第34話
夢小説設定
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ーーー
『ん・・・』
起きたときには朝の日差しが部屋に入り込んでいた。
周りを見渡すと近くのソファで乙骨が寝ている。
『(頭、痛い・・・)』
乙骨を起こさないようにそっと部屋から出て寮に向かった。
『えっと、頭痛薬は・・・』
自室の引き出しを開け、薬箱から頭痛薬を取り出して飲む。
すると
カタ・・・
『?』
物音がしてそちらを振り向くが何もない。
高専の結界が弱くなっているから呪霊でも入ったのかとも思ったが、青龍を出しても呪霊の気配はない。
カタ、カタ・・・
依然物音がする。
音の出所はどこだと探していると、学習机横の棚の中から聞こえてきていた。
『え、そこは・・・』
そっと棚を開けるとそこにあったのは、ネックレス。
『母様・・・?』
ネックレスを手に取ると
ボッ
『わっ!あ!』
ネックレスから4色の炎が浮かび上がってきた。
灰色、青、薄水色、赤
全ての色が混ざり名前の胸に飛び込んでくる。
『っ、熱っ・・・』
胸に感じる熱さに目を瞑る。数秒後熱さが落ち着いて目を開けると、そこは大きな屋敷の畳の部屋だった。
『え・・・?』
そしてそこには
『私・・・?』
名前と同じ顔、背格好の着物の女性が正座をしていた。
「ふふっ、ようこそ。」
しかし名前よりも大人のようで落ち着いた雰囲気だった。名前にはこの女性に思い当たる節があった。
『えっと、まさか・・・苗字家の、巫女さんですか?』
「そうね、いろんな人から“巫女”なんて呼ばれてるけど、ただの呪力の強い呪術師よ」
ここは巫女の精神世界のようだった。
母が遺したネックレスと何らかのきっかけによりこの空間が解放されたとのこと。
そのきっかけは五条封印か、呪霊の大量放出か、何なのだろうとボーッと考えていると、立っているのも疲れるから座るよう巫女に促される。
とりあえず座って巫女を見つめる。
『えーっと・・・?』
「混乱するわよね。時間は限られてるけど、まずはお互いの話からしましょ?
何か聞きたいこととかある?」
『・・・両面宿儺って知ってます?』
それを聞くと「いきなりその話?」と懐かしむように笑い、知っていると答える。
その儚さに宿儺から聞いたことは本当だったのだとわかる。
『巫女さんは、宿儺に呪力を分け与えてから亡くなったと聞いています』
「まぁ、そういうことになるかしら。
もう余命も僅かだったから、体力もなくてね。最後の力で宿儺に全てを捧げた感じになったってわけ」
『・・・そんなに好きだったんですね、宿儺のこと』
「・・・そうね。自由奔放で残虐な面もあったけど一途に私を愛してくれていたから。」
宿儺は数百年経っても変わらないようだ。今も死後呪物となり、宿儺の器である少年の身体を使って同じようなことをしていると話す。
「そうなのね。貴女は宿儺が好きなの?宿儺の器の方?」
『・・・どちらでもないです。
えっと、菅原・・・?五条家、でわかります?』
巫女は肯定する。
『その五条家の、今の当主と、その・・・恋人というか』
照れながら話す名前を見て笑う巫女。
「ふふっ、恋する乙女って感じで可愛いわね。」
クスクス笑っている巫女はとても色っぽく、見とれてしまう。
宿儺がガキを無理矢理抱く気はないと言った理由もわかる気がする。
巫女は立ち上がり名前のもとに向かうと優しく名前の身体を抱き締めた。
『?』
「貴女は禁術を受けたのよね」
『は、はい・・・』
巫女は少し考えたあと、領域展開は使える?と聞いてきた。
名前は領域展開のイメージも湧かず出来ないと話す。
「そっか。じゃあ、教えてあげる。貴女、すでに領域展開を使えるはずよ」
『え?』
「条件があるの。苗字家の四神を継いだ、禁術を受けた者が領域展開する条件が。
それは・・・・・・・・・」
条件を聞いて目を見開く。
今までに聞いたことがない条件だった。
「この空間はさ、多分それを伝えるための空間」
巫女は辺りを見回しながら話す。