第4話
夢小説設定
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セバ「本当に捕まるしか能がありませんね、貴方がたは。
呼べば私が来ると思って不用心過ぎるのでは?」
ため息をつきながら話すセバスチャンに、当たり前のことを聞くなと言うように見つめるシエル。
シエ「僕らが“契約書”を持つ限り、僕らが喚ばずともお前はどこにでも追って来るだろう?」
セバ「・・・もちろん」
“契約書”は、悪魔が契約人を見失わぬためにつける“痕”。
“契約書”は目に付く場所にあればあるほど強い執行力を持つ。
その代わり、絶対に悪魔から逃れられなくなる。
ぐにゃ!
セバスチャンは檻をいとも容易く捻じ曲げ、シエルとナマエが出られるようにした。
セバ「どこまでもお供します。最期まで。
たとえこの身が滅びようとも私は絶対に貴方がたのお傍を離れません、地獄の果てまでお供しましょう」
自分は人間のように嘘はつかないと話すセバスチャン。
自分たち以外信じられないシエルとナマエにとって、絶対に嘘をつかない下僕はなくてはならない存在だった。
警察には連絡してあるというセバスチャン。
闇オークションを主催していたドルイット子爵をはじめ、参加していた人たちも警察に連れて行かれるだろう。
もうここに用はないと、子爵邸を後にすることにした。
シエ「僕がいては猟犬(ヤード)どもも良い顔をしないだろう」
『その格好を見られるのも困るしね』
シエ「ゴホンッ、とにかく、切り裂きジャック事件はこれで解決だ!」
恥ずかしそうに話すシエルを見てクスッと笑うセバスチャンとナマエ。
その時、外から警察の声と屋敷の中を駆け回る音が聞こえてくる。
セバ「どうやら警察が到着したようですね」
ガバッ
ひょいっ
シエ「ふぁ!?」
『わぁっ』
セバ「では参りましょう」
セバスチャンは軽々と2人を抱き上げ、外へ出て屋敷へ帰った。
ーーー
翌日
新聞には、大きく“切り裂きジャック、再び現る”の文字が印刷されていた。被害者はまた娼婦だったとも。
シエ「どういうことだ!?子爵は昨夜どこにも行っていなかった!」
子爵は昨夜はパーティに出席し、闇オークション会場でセバスチャンに気絶させられたまま警察に捕まったはず。
抜け出して殺人事件を起こすことは不可能だった。
『また考え直さなきゃだね』
シエ「ああ。もう一度絞り直す。セバスチャン、リストを」
一日かけ、容疑者リストの人物を洗い直したがどう頑張ってもアリバイのある人物が見つからない。
容疑者にする条件を緩めなければいけないのか。しかし緩めれば容疑者になる人物の数は膨れ上がり、それでも捜査は困難になるだろう。
『はぁあ、雨も降ってきちゃったし、ちょっと疲れたから休憩しよ』
ナマエがそう言った時、マダム・レッドがチェス盤を持ってやってくる。息抜きにチェスでもしようと。
『えー、私はパス。疲れてる時にチェスなんてしたら頭痛くなりそう』
アン「アハハ!ナマエはチェスは強いけどそういう所弱いわよね」
『笑うところじゃないよぅ』
マダム・レッドは机の上の書類をバラバラとどかし、チェス盤を置いた。
シエルも疲れていたようで、ため息をつくだけで特に怒りはしなかった。
グレルにお茶を淹れてもらい、シエルたちはチェスを、ナマエはソファにもたれ掛かって座っていた。
のだが、
アン「まずーい!」
グレルの淹れたハーブティーが、しょっぱかったのだ。砂糖と塩を間違えたのだろうか。
アン「あんたそれでも執事なの!?やり直し!」
グレ「これでも執事ですぅぅう!」
グレルは泣きながらハーブティーを作り直しに行った。
マダム・レッドは、淡々と仕事をこなすセバスチャンを見て有能だと呟く。
ドルイット子爵の件も、わざわざシエルとナマエが危険な目に遭わなくてもセバスチャン1人で何とかなったのではないかと。
『それはそうなんだけどさ・・・』
シエ「セバスチャンは言うなれば“駒”に過ぎない。その駒を動かすのは“騎手(僕ら)”でなくてはならないし、“自動で動く駒”で相手に勝ったとして、それでは“騎手”の功績になりはしないだろう」
セバスチャンは命令がなければ勝手に動かないように契約してある。
しかしセバスチャンは単なるチェスの“駒”とは違う。
進むマスに縛られることなく、一手で全てののマスに動けるのだ。
シエルは自分たちが現在しているチェス盤でも、ナイトを動かして遠くにあるキングをコン、と倒した。
アン「そんなの反則じゃないの」
さすがに今のゲームでそれは無効のため、キングを戻しながらマダム・レッドは頬を膨らませる。
しかし、現実の世界はルールに従わなければ勝てないチェスのようにはできていない。
裏切りも反則もある。
それらと対等にゲームをしようと思ったら、自分も反則をしなければ勝てないというシエル。
マダム・レッドは、裏社会を生きるシエルとナマエを見て心を痛めていた。
アン「あんたたちには、裏社会以外にも生きていく道があったはずだわ。きっと姉さん・・・あんたたちのお母さんもそう望んでいたはず・・・」
それでも裏社会に戻ってきたのは、父母の仇をとるためなのかと聞く。
アン「それに、ナマエだって・・・結婚して表社会の人間として生きることだってできるのに」
シエ「僕は仇を討とうと思ったことなど一度もない。
僕は、先代たちのためにファントムハイヴに戻ってきたわけじゃない、僕のためだ。ファントムハイヴを裏切り穢した人間に、僕と同じ屈辱を・・・痛みを味あわせたいだけだ」
『私も、自分とシエルのためにしか生きてない。私は、シエルみたいに強い人間じゃないから、同じ痛みを知るシエルに依存しないと・・・壊れてしまうから・・・』
セバ「・・・・・」
決意の篭ったシエルの顔、儚くも揺るがない意志を持ったナマエに、何を言っても無理だとわかった。
そんな話をしているうちに、シエルがチェックメイトをして勝負がついた。
アン「私には子どもができなかったから、あんたたちのことを本当の子どもだと思ってるのよ。本当は裏社会から足を洗わせたい」
シエ「今僕がここにいるのは僕が望んだことで、僕が選んだことだ。だから、後悔はしていないし、甘えてはいけない」
『・・・・』
ナマエも小さく頷く。
シエ「僕はそろそろ失礼する、楽しかった、マダム」
マダム・レッドの頬にキスを落とし、おやすみと挨拶をすると、ナマエの手を取り部屋に帰って行った。