第1話
夢小説設定
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ロンドンから少し離れ、霧けぶる森を抜けると、手入れの行き届いた屋敷があらわれる。
その屋敷に住まう名門貴族、ファントムハイヴ家当主の朝は一杯の紅茶(アーリーモーニングティー)から始まる。
そしてその姉もまた同じ生活を送っていた。
『おはよう、シエル』
ファントムハイヴ伯爵であるシエル・ファントムハイヴは一足先に朝食の席についていた。
シエルは執事であるセバスチャンとともに朝の支度を素早く済ませていたが、姉のナマエ・ファントムハイヴはメイドとともに支度をしていた。
メイドは抜けていることが多く、服を着る手伝いをするだけなのだがうまくコルセットの紐を結べず、時間が
かかってしまったのだ。
服の支度を終えるとセバスチャンがやってきて、手早く髪のセットや朝食の部屋までのエスコートをした。
シエ「おはよう、姉様」
姉弟で挨拶をして朝食を食べ始める。
食べながらナマエは、シエルから今日の予定を聞いていた。
この後はシエルは帝王学の教授と勉強するようだ。
ナマエはダンスのレッスンが入っている。
のんびりと朝食を食べると、お互いに次の仕事の準備を始めた。
ーーーーー
昼食後
ジョワ〜〜ン
屋敷の前で余興が行われていた。
椅子に座っているシエル、ナマエ。その周りに立つ使用人4人。
その6人の前では執事のセバスチャン・ミカエリスと長髪の中国人が対峙している。
まず仕掛けたのは中国人。
腕をゆっくり回しながら気を溜める。
「くらえ!!奥義!花鳥風月百花繚乱拳ーーッッ!!!
ほぁたぁあああ!」
必殺技なのだろうか。大声で叫びながらセバスチャンに向かって行く。
セバスチャンはギュッと手袋を締め直すと、目を見開きカウンター攻撃をする。
その一撃で中国人は服がビリビリに破け、膝をついて吐血する。
「この技は、我が流派秘伝の最終奥義・・・!猛虎龍咆万華散裂拳・・・貴様一体何者だ!」
セバ「ファントムハイヴ家の執事たるもの、この程度の技が使えなくてどうします」
楽勝だったようで、顔色一つ変えず手袋の埃を払うように手を叩くセバスチャン。
すると、笑顔でシエルとナマエの方を見る。
セバ「・・・というわけで坊っちゃん、お嬢様。私が勝ちましたので、お約束通りこれから晩餐まで本日の復習と明日の予習をなさってくださいね」
シエ「ちっ」
『まぁ、仕方ないよ』
シエルは悔しそうに舌打ちをする。負けた中国人は、秘境で見つけてきた拳法の達人だったようだ。
ナマエはきっとセバスチャンが勝つだろうと予想していたため、あまり悔しさは無かった。
フィニ「すごいですセバスチャンさん!」
メイ「さすがワタ・・・セバスチャンさんネ」
バル「スゲーな、ウチの執事は」
ナマエたちと一緒に余興を見ていた庭師のフィニアン、ハウスメイドのメイリン、料理長のバルド。
セバスチャンの強さに目を輝かせていた。
シエ「ご苦労だったなセバスチャン、まぁ飲め。一気にな」
シエルは珍しくセバスチャンを労り、飲み物を渡していた。セバスチャンはコップを受け取ると、言われた通りぐいーっと一気飲みをした。
『・・・・げ』
セバ「どうしました?お嬢様」
『え、ううん、何でもない』
ナマエは心の声が漏れてしまったことに気づき、目を逸らした。
セバスチャンは特に疑うこと無く次は使用人たちに目線を向けた。こんなところで油を売っていないで仕事をして来なさいと鬼の形相で怒っていた。
シエ「仕事といえば、セバスチャン。イタリアのクラウスから電話があった。」
セバ「クラウス様から?」
それについて話があるから一緒に来いと伝える。
シエ「姉様も」
『うん』
ナマエも一緒について行き、3人で執務室に入る。
そこで、“例の品”を手に入れたクラウスが直々に英国へやってくるという話をしていた。
6時にファントムハイヴ邸で商談を行うという。
ということは客人に満足してもらえるようなもてなしをしなければならない。
にもかかわらず、セバスチャンは自信満々に受け入れていた。
セバ「・・・ときに坊っちゃん、お嬢様。
先程のレモネードには一体何が?胸やけが止まらないんですが」
シエ「タナカ特製“味の素”入りレモネードだ。僕と姉様は一口でやめたがな」
家令であるタナカが、砂糖と味の素を間違えてしまったようだ。
タナカは昔からファントムハイヴ家に仕えており、もうお爺ちゃんと言われる年齢。今ではマスコット的な位置にいることもしばしばだ。
セバスチャンは、自分が一口でやめた飲み物を他人に一気飲みさせた主人に苛立ちを覚えたが、気持ちを切り替えて準備に向かった。
『さて、勉強するよ』
シエ「姉様は真面目過ぎる」
『だってどうせサボってもセバスチャンにバレて怒られるだけだもん』
怒られるのは怖いわけでは無いが、嬉しくはない。
しかもセバスチャンはネチネチと厭味を言い続けるため面倒くさい。
ナマエが勉強の道具を出すと、シエルも渋々ノートを出していた。
しばらく静かにペンを走らせる音と紙を捲る音だけが響く。
しかしすぐにシエルは椅子に寄りかかり、セバスチャンを呼ぶべくベルを鳴らした。
『シエル?』
シエ「腹がへった」
ナマエはわがままな弟を見てため息をつく。
しかし、小腹が空いてきたのは同じだ。
セバスチャンがすぐにやってくる。
シエ「腹がへった。何か甘いものが食べたい。パフェ的な」
『チョコとバナナのパフェ・・・』
セバ「いけません坊っちゃんお嬢様、それ食べたら夕飯残すでしょう」
断られることは分かっていたが、シエルもナマエも引き下がらなかった。
結局5回ほど問答を繰り返しシエルとナマエが折れた。
客人が来るから夕飯を残したらマナー違反だろうと。