第3話
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
執事の朝は早い。
夜は誰よりも遅くまで仕事をし、朝は誰よりも早く仕事を始める。
それが屋敷を一切仕切る執事の勤めである。
まず始めに使用人に1日の仕事の指示を出す。
セバ「おはようございます、みなさん。そろそろ始業時間ですよ。
メイリンはお嬢様の身支度の手伝い、あとリネンの整備を。フィニは庭の木の手入れを。バルドは昼食の準備をお願いします」
使用人を送り出したら、次は当主の起床に備えて目覚めの紅茶と朝食の準備を。
準備ができたら主人の部屋に向かい、カーテンを開ける。
我が屋敷の主人、シエル・ファントムハイヴ伯爵は12歳にして広大な領地を治める当主である。
それと同時に製菓・玩具メーカー“ファントム社”の社長としての顔も持ち、狡賢い・・・才能溢れる経営方法であっという間に巨大企業に成長させた。
シエ「くぁ・・・今日はアッサムか」
セバ「流石でございますね、坊っちゃん。アッサムで良い茶葉が上がったと耳に挟みましたので現地から取り寄せました」
ティーカップを受け取り、新聞を読みながら紅茶を飲む主人。バートン伯の養護院の子どもたちを家に招くらしい。
貴族の富は社会に貢献するためにある。その有り余る財を使い、民に施しを行うのだ。名門たるファントムハイヴ家も例外無く社会への奉仕活動をしている。
セバ「それは良いお考えですね。いつになさるのです?」
シエ「明日」
セバ「・・・(明日?)」
このガ・・・坊っちゃん、私に任せておけば何でもかんでも何とかなると思ってませんか?
いい加減人(?)使いが荒すぎます。
しかし笑顔で了承する。
セバ「どんな小さなお客様にもファントムハイヴの名に恥じぬ最高のおもてなしを」
主人の着替えを手伝いながら午後の紅茶とおやつの話もする。
セバ「本日の午後の紅茶はキーマン茶に、おやつはカラントとベリーのサマープディングにしようと思うのですが、いかがですか?」
シエ「まかせる。姉様にも聞いて決めれば良い」
セバ「了解しました。では私はお嬢様にも紅茶を用意して明日の準備に取りかかります。」
主人の部屋を出、少し離れたお嬢様の部屋に向かう。
トントン・・・とノックをすると、中からドタバタ音がする。
少しずつ扉を開ける。まだ着替えの途中だったら大変なので様子を見ながら。
すると、目の前にはお嬢様の部屋のカーテンを破りそうな勢いで引っ張っているメイリンが見えた。お嬢様はすでに着替えを済ませてメイリンを支えている。
セバ「おはようございます、お嬢様。
メイリン、あなたは何をしているんです?」
メイ「カーテンを開けようと思ったら、躓いて転んでしまったですだ」
セバ「はぁ・・・お嬢様の着替えが終わったのであれば代わりますので、メイリンは次の仕事を」
次はお嬢様のために紅茶を用意する。
『おはよう、セバスチャン』
今日も癒やしの笑顔で挨拶をしてくれるお嬢様。
ファントムハイヴ家の良心であり影の功労者。
人格に難のある弟・・・・ゲフンゲフン、お硬い性格の主人の代わりに社交界で融通を利かせた対応をしてくれる。
あの弟と同じ両親から生まれたとは思えない。
年相応にイタズラをしたり口が悪くなることもあるがちゃんと限度を知っており可愛いものだ。
セバ「今日の紅茶はアッサムです。
おやつにはカラントとベリーのサマープディングにしようと思っていますがいかがですか?坊っちゃんはお嬢様に任せると仰っていました」
『うん、大丈夫。でもベリーは酸っぱいのはヤダよ?』
セバ「承知しております。では、私は他の仕事に向かうので、何かあればお呼びください」
お嬢様の紅茶の準備の後は、明日の準備。
子どもたちが来るからチョコレートでもてなそうとチョコを溶かしていると、洗濯室から悲鳴が聞こえる。
使用人たちが次々と問題を起こし、お嬢様との時間で癒やされた気持ちがリセットされてしまった。
こんな時はそう・・・彼女に会いたい!!
ダッシュで裏庭まで行くと、そこには一匹の黒猫。この猫にエサをあげ、肉球を触らせてもらうのが日課だ。
しばらく肉球を堪能させてもらった後はまた仕事に戻る。
明日、養護院の子どもたちを迎えるためにチョコレートで暴れん坊伯爵というキャラクターを作っていた。
もうすぐ完成・・・・
ドドドドド
バターン!
使用人「セバスチャンさーん!!」
またまた使用人たちが何かをやらかしたのか無きながらやってくる。
しかしチョコレートの暴れん坊伯爵を見て全員目を光らせている。
フィニ「でも、これって一体何の像なんです?」
何を言っているのだ、フィニの好きな暴れん坊伯爵ではないかと言おうとし、フィニの視線の先を見ると
セバ「!!?・・・(首が、無い!)」
大事な暴れん坊伯爵の首が無くなっていた。
使用人たちは自分ではないと言っている。ではこの中にいない人物・・・
セバ「タナカさん!!」
使用人たちはタナカさんを探すために走り出した。
しかし、もう午後の紅茶の時間。
執事である私は坊っちゃんとお嬢様に紅茶を届けなければならない。
使用人たち(役立たずども)だけでは不安です、さっさと戻らねば。
ガチャッ
セバ「失礼します」
坊っちゃんとお嬢様が仕事をしている部屋に入ると、目についたスプラッターな光景、いや、違う。
チョコレートの暴れん坊伯爵が噛み砕かれたものがテーブルの上に置いてあった。
そして椅子にはうたた寝している主人たち。口元にはチョコレートが付いている。
暴れん坊伯爵の首を盗み出したのは私の主人たちだったのだ。
セバ「まったく・・・窓も開けたままで。
私がいるからといって、無防備すぎではありませんか?」
どうしようもない使用人、わがままな主人。
執事も楽じゃない。
けれどこの生活もそう悪くないと思えるのは・・・
ムニュッ
セバ「お嬢様、起きなさい。レディがつまみ食いなどいけません!」
『んむぅ?わ、セバスチャン!』
お嬢様の頬を軽く摘んで叱責すると、バレた!と焦りながら起きる。シュン、として反省しているようだった。
お次は
ぎぅぅうう
セバ「坊っちゃん、起きなさい!つまみ食いはいけないとあれほど申し上げたでしょう!」
シエ「っ!!?」
主人の頬を強めに摘みながら叱責する。
お嬢様よりも強めなのは、常習犯だからだ。
この生活をそう悪くないと思えるのは、猫のように気まぐれな主人たちがいるからだろうか。