第7話
夢小説設定
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近くの港から船に乗り込む。
『ヨーロッパって遠い?』
クロス「遠いな。しかもだいたい英語で喋るからな」
『え!?』
クロスはみっちり教えてやるから大丈夫だと話す。
そんなことよりも、と話を変えるクロス。
クロス「お前の本当の父と母のことだ。教団本部に行く前に伝えておかなきゃならねぇ」
ナマエは小さく頷き、話を聞く準備ができていることを伝えた。
クロス「お前の本当の父と母も、もう亡くなっている」
『・・・』
ということは、やっぱり独りぼっちだと思い俯く。
クロス「お前の父は日本人で、これから行く所で科学者をしていた」
『かがくしゃ?』
何かを作ったり発明したりする人だと説明を受けると、へぇ・・・と感心していた。
クロス「でだ、お前の母なんだが・・・天使だ」
『・・・・?』
クロス「天使」
『天使って、あの?』
クロス「あの」
ナマエは頭に、絵本の世界でのみ出てくる可愛らしい天使を想像する。
しかしそれが母だと言われても、全くイメージも湧かないし現実味もなかった。
クロス「ククッ、じゃあお前の父と母の話してやる」
クロスはゆっくり話し出した。
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6年前
黒の教団本部
医務室に1つの産声が響いた。
「おめでとうフィオラ」
フィオラと呼ばれた女性は汗をかきながら、笑顔でそれに答えた。
フィ「ありがとう。ふふっ、可愛い」
フィオラは産まれたばかりでタオルに包まっている赤ん坊を抱き、愛おしそうに見つめた。
フィ「あなたも抱っこしてあげてソウヤ」
ソウヤと呼ばれた男性は、恐る恐る赤ん坊を受け取った。
元気に泣いている赤ん坊に一瞬怯むが、抱いている間に産声は落ち着き、目を閉じて静かに眠っている。
周りの医師や看護師たちは微笑みながら3人の様子を見ている。
赤ん坊はナマエと名付けられ、教団内で大切に育てられていた。
フィ「父親のあなたと私、どっちに似るのかしらね」
ソウ「俺には似なくて良いよ、変わり者って言われるから」
フィ「ふふっ、そんな変わり者を愛した私はもっと変わり者じゃない?」
ソウ「お前は変わり者というか、なぁ」
フィオラは天使だった。
その事実を知っているのはエクソシストと数名の科学班や医師、そして当時の室長などの上層部のみ。
何故天使が人間の世界にいるのか。
数千年前に天界が何者か襲われる出来事があり、天使一族は地上に逃げて来たのだ。
天界に戻ることを諦めた天使一族は地球にある小さい島で穏やかに暮らしていた。
しかし、つい最近になってアクマという兵器が現れ、残った天使たちも命を落としていった。
生き延びたフィオラは大陸に辿り着き、任務中のクロスに出会った。
持っていたイノセンスに奇跡的に適合したフィオラ。エクソシストとして黒の教団の一員となり、科学班の苗字ソウヤと恋に落ちてナマエを身籠ったのだ。
ーーー
数週間後
クロス「ついに産まれたのか」
フィ「えぇ。クロス、あなたも抱っこしてあげて」
久しぶりに教団本部に帰ってきていたクロスは、友人であるフィオラとソウヤの子どもが産まれたと聞き、フィオラとナマエのいる部屋に来ていた。
クロス「ソウヤは?」
クロスは、部屋にいない父親のことをキョロキョロ探した。
フィ「あの人は仕事中毒だから、科学班の所にいるわ。
娘も産まれたから、私が安全に任務をこなせるために色々開発するって意気込んでたの」
クロス「ククッ、アイツらしいな」
フィオラはエクソシストだ。今は出産したばかりのため任務は入れられていないが、また体力が回復したら任務に行けと言われるだろう。
その時にフィオラを守るには科学の力でなんとかするしかない、と言っていたようだ。
フィ「ほら、ナマエ。パパとママの友だちのクロスよ」
ナマエは目をパッチリ開けてクロスを見つめていた。
抱き上げることを躊躇していたクロスだったが、フィオラに圧をかけられ受け取ることに。
クロス「ガキの抱き方なんて知らねぇよ」
フィ「落とさなければいいのよ」
クロス「・・・それが母親の言うことか?」
なんとかフィオラからナマエを受け取ると、ピシッと固まるクロス。
クロス「おい、フィオラ」
フィ「ぷっ、なあに?」
クロスがどうしたら良いか分からずプルプル震えている様子を見て吹き出すフィオラ。クロスがもう代わってくれと言うがフィオラは笑ってばかりだ。
その時、クロスをじっと見ていたナマエの顔が歪み始める。
クロス「なっ、泣くな」
クロスは焦ってナマエを揺する。首が座っていないため小さくだが。
『ふぇ、ふぇえ・・・びぇぇええん!』
クロス「お、おい、フィオラ!」
フィ「まだ人見知りも無いし、基本的に誰にでも機嫌良く抱っこされるのにね。
クロスおじちゃんは怖かったねぇー」
フィオラはまだ笑ってこの状況を楽しんでいる。
しかしさすがにずっと娘を泣かせておくのも気が引けたのか、クロスから受け取るとよしよしとあやし始めた。
するとすぐに泣き止み、フィオラに笑顔を向けていた。
クロス「何だよそれ」
フィ「タバコ臭かったのかしらね」
クロス「それはどうしようもねぇだろ」
その時
ガチャ
ソウ「お、クロス」
部屋の扉が開き、ソウヤが入ってきた。
ソウヤはクロスに一言声をかけた後ナマエの頭を撫で回し始めた。
ソウ「クロスに遊んでもらってたのか?」
フィ「抱っこしたら泣かれてたわ」
ソウ「クロスは怖かったねぇ。おーよしよし」
クロス「・・・」
夫婦揃って同じ反応をすると、クロスはわなわなと震える。
クロス「いいんだよ、俺はガキの世話なんぞしたくもない」
ソウ「・・・・」
ソウヤは突然真剣な顔になってクロスを見る。フィオラもその雰囲気に気づいたのか、静かに2人を見守った。
ソウ「・・・クロス、頼みがある」
クロス「あ?何だよ改まって」
クロスは頭に?を浮かべている。
ソウ「俺たちに何かあったら、ナマエのことを助けてやってくれ」
クロス「・・・・・あ”?」
突然何を言っているんだと眉間にシワを寄せるクロスに、ソウヤは小さく笑う。
クロスはフィオラの方を見るがフィオラも儚げに笑うだけ。
クロス「・・・何かあるのか?」
元帥の自分でも知らない何かが起きようとしているのかと不審がる。
フィ「杞憂だと良いんだけどね・・・」
フィオラ、ソウヤ、クロスは無垢な笑顔でフィオラの顔に手を伸ばすナマエを見つめた。
結局何を考えているのかクロスには教えられず、3人はそれぞれ育児や仕事に戻っていった。