第3話
夢小説設定
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神田がコムイから任務の話を聞いているのをボーっと近くの花壇を見て待っていると「ナマエがコムイと話したいそうだ」と言っているのが聞こえ、そちらを向くと受話器を渡された。
神「お前はアイツと一緒に本部に帰還だ」
『わかった、ありがとう。
もしもし、コムイさん?ナマエだけど』
コム《やっほー、ナマエちゃん。怪我してない?》
電話を変わるとすぐに聞こえるコムイの優しい声。
『うん、私は大丈夫。全治5ヶ月の人に比べたらね』
神「だから治ったって言ってるだろ」
コム《で、どうしたの?ナマエちゃんも僕と話したいだなんて》
すぐに真剣なトーンになるコムイ。
いつもふざけてはいるものの、いざとなるとしっかりしているから信頼している。
ナマエは深呼吸をしてから話し出した。
『・・・・あの話、受けようと思う』
コム《!》
電話の先で息を呑む音が聞こえる。
そして隣からも焦った声が投げかけられる。
神「お前っ、聞いてねぇぞ!」
『さっき決めたの』
コム《いいのかい?》
『うん。ユウがさ、今回の任務で考えが甘いアレンに“大事なものは無いのか”って怒ってたの』
神田はそんな事があったなと思い返し、コムイはそんな事があったのかと返事をする。
『それから考えてたんだ、私の大事なものって何か』
神田もコムイもナマエの両親のことは知っている。
そのため何も言わず次の言葉を待った。
『私の大事なものはね、この世界でも教団の勝利でもない。ユウやエクソシストのみんな、大好きな教団の人たちだけ』
コム《・・・・》
『教団の勝利のためじゃない。大好きな人たちを守るために私・・・
元帥になるよ』
コムイは少し沈黙した後、ふぅ、と息を吐いて返事をする。
コム《決意は硬いようだね、わかった。大元帥たちに伝えておくよ》
『ありがとう』
コム《ちなみにクロス元帥には言ってあるよね?》
『言ってないよ?さっき決めたって言ったでしょ?』
コム《・・・・・僕殺されるかも》
『え?何、聞こえない』
何でもないと誤魔化すコムイにむくれているナマエ。しかし電話口ではそんな表情などわからない。
とりあえず戻ってきたら話をしようと言われ電話を切った。
ーーーー
マテールでは、人形がグゾルが亡くなってからもずっと子守唄を歌い続けている。
アレンは人形が歌っている場所の近くで膝に顔を埋めていた。
神「何寝てんだ、しっかり見張ってろ」
『アレン、風邪とか引いてない?』
アレ「大丈夫です。全治5ヶ月の人の方が心配ですけど」
神田は先程の病院と同じように「治った」と言うがアレンにも疑われていた。
ナマエはアレンの隣、神田は少し離れた所に腰を下ろすとコムイと電話した内容を話した。
神「俺はこのまま次の任務に行く。お前はナマエと一緒に帰って本部にイノセンスを届けろ」
アレ「わかりました」
神田はずっと俯いているアレンを見てため息を吐く。
神「辛いなら人形止めてこい。あれはもうララじゃないんだろ」
アレンは、グゾル、ララとの約束だから自分には止めることができないと話す。
ララを壊すのはグゾルでないとダメだと。
神「甘いな、お前は。
俺たちは“破壊者”だ。“救済者”じゃないんだぜ」
アレ「わかってますよ」
神田に先程、アレンのフォローをしすぎだと言われたため2人のやり取りをじっと見ていた。
アレ「でも僕は・・・」
ヒュォオッ
「『!』」
一際大きな風が吹くと、ララの歌が止まった。
3人は、ララとグゾルがいる建物へ入る。
今まで歌っていたララは停止している。
『ララ・・・良かったね』
アレ「・・・」
アレンとナマエがララに近づくと、
ララ「ありがとう、壊れるまで歌わせてくれて。
これで約束が守れたわ」
現実か幻覚か分からなかったが、確かにララは笑っていた。きっと天国でグゾルと幸せに暮らすだろう。
アレ「・・・ぐすっ、神田・・・それでも僕は、誰かを救える破壊者になりたいです」
『・・・なろう。アレンならなれるよ』
神「フン・・・気が済んだら帰るぞ」
3人は駅まで無言で歩いた。
ここで神田は反対側の汽車に乗って任務に向かうとのことだった。
『ユウ、気をつけてね』
神「ああ」
『怪我、しないでよ』
神「わかってる」
神田とナマエは何度か言葉を交わしたあと別れた。
帰りの電車の中、静かに窓の外を見ていたアレンにナマエは声をかけた。
『アレン、私、元帥になろうと思う』
アレ「あ、ついにですか!?」
アレンとは、クロスと旅に出ている間に何度か自分が元帥になる資格はあるという話をしていた。
『うん、クロス元帥にはまだ言ってないし、勝手に決めたから怒られるかも』
クロスはナマエに“元帥にならないか”という達しが来るたび強く拒否していた。
何故拒否をするのか聞いても教えてくれず頬を膨らませた記憶が何度もある。
アレ「じゃあナマエは師匠の弟子じゃなくなるんですよね・・・」
『あー、どうかな』
アレ「イヤです!じゃあ僕ナマエの弟子になります!
ナマエが教団に1人で帰ってる時、師匠と2人きりの時間がどれだけ辛いか・・・」
泣きながら話すアレンに苦笑いを浮かべる。
ナマエがいる時にはアレンにも厳しくないが、ナマエがいない時にはもっぱらコキ使われているとアレンに愚痴を言われたものだ。
『まぁ、教団に来たから元帥とはしばらく離れられるでしょ。あの人本部に帰るの嫌いだし』
アレ「だと良いんですけどね」
教団に近づくにつれ、雲が濃くなっていく。
嵐が来そうだ。
アレンが教団に来てから初めての任務は無事終了した。
アレンの参加により、教団はどのように変化していくのかー。