第1話
夢小説設定
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『ユウ、ねぇ、ユウってば』
ナマエは神田に追いついて横を並んで歩いているものの、神田は無言で前を向いてズンズン進んでいる。
『・・・』
ガッ
神「うぉっ!?」
そんな神田にイライラしたナマエは、神田に足を掛けバランスを崩させる。
神田は足を掛けてきたナマエを睨みつけた。
『なんでそんなに不機嫌なの』
周りの人からすると神田はいつでも不機嫌そうに見える。しかし、その中には仏頂面はしているものの、別に怒ってはいない時も多く、ナマエにはその変化はなんとなくわかっている。
そのため、こんなにも無視をしてくる神田がいつもよりも不機嫌だと気づいていた。
神「あ?別に」
『じゃあ何でそんなに無視するの。不機嫌じゃん』
ナマエの問いかけに短く答えながらも更に進んでいく神田。
『バ神田』
神「あ”ぁ”?」
ナマエが立ち止まって呟くと、神田もすぐに反応し睨みつけながら立ち止まる。
今ならゆっくり話せると思ったナマエは、今まで言いたかったことを話し始めた。
『・・・・医務室にいたって聞いた』
ナマエはアレンの騒ぎがある前に神田が医務室にいたことを気にしていたようだ。
『大丈夫だったの?大怪我とかしてない?』
神「してねぇよ。それにもう治った」
『・・・・・』
ナマエは不満気な顔で神田を見る。
神田はその視線に気づき、一度目を合わせると気まずくなったのかすぐに逸らした。
『呪符の力、使ったからでしょ』
神「・・・・」
『心配するから、あまり怪我、しないでよ』
神田は異常に身体の怪我の治癒が速い。
それは過去の出来事によるものだった。
そのことを知っているナマエは、神田が怪我をすることを嫌がる。そのため神田もあまり怪我をしたことを直接言わないようにしていたのだ。
神「チッ、わかってる」
不満気な顔から少しずつ心配そうな顔に変わってきたナマエを見てさすがにマズイと思ったのか、ナマエの頭に手を置きながら返事をした。
『うん。無理しないでね。
じゃあ私はご飯まだ食べてないから行ってくるね。ユウは?』
神「俺はもう食った」
『そっか。じゃあまた後で』
そう言うと神田と別れて食堂へ向かった。
ジェリーにうどんを頼んでから既に数十分が経過していたため、もう片付けられているだろう。
『ジェリーさんごめんなさーい』
あまり混んでいなかったため、ヒョコッとジェリーの所に顔を出し声をかける。
ジェリー「あらん?おかえり、ナマエ。うどんはまだ茹でてなかったからセーフよ!
侵入者はどうなったの?」
ナマエは先程の出来事をジェリーに話した。
ジェリーは仲間が増えたことを嬉しく思っていたようだった。
『私の弟弟子なんだ、優しくしてあげてね』
ジェリー「おっけぇよん♪はい、うどん」
世間話をしている間も作業をしていたようで、うどんが目の前に置かれた。大きなおあげもついている。
『ありがとうジェリーさん』
うどんの乗ったお盆を持って席を探していると、見知った顔が見えた。
『リナリー!』
リナ「ナマエ、神田と話せた?」
そこにいたのは、リナリーだった。リナリーはパンケーキを食べている。
リナリーに隣りに座って良いか聞くと快諾してくれたため、隣りに座った。
『うん、不機嫌だったけど』
リナ「アレンくんに嫉妬したんじゃない?」
『・・・?』
ナマエはリナリーの言った話にうどんを咀嚼しながら首を傾げる。
リナ「ナマエからするとアレンくんは弟弟子だから普通に喋ってるけどさ、神田からすると“何でぽっと出のヤツと軽々しく喋ってんだー”って感じなんじゃない?」
『えー、そうなのかな』
リナ「絶対そうよ!もう焦れったいのよ2人は!!
早くくっついてよ」
急に熱弁を始めるリナリーに若干引くナマエ。
いつ付き合うのか聞くと、ナマエは寂しそうに笑う。
『・・・付き合わないよ』
リナ「何で?だってもう両想い確定でしょ?」
『多分、そうなんだろうけど・・・ダメなの』
リナリーは不服そうな顔をしていたが、寂しそうなナマエを見ると追求できなくなり話を変えた。
『(ごめんね、リナリー・・・
それでもユウは、“あの人”が一番だから)』
きっと周りの人たちは、戦争中でいつ命を落とすか分からないから大切な人を作らないようにしているのではないかと思っている。
しかし、そんな浅いところの話ではないのだ。
もっと深い、誰にも理解できない理由がある。
それからはリナリーと科学班の人の面白い研究などの話で盛り上がっていた。
食事を終え食堂を出るとリナリーがワクワクした様子で聞いてきた。
リナ「これから任務?」
『ううん、今のところは入ってないよ。部屋でシャワー浴びて寝ようかと思ってた』
ナマエのその言葉に目を輝かせるリナリー。
『な、なに?』
リナ「久しぶりに!一緒に!大浴場行きましょ!」
『え”』
リナ「何でそんな嫌そうな顔するの!?」
プゥっと頬を膨らませるリナリー。
しかし、ナマエは人とお風呂に入るのが苦手だった。
リナリーと最後に一緒に入ったのも数年前の話だ。
クロスの弟子であるナマエは、クロスに何度も呼びつけられ長期の任務ついでにクロスのもとへ赴いていた。
そのため数ヶ月本部に戻らないことも多く、リナリーともお風呂に入ることがなくなっていた。
『だって、さあ・・・』
ナマエの視線の先にはリナリーの長い脚。
『リナリースタイル良いから絶対悲しくなる』
ナマエの方が2歳年上だが、自分の方が身長が低く凹凸も少ない。
大浴場で比べてしまうことを嫌がっていた。
リナ「良いじゃない!私、ナマエはお姉さんでもあり妹でもあると思ってるから!」
『どういうこと!?』
リナ「こういう時は可愛いナマエは妹みたい。ほら、行きましょう!」
『ちょ、待っ、わぁあ』
ナマエはリナリーに引き摺られるように大浴場へ連れて行かれた。