第31話
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ーーーー
『っはぁ・・・はっ、ぅ・・・』
渋谷駅のホームでは、夏油に抱えられた名前が辛そうに息をしていた。
夏油は名前の額の汗を拭い取ると、意識の無い名前に話しかける。
傑「毒も回ってきたようだね、でもちょっと移動するよ」
獄門疆は既に持ち上げることができるようになっており、夏油の懐に入っていた。
先ほど線路上の“帳”が上がったため様子を見に行くことにしたのだ。
名前を片手で抱え上げ、線路に降りて歩き始める。
「いやはや、君か」
夏油が歩いた先にいたのは冥冥と憂憂だった。
傑「冥さん、お久しぶりです」
冥「刺客を放っておいてよく言うよ、夏油くん。
名前は大丈夫なのかい?だいぶ辛そうだけど」
冥冥の視線の先には固く目を瞑り、浅い呼吸を繰り返している名前。
傑「大丈夫ですよ、死なれちゃ困りますからね。」
冥冥は、夏油がなぜ生きているのか考えていた。
去年五条がしくじったのか、五条と夏油、名前がグルで騒ぎを起こしているか。
しかし、五条、名前とグル説はすぐに候補から無くした。
五条であれば誰かと組む必要もなく国の人間を皆殺しできる。
名前がグルであれば、あんな辛そうな名前をそのままにしておくわけがない。
冥「私は五条くんより君を買っていたんだよ。ニヒルな笑顔もチャーミングだった。
そんな君を殺さなければいけないなんて残念至極だ」
傑「冥さん、私も残念です。かつての先輩を手にかけるのは」
冥冥は夏油が偽物だと思うが、呪霊操術で呪霊を出したことで混乱していた。
傑「特級特定疾病呪霊“疱瘡神”
去年、手持ちの呪霊は使い果たしてしまいましたが、質は衰えていませんよ」
この呪霊を祓えたら相手をするから奥の線路で待っていると話す夏油。
『ぅ・・・め、いさん・・・』
傑「意識が戻ったかい?」
薄く目を開け、先ほどいた人物の名前を呼ぶ。
傑「ふふ、冥さんと戦えるかな」
知り合いに会えて安心した反面、戦って欲しくない、夏油の殻を被った呪霊は強く、負けるかもしれないため逃げて欲しいとも思っていた。
少しすると、冥冥と憂憂が夏油の前に現れる。
傑「やるじゃないか。最近の術師にしては」
冥「そっちこそ、名前を抱いたまま戦うとは余裕だな。
こちらに返してもらってもいいんだよ?」
夏油はククッと笑いながら、片手だけでも十分だと言う。
『めい、さ・・・だ・・め、逃げ・・・』
冥「・・・まぁ、やれるだけやるさ。
可愛い名前を守りたいからね」
憂憂「姉様、僕は!?」
冥「何を言っているんだ、憂憂が一番だよ」
憂憂「姉様っ」
それでいい、自分を守るために誰かが犠牲になるなどあってはならない。
夏油は特級呪霊を数体出していく。
冥冥は神風や武器である斧を使って戦っていった。
しかし烏は少しずつ減っていき、徐々に押されていた。
名前は、何度も憂憂に視線を送り逃げてくれと伝える。憂憂も視線には気づいているがきっと冥冥の指示がないと動かないのだろう。
傑「さて、そろそろ限界じゃないですか?」
冥「・・・・・すまない、名前」
名前はゆっくり冥冥に顔を向け、大丈夫だと伝えるように口角を上げた。
『は、やく・・・うい・・・くん』
冥「憂憂、頼む」
憂「わかりました、姉様。名前さん、ごめんなさい!」
冥冥が烏を夏油に向けて飛ばす。
夏油は軽々と烏を払い落とすが、目の前には既に2人の姿は無かった。
傑「名前を見捨てて逃げたのか」
『いい、の。私のために、なんて・・・死んじゃ、だめ』
傑「健気だな。じゃあ、真人たちに合流しようか」
『(まだ、動かない・・・か)』
1回目よりも多く毒の血液を体内に入れてしまったことでまだ身体も動かせず息苦しかった。
ーーー
地上へ出ると、激しい戦闘音が響いていた。
そして辺り一面何もない場所が存在していた。
建物も道路も全てが塵になったかのように何もない。
『(何、これ・・・)』
傑「ふむ・・・真人、押されてるね」
真人は今虎杖と京都校の東堂と戦っていた。
東堂の術式、虎杖の黒閃により追い詰められていた。
もう改造人間のストックが無くなったようで、もう逃げるしかなかった。
逃げる真人、追う虎杖。
それは雪山で逃げる獲物と補食動物のようだった。
そこへ
「助けてあげようか、真人」
真人「夏油・・・」
名前を抱いた夏油が現れる。
悠「名前先輩!
(夏油って名前、袈裟に額の傷!)」
真人を追いかけていた虎杖も夏油を発見する。メカ丸から聞いていた、五条を封印した人物の特徴と一致していため、標的を夏油に変え向かっていく。
悠「五条先生と名前先輩を、返せ!!」
『ゆ、じくん・・・だめ、死ん、じゃう』
案の定、虎杖は夏油の操る呪霊によってダメージを与えられていく。
傑「呪霊操術の強みは手数の多さだ」
虎杖が体勢を整える前に新しい呪霊を出し、攻撃を受けた虎杖は身体中が傷だらけになっていた。
傑「去年の百鬼夜行、新宿と京都に戦力を分散させなければ、勝っていたのは乙骨ではなく彼だったろう。
君には関係のない話だったかな」
それでも虎杖は諦めない。
悠「返せ!!」
傑「我ながら流石と言うべきか、宿儺の器、タフだね」
その時、真人の手が、夏油が抱いている名前に伸びる。
バッ
ドサッ
『っあ・・・』
夏油は一度名前を放り、真人をいなした後、呪霊を取り込む時のように球状にする。
傑「続けようか、これからの世界の話を」