第6話
夢小説設定
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ウィリアムがグレルを連れて去った後、セバスチャンはため息をついてシエルたちの方に歩いてきた。
セバ「申し訳ありません、もう一匹を取り逃しました」
シエ「いい・・・もう、いい」
シエルとナマエは動かないマダム・レッドを静かに見ていた。そっとセバスチャンはシエルの頬に触れる。
セバ「とても冷えておいでだ。早く街屋敷へ戻りましょう。約束通りホットミルクをお淹れしましょうね」
シエ「・・・そうだな」
『帰ろう・・・』
ヨロ・・・
シエ「姉様っ」
立ち上がった瞬間、ふらつくナマエをシエルは支えた。
セバ「お嬢様」
セバスチャンがシエルとナマエを支えようとすると
バシッ!
セバスチャンの伸ばした手を叩き落とすシエル。
セバ「坊っ・・・」
シエ「いい、大丈夫だ。姉様は僕が支えるし、僕も一人で立てる」
『うん、ありがとうセバスチャン・・・ちょっと、疲れちゃっただけだから』
ナマエの頭の中は、ずっとマダム・レッドの言葉が渦巻いていた。
“あんたたちなんか、生まれて来なければ良かったのよ”
昔は一緒に遊んでくれたマダム・レッド。無邪気に笑うマダム・レッドが綺麗で楽しくて好きだった。
それなのに、そんなことを思われていたのか。
また、他人が信じられなくなっていく。
キュッと支えてくれているシエルの服を掴むと、シエルもきっと同じ気持ちだったのだろう、支える手に力が入った。
ーーーー
ガラーン
ガラーン・・・
数日後、マダム・レッドの葬式があった。
すでにマダム・レッドの友人や親族などが教会内におり、別れを伝えていた。
マダム・レッドは白い服を身に纏い、白百合で飾られている。
昔シエルやナマエとともに遊んでもらったエリザベスも、別れの言葉を述べていた。
その時
ガチャ
教会の扉が開き、会場がざわつく。
リジ「シエル・・・お姉様」
そこには、赤いドレスを持ったシエルと、赤い薔薇を持ったナマエがいた。
アンジェリーナがマダム・レッドという異名を持っていたはここにいる全員が知っている。
赤が好きなのはわかるが、今は葬式だ。そんなものを持ってくるのは常識的に考えてあり得ない。
コツ、コツ・・・
ざわつく周りの人を尻目に前を見据えて歩く2人。
コツン・・・
2人は棺桶の中で眠るマダム・レッドの前まで来る。
ナマエが薔薇を髪飾りのように付ける。
そしてシエルは真っ赤なドレスをマダム・レッドにかけた。
シエ「貴女には白い花も地味な服も似合わないよ。
貴女に似合うのは情熱の赤、地に燃えるリコリスの色だ、“アン叔母さん”」
『おやすみ、アン叔母様』
今はもう“番犬”と“罪人”でも“伯爵”と“医師”としてでもない。
姪っ子と甥っ子としてここにいる。
ふわっ
シエルたちが別れの挨拶をしていると舞い上がる薔薇の花びら。
葬儀屋とシエルがマダム・レッドのために用意したのだ。棺桶を運ぶための馬車にたくさんの花びらが乗っていた。
葬式が終わり埋葬も済ませると、マダム・レッドが眠る場所にはシエルたちの他、葬儀屋、劉が残っていた。
劉「切り裂きジャックの正体は女王に報告しないのかい?」
シエ「する必要もないだろう、もう切り裂きジャックはロンドンにはいないのだから」
空を見上げながら話すシエル。
マダム・レッドのことを思っているのだろう。
劉「そうやって君たちはどんどん泥沼に脚を嵌めてゆくのだね。たとえ引き返せぬ場所まで踏み込んだとしても、君たちは泣き叫び助けを乞うような姿は決して見せないのだろう。誇り高き女王の狗」
自分も伯爵のお世話にならないようにしなければと言う劉。劉の商売も、規制されるのは時間の問題だった。
劉「我はこの国に興味が尽きない。君たちにもね。
まだまだ面白いものを見せてくれると期待してるよ」
シエルの耳元で囁くと、口角を上げて去っていく。
食えない劉をジト目で見ながら劉の背中を目で追った。
シエ「セバスチャン、少し寄る所がある。来い」