第27話
夢小説設定
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『何が狙い?』
呪詛師は何も答えない。
『私を殺そうとした?閉じ込めようとした?』
「・・・さあな」
『誰に言われたの?高専の上層部?それとも他の呪詛師とか?』
「・・・・・・」
『正直に話して』
「・・・・・・・」
キンッ
『っ!!宿儺!?』
黙っていた呪詛師の頭が急に半分になった。
情報を吐かせなければならないのに何をしているのだと宿儺に抗議する。
宿「ここまで聞いても何も言わないのであれば、殺せば良いだろう。
それに、俺は今猛烈に機嫌が悪い」
名前が自分の声ではなく“五条悟”の名前を出して正気を取り戻したことにイラついていた。
もちろん名前にではなく、五条とこの呪詛師に。
『でも、敵が誰なのか把握しないと!』
必死に宿儺に言うが、聞く耳など持たないというようにそっぽを向く。
宿「そんなもの、降りかかる火の粉は払えばよかろう」
『私以外の人に被害が及ぶのが嫌なの!』
自分の身は守れるかもしれない、しかし仲間が狙われたら。そのためにも敵は外にいるのか内にいるのか聞かなければならなかった。
宿「どこまでも甘い女だな」
『甘くたっていい。私には大事なものがたくさんあるから、それを守るためにできることはやりたい』
その言葉にため息をつく宿儺。
殺してしまったものは仕方がないと、情報は諦めるしか無かった。
そして名前は廃村を見渡す。
今、周りの大事な人と目の前にある大事なものとを天秤にかけなければならない状況にあることに気づいていた。
呪詛師の遺体、そして集落を燃やし尽くす。
ここがあれば、きっと何度も同じことが起こる。
そうならないために、全て消さなければならない。
目を赤くし自分の家に向けて手をかざしている名前を見て、宿儺は名前がやろうとしていることを理解した。
宿「燃やすのか?」
『うん。また狙われたら嫌だもん』
名前の心中を察し、宿儺は自分がやろうかと声を掛ける。
『私がやるよ、宿儺は休んでて』
ゴウッ
名前が昔、兄のためにタンポポの指輪を置いた場所から火が昇る。
『・・・・・』
パチパチと燃える家だったモノ。
近隣の家、そして禁術を使った御堂も燃やし尽くしてきた。
これで本当に何もなくなった。
しばらくして小さくなった炎をじっと見つめている名前を静かに見る宿儺。
『・・・・終わったよ』
炎が収まると宿儺に向き直る名前。
宿「なんだ、そんな寂しそうな顔をして。俺に慰めてほしいのか?」
『ふふ、ありがと。
でも大丈夫・・・一回悠仁くんに戻れる?』
補助監督の所に戻らないと、と言うと不服そうな顔で見てくる宿儺。
どこか五条に似ているなと思った。
『また後で呼ぶから。お願い』
そう言うと、素直に虎杖に身体を返す宿儺。
虎杖は「大丈夫でした!?」と心配していた。
悠「呪霊を倒した後、宿儺が勝手に出てきてさ・・・」
あの数の呪霊をすぐに1人で倒した虎杖に感心する。
『うん、宿儺に助けられた』
悠「珍しいこともあるんだな」
前に肉体を改造された吉野を治してほしいと言った時には断られ、罵られ、笑われたと言うのにと虎杖は不満そうにしていた。
宿「名前にだけだ」
悠「うわぁ。驚かすなよ」
虎杖の頬から口が出てくる。反射で虎杖は頬を叩いていた。痛くないのだろうか。
悠「先輩を助けてくれたかもしれないけどよぉ、勝手に出てくんな」
宿儺は叩かれた反対の頬から口を出しケラケラ笑いながら虎杖に話す。
宿「貴様ではあの領域は壊せそうになかったからな。あのような領域は、飲み込まれたヤツが自ら目を覚ます必要がある。
あのまま名前が領域の中にいたらどうなっていたか分からなかったぞ。
死んでいたか、洗脳か、人形のようになるか・・・」
『悠仁くん、あまり宿儺に言わないであげて。私の失態を深掘りされてるようだから』
悠「・・・っす」
まだ言いたいことはあったようだが、口を閉じた虎杖。
虎杖に聞いたところ、術式にはまっていた時間は15分程度だったようだ。
補助監督にも心配されるような時間ではないだろう。
何事もなかったかのように帳から出る。
補助「おかえりなさい。大丈夫でした?お怪我は?」
『はい大丈夫です。
えっと、これから私たちって新しい任務が入る予定あります?』
補助「いえ、遠くへの出張なので今日はもう入らないと思います」
今はもう日も暮れ、新幹線で帰っても夜中になってしまうためホテルをとっておいたと話す補助監督。
ちょうど良かったと話し、泊まる場所へ向かうことにした。
ホテルに着くまでの間、名前は虎杖と携帯でやり取りをしていた。
『《ホテルに着いたら、30分後に私の部屋来られる?》』
悠「《いや、ダメでしょ。五条先生に俺殺されますって!》」
『《そのための30分の猶予。悟に連絡しとくから》』
悠「《補助監督も同行するのは?》」
『《だめ。正直に言うと、宿儺と話したいの。
そのために今回悠仁くんに同行頼んだんだから》』
悠「《宿儺と?》」
『《そう。苗字家のこと、知ってるみたいだったから聞けることあるかなって》』
悠「《ならなおさら安全のために補助監督に来てもらった方が良いんじゃ?》」
『《私は今、宿儺よりも高専上層部の方が信用ならない。どこで話が漏れるかわからない。
だから、お願い》』
悠「《五条先生にちゃんと言っといてくださいよ》」
『《そこは任せて》』
悠「《じゃあ、着いたら30分後に行きます》」
『《ありがとう》』
補助「お2人喧嘩しました?静かすぎて怖いんですけど」
無言でやり取りをしていたため、喧嘩でもしたのではないかと心配される。
お互い担任に連絡していたと嘘をつき、その場をしのいだ。