第5話
夢小説設定
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その頃、シエルとナマエはマダム・レッドと向き合っていた。
『アン叔母様、何で・・・』
アン「何故?今更それを聞いてどうなるって言うの?」
もうシエルとマダム・レッドは“番犬”と“罪人”の立場。今更理由を話したところで見逃してもらえるわけではない。
アン「番犬を狩らなければ狩られるのなら・・・道は1つよ!!」
手に持ったナイフをシエルに向け走り出すマダム・レッド。
『シエル!!』
ザッ
『うっ・・・』
シエ「姉様!」
セバ「!」
シエルを庇ったナマエの腕から血が噴き出る。
痛みに顔を歪めるが、依然としてナマエはシエルの前に立ち守ろうとする。
『アン叔母様・・・何で、医者である貴方が、人を・・・』
アン「あんたたちみたいなガキに言ったってわかりゃしないわ!一生ね!!
あんたたちなんか、生まれてこなければ良かったのよ!!!」
その言葉に目を見開くシエルとナマエ。
マダム・レッドは勢い良くナイフを振り上げる。このまま振り下ろされたら、シエルを庇っているナマエはただでは済まないだろう。
ナマエは目をギュッと閉じた。
アン「(姉さん・・・)」
マダム・レッドは、ナマエに姉の姿を重ねてしまった。
一瞬で喪失する殺意。
セバ「坊っちゃん!!」
ズシャァア
シエ「やめろ!セバスチャン!!殺すな!!」
セバスチャンは、主たちを守るためグレルに斬られることを覚悟で動き、マダム・レッドを爪で切り刻もうとした。
しかしそれはシエルにより止められる。
セバ「ハァ・・・ハァ・・・」
『セバスチャンッ、血が・・・』
セバスチャンの肩からは血が止めどなく溢れている。ナマエを助けようと動いたときに、死神の鎌を押さえていた手を外したためそのまま斬られてしまったのだ。
目を開けたナマエはセバスチャンが傷を負ってしまったことに驚き、セバスチャンのもとへ向かおうとするが、大丈夫だと言うように手で制される。
そしてセバスチャンは肩を押さえながら“なぜ”という表情をシエルに向けていた。
グレ「ンフッ、セバスちゃんたら根性あるゥ♡腕一本ダメにしてまでそのガキ助けに行くなんて。
それに比べてアンタは何なの?マダム」
グレルはマダム・レッドを睨みつける。
散々人間を殺害して切り刻んできたのに、なぜそんなガキどもを殺せないのかと。
アン「やっぱりダメ・・・私にはこの子たちは殺せない・・・」
ギリ、と歯を食いしばり辛そうに訴えるマダム・レッド。
シエルとナマエに誰の影を見ているのだろうか。
アン「この子たちは私のっ・・・」
ドッ
グレ「ガッカリよ、マダム・レッド」
マダム・レッドの胸元には死神の鎌が突き刺さる。チェーンソー型の死神の鎌。すぐに胸元を貫通し血飛沫が飛んだ。
『ぇ・・・』
グレ「ただの女になったアンタに、興味ないわ」
ズバッと死神の鎌を引き抜く。
シエ「・・・」
シエルとナマエは、赤が舞い上がるのを見ていることしかできなかった。
『アン叔母様・・・』
ドシャッと仰向けに崩れ落ちるマダム・レッドにフラフラと歩み寄るナマエ。
マダム・レッドは今走馬灯を見ているのだろうか。
マダム・レッドの本心は、遂に本人にしか知ることができなくなった。
マダム・レッドは姉と同時に、シエルたちの父である先代ファントムハイヴ伯爵のことも好きだったのだ。
好きな男性を姉に取られ嫉妬に狂うマダム・レッド。
その子どもたちにも怒りの矛先が向けられていた。
大好きで憎い姉によく似た子どもたち。
そしてナマエが13歳、シエルが10歳になる時に悲劇は起きた。
ファントムハイヴ家が何者かに襲撃された。
姉夫婦は亡くなり、子どもたちは行方不明。
その時感じたのは、姉への羨望の念だった。愛する“あの人”とともに逝けたことへの。
数ヶ月後、突然行方不明だったシエルとナマエが帰ってきた。嬉しいはずなのに、子どもたちへの気持ちは変わらなかった。
“あの人”の跡を継いだシエルは、マダム・レッドの罪を暴きに来た。数年前よりも姉によく似た顔で。
ナマエは姉の若い頃そっくりになっていた。
これ以上姉は自分から何を奪おうというのだろうか。
罪を暴かれたら人生が奪われる。今まで築いてきた人脈も、功績も、全て。
いや、絶対に奪わせない。
今度は譲らない。
グレ「アタシは返り血で真っ赤に染まったアナタが好きだったのよ、マダム・レッド。くだらない情に流されるアンタに興味ないわ」
『・・・・』
グレルはカツカツとヒールを鳴らしながらマダム・レッドに近づく。もう本当にガッカリして戦う気など失せたのだろう。全く殺気も何も無いグレルを放心状態でじっと見つめるナマエ。
グイッ
グレルは“赤を着る資格はない”と言ってマダム・レッドの真っ赤な上着を奪い取ると、自分で羽織り去っていこうとする。
グレ「チープな人生劇場はこれでオシマイ。さようなら、マダム」
踵を返し、セバスチャンの横通り過ぎていくグレル。
シエ「姉様、これを」
シエルはナマエにセバスチャンから借りた上着を被せ、倒れているマダム・レッドの前に座り込んだ。
『シ、エル』
ゆっくりシエルに目を向けるナマエ。雨で涙は見えなかったが、目が赤い。
そんなナマエを一瞥するとシエルはマダム・レッドの目をそっと瞑らせセバスチャンに語りかける。
シエ「セバスチャン、何してる?」
セバ「・・・・?」
シエ「僕は“切り裂きジャックを狩れ”と言ったんだ、まだ終わってない。ぐずぐずするな、もう一匹を早く仕留めろ」
セバスチャンは一瞬目を見開くが、すぐに口角を上げ了承した。
その声を聞いていたグレルは立ち止まり、ニヤリとする。
グレ「見逃してあげようと思ったのに。そんなに死にたいならみんなまとめて天国にイかせてあげるわ!!」
ドゥルンッと死神の鎌のエンジンを入れ、臨戦態勢になると、すぐにセバスチャンに向けて振るう。
セバ「天国ですか、縁がありませんね」
セバスチャンはグレルが振った死神の鎌の上に立つと、グレルの顔目掛けて長い脚で蹴りを入れる。
寸前で避けるグレルは顔を狙われたことに憤っている。顔は乙女の命だと。
グレ「この人でなし!」
セバ「でしょうね。私はあくまで執事ですから」
悪魔が神に勝てると思っているのかという問いに、セバスチャンは不敵に笑って“坊っちゃんとお嬢様が勝てと言うなら”と答えた。