第5話
夢小説設定
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グレ「そこのガキどもと何があったのか知らないケド、随分な入れ込みようじゃない。妬けちゃうワ。
“お嬢様”に惚れ込んでるの?そんなガキよりアタシの方が色気あるデショ♡」
セバ「・・・」
『?』
セバスチャンはチラ、とナマエを見て再度グレルに向き直る。
セバ「確かにお嬢様は色気はございませんね」
『は!?』
シエ「な!?」
この殺気に塗れた空間で何を言うのだろう。
シエルとナマエはセバスチャンの緊張感のない一言に声を上げた。セバスチャンはククッ、と笑うと続けた。
セバ「ですが、アナタのそれは色気ではなく下品です。“品”という点では圧倒的にお嬢様の方が上ですね」
グレ「ぐぬぬ・・・セバスちゃんを真っ赤に染めたらアンタのその可愛らしい顔をズタズタにしてあげるから待ってなさい!!」
グレルは頭に青筋を浮かべながらギャラララ、と回転する刃をナマエに向けた。
セバ「私を殺せたら、ですがね」
グレ「でも、たとえ悪魔でも死神の鎌で狩られれば本当に消滅しちゃうのよ?怖くないの?」
セバ「全く」
今この身体は契約主であるシエルとナマエのものであり、契約が続く限り命令に従うのが執事の美学だと話す。
それすらもグレルには刺さったようで、その美学を大事にするセバスチャンの顔を踏みつけて靴を舐めさせたくなると言っていた。
そして再開される戦闘。
グレルは決して結ばれない2人の関係をロミオとジュリエットの悲劇に例えながら戦っていく。
グレ「ああ、セバスチャン、どうしてアナタはセバスチャンなの?」
セバ「ただ一言、主人が私を“セバスチャン”と呼んだ時から。その日から私は“セバスチャン”ですよ、月に誓ってね」
ロミオとジュリエットのセリフやシーンを使い、やり取りをしていく。
グレ「月に誓うなんて不誠実な男ね」
月とは毎日形が変わる移ろいやすいものとして例えられる。ロミオとジュリエットでも月に愛を誓わないでほしいというシーンがある。
グレ「アナタの瞳は本当に何も愛していない穢れた瞳。無垢な魂を卑しい手と唇で犯す悪魔。
いい・・・いいわ、ゾクゾクするワ、セバスちゃん!
アナタの子どもなら産める気がする!!」
『何なのあの人』
シエ「・・・わからん」
シエルとナマエはクネクネするグレルを見てドン引きだ。
セバスチャンも本日何度目かわからない鳥肌を立てている。
セバ「やめてください気持ち悪い。生物学上無理ですから」
グレ「冷たいのね!」
ギャラララ!と死神の鎌を振り上げる。
屋根に登った2人は、月明かりに照らされ舞うように戦い続ける。
ガッ
セバスチャンがグレルの手を脚で押さえる。
死神の鎌は屋根に突き刺さり止まる。
グレルはセバスチャンに顔を近づけると、頭突きをした。衝撃に一瞬目が眩み、隙ができてしまった。
グレ「それでは幾千にも幾万にも、ごきげんよう」
ドッ
肩から脇腹にかけて斬りつけられる。
そこから湧き出る映画のネガフィルム。
グレ「さあ、ドラマティックな走馬灯を・・・」
セバスチャンの走馬灯を見るのを楽しみにしていたグレルは固まる。
ネガフィルムには大きくタナカの顔が映し出されていたのだ。しかもお茶を飲んでのんびりしている。
続けて映し出される、ファントムハイヴ家の騒がしく手のかかる使用人たちの映像。
グレ「ちょ、ちょちょちょ!何なのヨこいつらぁあ!」
セバ「ここ1年ほどはそればかりの毎日でしたからね」
グレルはもっとオイシイトコが見たいと騒ぐ。
しかし息を整えたセバスチャンはグレルの後ろに回り、再度顔面に蹴りを入れようとする。
セバ「残念ながら、ここから先は有料です」
グレルが後ろに跳び、距離を開けるとセバスチャンは自分の燕尾服を見た。
切られてしまったジャケットを脱ぐと、奥の手を使うと話していた。
グレ「ようやくアタシに本気になってくれるのね?」
次の一撃で終わり、その気持でグレルもセバスチャンも走り出す。
死神の鎌がセバスチャンに当たる、その時
ぎちっ
グレ「!!?」
死神の鎌の刃が動かない。
刃と機械の間に何かが挟まっているようだ。
それはセバスチャンが脱いだ燕尾服のジャケット。
上質なウールでできた燕尾服が挟まったことで、刃が動かなくなっていた。グレルが引っ張ってみても取れない。
グレ「ぐぬぬぬぬぬぬ」
セバ「お屋敷からの支給品ですし、どうしても燕尾服だけは使いたくなかったのですが、仕方ありません」
セバスチャンは、死神の鎌が使えなくなったグレルに、コツ、コツとゆっくり近づいていく。
そして
セバ「ただの殴り合いでしたら、少々自信がございます」
指を鳴らしながら笑顔でグレルに言う。
今までの気持ち悪い発言やダメージを負わされたことによる苛立ちをぶつけるかのように。
グレ「かっ、顔はやめてぇぇえ!!ぎゃぁああー」
数分後、スッキリした表情になるセバスチャン。
何度もグレルに攻撃を加えているうち、シエルたちの目の前に戻ってきていた。
セバスチャンの足元には顔だけがボロボロになったグレル。
満足気にそれを見ると、トドメを刺すためにグレルの死神の鎌を手に取る。挟まっていた燕尾服はセバスチャンが引き抜くと、薄い布切れかのように千切れた。今ならエンジンがかかるだろう。
グシャッ
グレルの顔に脚を笑顔で乗せる。“足蹴にされるのは御免ですが、するのはいい気分ですね”など言っている。
シエ「姉様は、見なくて良い」
『ぁっ』
シエルはナマエにかけたセバスチャンのコートをぐいっと引っ張り何も見えないようにした。
きっとセバスチャンは本気でグレルを殺そうとするだろう。シエルは、なるべく姉には辛いシーンを見せないようにしていた。
仕事柄たくさんの人の死を目にしてきたが、そのたびにナマエは小さくではあるが顔を歪める。
見せずに済むのであればそれに越したことはない。
セバスチャンは死神の鎌のエンジンを入れる。燕尾服が取られた刃は勢い良く回り始めた。
そして命乞いをするグレルに向かって思い切り振り下ろした。
グレ「や、やめてぇええ」
『っ・・・』
コートの中で目をギュッと瞑り、耳も塞ぐ。
しかし、グレルの断末魔は聞こえてこなかった。
そっと耳を塞いでいる手を外すと、聞こえてきたのは知らない人物の声。
ソッとコートから顔を出すと、知らない人がいた。
高枝切り鋏を持って。
セバスチャンはトドメを刺せなかったようで、死神の鎌を持って立っていた。
ウィル「私、死神派遣協会管理課のウィリアム・T・スピアーズと申します。そこの死神を引き取りに来ました」
この七三分けの男も死神らしい。仲間であるグレルを助けに来たのだろうか。
グレ「ウィル!ウィリアム!助けに来てくれたの・・・ね・・・」
安堵に体を持ち上げるグレルだったが、グシャッと言う音とともに再び顔が地面に埋まった。
ウィリアムがグレルの顔面に立っているのだ。
ウィル「派遣員グレル・サトクリフ、アナタは規定違反を犯しました」
そう言うと違反した内容を言いながら、そのたびにグレルを蹴りつけていく。
『痛そう』
シエ「同情はできんがな」
ウィル「すぐ本部に戻って始末書と報告書を提出していただきます」
グレルにそう言うと、くるりとセバスチャンに向き直り名刺を差し出した。この度は“アレ”が迷惑をかけたと。
ウィル「全く、よりによって貴方のような害獣に頭を下げることになるとは。死神の面汚しもいいところだ」
ウィリアムは、セバスチャンに嫌悪感の籠もった目を向ける。やはり悪魔は死神の仕事の邪魔になるようだ。
ウィル「さ、帰りますよ、グレル・サトクリフ」
そう言うとグレルの長い髪を引っ張り、ズルズル引き摺りながら帰っていく。
セバスチャンは手に持っている死神の鎌に目を向けると、ウィリアムに向かって投げつけた。それを難なく避け、二本の指で止めた。
セバ「お忘れ物ですよ」
ウィル「・・・どうも。では、失礼致します」
ウィリアムはグレルを引き摺り、闇の中へ消えていった。