第20話
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『・・・・どこ、ここ』
教団のある一室の前。扉には5センチ程の隙間が開いており、フィオラがその隙間から盗み聞きするような形で廊下にいた。
中からは複数の男性の声が聞こえる。
「やはりあの親子は亡きものにするべきだ!危険すぎる」
『・・・・あの親子って、まさか・・・私たちの、こと?』
突然聞こえてきた自分たちを否定する声にナマエは眉をひそめる。
「そうだ!“終焉の母”と呼ばれたフィオラが生んだ赤ん坊が世界を終焉に導くかもしれない!」
「現にナマエが生まれてからアクマが増え、千年伯爵も動き出している」
「なぜフィオラに赤ん坊を生ませたのだ!」
「任務中に襲撃にあったようにして消すしか無いんじゃないか」
「娘はまだ赤ん坊だ。事故死に見せかける方法などいくらでもある」
『いやっ!もう聞きたくないっ!!』
ナマエは耳を塞いだ。
母と自分の存在をまるっきり否定し、殺害を図るような言葉の数々に涙が出そうになっていた。
“危険因子だから”、“世界を終焉に導くかもしれないから”という理由で教団に命を狙われているのだと伺えた。
イノセンスに適合したらエクソシストと呼んで表面上は讃えているが、結局はただの人柱。自分の本当に讃える神に害が及びそうなら排除する。
神田の過去を少しだけ知っているナマエは、教団が裏で非人道的なことを行ってきたことを知っている。
しかし、それはエクソシストにするためのものだった。
母は今エクソシストとして聖戦のために身を粉にして戦っても、必要がないと思われ消されようとしている、そんな現実に絶望していた。
『やっぱり、最低だよ・・・』
ナマエがフィオラを見ると、胸のローズクロスを握りしめながら自室の方へ向かって行った。
きっとこれはフィオラの記憶だろう。
天使の能力か、科学班の力かでこの“記憶の玉”を作り上げたのだろう。
そしてナマエの足に付いている鉄枷は、教団と自分たちを結ぶ鎖を暗示しているのかもしれない。
逃げられないと。
ザザザーっと眼の前の場面が変化する。
ここは司令室のようだ。
当時の室長とフィオラ、ソウヤがソファに座って話している。
罵倒する声は今はきっと無いだろうと耳を塞いでいた手を外し、会話に集中した。
室長「お前達2人に任務だ」
フィオラ「え、ソウヤもですか?」
普段科学班が外に出ることなど無い。2人で何の任務があるのだろうかというように首を傾げる。
しかし、フィオラたちは頭の中ではなんとなく分かっていた。
きっと襲撃されるのだと。
室長「ソウヤはアジア支部出身だったな。今アジア支部が人手が足りないようで手伝いに来てほしいそうだ。
フィオラはその護衛だ。さすがに教団の大事な頭脳をアクマに殺されるわけにいかないからな」
ソウヤ「アジア、支部、にですか・・・」
ソウヤは顔を歪ませた。
本当にアジア支部へのヘルプだとしても絶望だ。
アジア支部では人体実験のようなことを平気でしていた。
ソウヤは深くそれに関わってはいなかったが、嫌になって本部で働きたいと志願し必死に勉強したのだ。
しかし断ることなどできない。
任務を受け、アジア支部へと出発することにした。
『お父さんはアジア支部出身だったんだ・・・
ユウ・・・』
すぐに任務に出ることになったのか、フィオラとソウヤは自室に戻って旅支度をしていた。
ナマエはベビーベッドで機嫌良くモビールをいじっている。
フィオラ「罠、かな」
ソウヤ「わからない。けど、その可能性も視野に入れないとな」
フィオラ「ナマエは・・・」
ナマエを誰に預けるかで頭を悩ませていた。
1番信頼しているクロスは数日前から任務で外に出ている。しばらくは帰ってこないだろう。
しかし、下手に室長の息のかかっていそうな人に預けたら命はないかもしれない。
フィオラ「ナマエ・・・」
フィオラはナマエを抱き上げ、強く抱き締めた。
自分たちが死んでも、ナマエだけは護ると。
フィオラ「・・・神様・・・どうか、ナマエをお守り下さい」
ナマエを抱いているフィオラを前から抱き締めるソウヤ。
ナマエはキャッキャと父母の顔を撫でていた。2人は、無邪気に笑うナマエを見て笑みを浮かべているが、目は赤く泣いていることが伺えた。
『お母、さん・・・お父さん・・・・』
ナマエの目からも涙が溢れる。
結局、ナマエはソウヤと仲の良い科学班の人に預けることにした。しかし、自分たちが命を狙われているかもしれないなど言えるはずもなく、ただ任務中だけ預かってほしいと伝えただけだった。