第33話
夢小説設定
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『じゃあ・・・私一回戻るね』
虎杖たちから離れ、日下部らがいるところへゆっくり歩いて向かっていった。
高専の生徒や補助監督らはほぼいなくなっており、偶然残っていたパンダの近くに行く。
パ「お、名前。もう歩いて大丈夫なのか?」
『うん、なんとかね』
視界の端で虎杖と脹相が自分たちと反対方向に歩いていくのが見えた。
死なないで、無理しないで、と祈るばかりだ。
篤「元気なやつは現状の確認と近くにいる呪霊を祓いに行け。あ、学生は帰れ。
治療が必要なヤツは家入のとこに。」
さすがに今は自分が仕切るしかないと思っていたのか日下部は周りの呪術師に指示を出していく。
近くの呪術師は日下部の指示に従い動いていた。
あらかた指示を出し終えた日下部のもとに行くと声をかけた。
『先生』
篤「苗字、お疲れ。大変だったな」
『はい、あの時は助けてくれてありがとうございました』
名前は夏油に連れて行かれそうになった時のことを話していた。日下部は自分が行くしかなかったからな、と不器用に答えていた。
『先生も無理しないでくださいね。
私はこのまま硝子さんのとこ行ってきます』
そう声をかけて歩き出そうとすると、日下部は名前を引き止める。
篤「乙骨が明日帰国するそうだ。
それと、五条家には先ほど連絡を入れたらしい」
それを聞くと複雑な心境になり、教えてくれたことにお礼の言葉だけを伝えて歩き出した。
家入は簡易の医療施設の片付けをしていた。
夜蛾も一緒にいたが、今は席を外しているということだった。
『硝子さん・・・』
硝「名前!無事だったか」
名前が来たことに気づくと、ホッとしたように息を吐き抱き締める。
名前も家入の背中に腕を回して服を掴んだ。
『硝子さん・・・悟が・・・傑さんも・・・』
硝「ああ、聞いた。まったく、あいつらは名前を悲しませて何をやってんだか」
『悟はね、“少し会えないだけ”って言ってたから信じるんだ』
ぎゅっと手に力を入れながら話す。
硝「じゃあ戻ってこなかったら説教しなきゃな」
『うん』
その時、名前の携帯が鳴った。
『・・・椿さんからだ、どうしよう・・・』
電話の相手を見ると椿だった。
仲間たちには悟に言われたことを信じて待つと言えたが、五条家に対してはまた違う感情が込み上げる。
責められたらどうしよう、なぜ悟が封印されたのだ、なぜ身代わりにならなかったのかと。
ネガティブに考えて泣きそうになる名前。
しかし家入は絶対にそんな事はないと名前のスマホに手を伸ばし通話ボタンを押してしまった。
『硝子さんっ!』
椿《もしもし!?名前様ですか!!?》
音が割れるほどの声で名前を呼ばれ、息を飲む。
『つ、ばき、さ・・・』
うまく言葉が続かない。
硝子は背中を擦ってくれている。
椿《ご無事ですか!?お怪我は!?》
『大丈、夫です』
そう言うと、椿は「良かった・・・」とホッとしたように話していた。
『でも、でもっ・・・・』
椿《悟様、ですよね》
『・・・うん』
椿《・・・・・名前様、今日はこちらに帰ってきませんか?》
思っても見なかった言葉に驚く名前。勘当、もう敷地に入るなと言われてもおかしくはないと思っていた。
『・・・無理だよ』
椿《お忙しいのですか?》
『・・・』
忙しい、と言ってしまえば楽だったのだろうが、言葉に詰まってしまった。
これでは忙しいと言っても信じてもらえない。それ以前に嘘を付いてしまうことが申し訳ないと思っていた。
そんな名前を見て、家入は名前からスマホを取ってスピーカーにし話し出す。
硝「もしもし、五条悟くんの同級生だった家入です。
これから軽く名前の治療をして、すぐに帰す予定でした。」
椿《ああ、家入様。お久しぶりです。
治療って、やはりお怪我をされたのでしょうか》
硝「まぁ、少しですけど」
椿《・・・名前様、やはり私は名前様に帰って来ていただきたいです・・・名前様の顔が見たいです。
剣様も心配なさってます。どうか・・・》
最初の音割れするような大声はどこへやら、とても小さい声で話す椿に胸が絞め付けられる。
『・・・わかった』
椿《!!左様ですか!では今迎えに参ります!どちらへ向かえば良いですか?》
家入は、名前に代わってここからそう遠くなく安全な場所に迎えに来るよう伝えた。呪霊もたくさんいるから気を付けてと付け加えて。