。マダムには僕らを殺すことはできない、そう思ったんだ。
一瞬でも迷えば命取りになる。だから僕は迷わない」
前を見据え歩き出すシエル。ナマエも後に続いていった。
シエ「僕は立ち止まらない。踏み出した一歩に後悔もしない。だから・・・・
命令だ。お前だけは僕らを裏切るな、僕らの傍を離れるな、絶対に!」
セバ「御意、ご主人様」