第28話
夢小説設定
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『・・・・悟・・・』
名前を呼ばれ、顔を上げると出張から帰ってきたであろう五条が立っていた。
悟「学長が遅いから探してこいって」
『?』
辺りを見ると暗くなっており、ここに来てからだいぶ時間が経っていたようだ。
悟「ほら、風邪引いちゃうから。行くよ」
『・・悟・・・・』
名前は両手を五条に向け、広げた。
悟「今日はいっぱい甘える約束だったからね」
五条は名前を抱き起こし、そのまま胸の中に閉じ込めた。
名前は五条の腕の中で深呼吸をする。
『疲れた・・・』
悟「お疲れ。
言いたいことは山ほどあるけどさ。まずは報告しに行こうか」
『うん』
2人は夜蛾の待つ学長室に向かった。
ガラッ
『ごめんなさい、夜蛾さん。遅くなりました』
夜「いや、大丈夫だ」
五条と名前が並んで夜蛾の前のソファに座り、任務の報告をすることになった。
『結論から言うと、今回の件はやはり私を狙ったものでした。
集落にいた呪霊が私を“欲しい”と言っていたのを聞いています』
その話に顔をしかめる五条と夜蛾。
なぜ名前は狙われ続けなければならないのだろうかと考えていた。
『で、その後に現れた呪詛師も、私を殺すためというよりは行動不能にして閉じ込めるような術式の人でした』
夜「その呪詛師は?」
『・・・・死にました。私を助けてくれた宿儺の手にかかって』
夜蛾はその言葉に驚く。五条は宿儺が名前を助けた事実を知っていたが、夜蛾は知らなかった。
夜「悠仁からも宿儺になったことは聞いていない。なぜすぐに連絡しなかった」
きつく問い詰める口調の夜蛾に何も言えなくなる。
いや、どう言ったらいいかわからない。
『それは、ごめんなさい。
でも、悠仁くんの力だったら、あの呪詛師の領域は壊せませんでした。私も領域から出られず、ただ助けを待つか、呪詛師の手中に落ちるしかなかった・・・』
夜「宿儺は、名前を助けて何を企んでいるんだ・・・?」
その呟く夜蛾に五条と名前は言葉に詰まる。
一度目を合わせ、夜蛾には言っておこうと頷き合った。
『・・・夜蛾さん、これは絶対誰にも言わないでくださいね。
私、宿儺が昔愛した巫女の生まれ変わりみたいで。
宿儺は基本的に私に危害を加えようとしません。
自分で言うのもアレですけど、大切にしてるって感じがあります』
悟「恋人の目の前でそんなこと言わないの。妬いちゃうでしょ」
『うるさい、報告の1つだから言わなきゃでしょ』
夜蛾は口を開けたまま固まり、あの呪いの王が、と呟いていた。
『話を戻すと、今回の件はきっと呪術師界の上層部とはまた違う勢力や黒幕がいるんだと思います。
それが誰なのかはわかりませんでしたが・・・』
夜「そうか、わかった。引き続き名前は複数での任務で頼む」
『わかりました』
報告はそれだけにし、五条と名前は学長室を出た。
悟「今日は五条家に帰ろうか」
『うん』
ーーー
五条家
「おかえりなさいませ、悟様、名前様」
『ただいま』
2人が帰ると、既に夕飯の支度がされており、すぐに席について食べた。
食事後、軒先に2人で並んで座る。
『ふふ、そういえば、まだ私のご飯はピーマンが少なめなんだね』
悟「まだ苦手なんじゃないの?」
『失礼な。少しなら食べられますー』
昔と変わらない五条家の面々からの気遣いに嬉しくなる。
『みんな、相変わらず優しいね。やっぱり落ち着く』
悟「名前が好かれてるんだよ。だから優しくされる」
私が何をしたというのだろう。
特に何もしていないのに、こんなに優しくしてもらって良いのだろうか、何かみんなにお返しできているのだろうか。
悟も、宿儺もそうだ、愛した女性とそっくりだとはいえ、性格は全く違うだろう。こんな私の何に惹かれたというのだろう。
そこへ、椿がやってくる。
椿「悟様、名前様、お風呂はどういたします?」
悟「名前が先に行きなよ」
『え?いいよ、悟先で』
悟「いいの。ゆっくりしてきな」
これ以上譲り合いをしても埒が明かないだろうと思い、先にお風呂に行くことにした名前。
名前がお風呂に行った後、椿は悟に話しかける。
椿「悟様・・・」
悟「ん?」
椿「名前様、何か悩みがあるのでしょうか」
夕飯の時にもいつもよりも元気がなかったと話す椿。
悟は、名前のちょっとした変化に気づいた椿に感心した。
悟「悩みっていうか、辛かったことがあってさ。この後ゆっくり聞く。そのためにここに帰ってきたから」
椿「そうなんですね。
・・・悟様」
1つ呼吸をした後、椿は悟をまっすぐ見つめて話す。改まって話し始める椿を不思議に思いながら悟は聞いた。
椿「私は小さいときから名前様のお世話をして参りました。
ですが、どこか寂しそうにしていても、私にはどうすることもできませんでした。
きっと悟様だけなんだと思います、名前様を心の底から救ってあげられるのは。
だから・・・」
悟「うん、任せて。でもさ」
その時、少し離れたお風呂場から大声が響いた。
『椿さーーーん!新しいパンツ忘れたから持ってきてーー!』
椿「あらあら、悟様もいらっしゃるというのにもう・・・」
悟「プッ・・・名前は椿さんのこともかなり信頼してると思うよ。」
椿「ふふ、そうですかね。ありがとうございます」
そう言ってパタパタ名前の部屋に向かっていく椿を見て微笑んだ。