第34話
夢小説設定
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『巫女さんの魂は、今まで私に縛られてたんですか?』
自分が生まれ落ちた時から、禁術を使われた時からこの役目のために私の中に居続けていた?
もしくは次の人にこのことを口伝するまで魂がこの世に縛られ続けていた?
どちらかであれば、巫女は死してなお辛い思いをしていたのかもしれない。
「ふふ、大丈夫よ。今の今まであの世で楽しく暮らしていたわ」
『よかった・・・・』
少し安堵したあと、気になることを聞いてみることにした。
『巫女さんは苗字家のこととか、どこで知りました?私、何も知らなくて』
「昔苗字家の残した書物にあったのよ。
私たちが受けた、一族の一番呪力の強い人に呪力を与えて消滅する禁術のことも載ってたと思うわ」
苗字家の書物。そんなものが存在していたなんて聞いたことがなかった。
『・・・巫女さんは、知ってる?今ね、呪術界で苗字家って煙たがられてるんです。だから私の父様の代で山奥に引っ越したって。
私は昔の家の場所も知らないし、まだその家が残ってるかも知らない』
それを聞くと悲しそうな顔で名前を見る。
「私の頃もあまり良くは思われてなかったけど、今の方が酷いのね」
『十年以上前に、呪術界の上層部の仕向けた呪霊のせいで私以外いなくなりました』
「・・・そっか」
『巫女さんは、苗字家は・・・無い方が良いと思いますか?』
「やっぱり不安よね。
苗字家の血を残して良いのか・・・」
『はい・・・五条家の当主と婚約もしてて、いずれは跡継ぎもって・・・。
五条家の血も混ざるけど、苗字家の特殊な血も受け継がれていってしまったらどうなるのか不安で』
もちろん五条とずっと一緒にいられたら、家庭を持てたら良いなと想像を膨らませている。
しかしそれと同時に、苗字家はもう自分一人。自分が結婚し子どもを設けたらその子、子孫たちにこの業を背負わせてしまうのではないか、このまま血を途絶えさせるべきなのではないか、そう思うと不安が募ってくる。
「でもまぁ、貴女の母が遺したネックレスも私が出てこられる鍵の1つだったわけで、貴女はそういうこと何も知らなかったんでしょ?
じゃあ私たちのように禁術で周りの人が自分のために消滅することも、四神全てを受け継ぐことも無いんじゃない?」
自分が既に受けた苗字家に伝わる禁術の話も、自分は教えてもらっていないため、同じような状況になっても使うことができない。
『父様と母様は苗字家の全てを知っていた・・・?』
父母兄は全てを知っていて、苗字家の業から名前を救おうとして何も知らせずに消滅した。
『だったら、全ての情報を事前に父様たちが消してるかも・・・』
きっと移住する前に住んでいた家は、苗字家の歴史と共に消されている。
「ありえる話よ。私だって子孫を残せたら絶対に何も言わなかったと思うわ。
禁術や四神のことを語り継いでいかなければ、ただの呪力が強い一族で話が完結するもの。あまり理解していない苗字家の人が語り継いじゃったのね」
『・・・複雑な気持ちです』
私のことを想うあまり不安にさせられた部分もある。
しかし、私の未来のことも考えてくれた結果であるのなら嬉しい。
「そうね。でも、幸せになってほしい気持ちは確かじゃないかな。
さて、そろそろ時間かしら」
抱き締め合っていた身体を少し離して額を合わせる。
『・・・見守ってくれてありがとうございます、これからもよろしく』
「ふふっ、よろしく」
巫女が何か呪文を唱えると温かいものが頭から身体へ流れていく。
『なん、ですか?』
「ん?ここでのことを、忘れる呪文」
『えっ、巫女さんとのこと、忘れちゃうんですか?』
せっかく会えたのに、領域展開のヒントくれたのに、と話す名前にクスクス笑いながら、初対面なのに悲しんでもらえると嬉しいと話す。
「愛する人、五条と再会したら思い出すかも、何かの拍子に」
『??』
急に抽象的なふわっとした言い方をされ、頭に?を浮かべる。そんな話をしていると、巫女が額を離した。
「・・・・・・・・・おわり、じゃあね」
『はい・・・えっと、あの世でもお幸せに!』
「くすっ、ありがとう、貴女も幸せになってね。
あと、自分も大事にするのよ」