第21話 返事
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
秘密ラボでの出来事、そして名前が杉浦に告白された次の日。
八神探偵事務所
今日は朝から星野や杉浦、東とも合流して作戦会議をする予定。
事務所組の3人は他のメンバーよりも少し早めに集まっていた。
沈黙の中、名前は口を開く。
『八神さん、海藤さん・・・私、文也くんに告白、されたんだよね』
八神と海藤は顔を見合わせる。
以前杉浦から名前が好きだという話を聞いたため驚きはしなかったが、名前から相談されるとは思っていなかったようだ。
呼び方が“杉浦くん”から“文也くん”になっていたことには気づいても触れなかった。
八「そうか。返事したのか?」
名前は『まだ』と言いながら首を横に振った。
何か思うところがある様子の名前に八神たちは話の続きを待った。
『高校生の時も男の子に付き合ってって結構な数に言われたけど、勉強と部活に専念したいって断ってた。
でもその時は告白されても何も思わなかったし、しつこい人には蹴り入れたし。』
八「(モテてたのか・・・)」
海「(今、蹴りを入れたって言ったか・・・?)」
『でもさ、文也くんに告白された時、嬉しかったしドキドキした、ずっと一緒にいたいと思った』
八「それは・・・」
『うん・・・きっと好きってことなんだと思う。でもさ・・・文也くんに"幸せにする"って言われたとき現実に戻されたの』
八「?」
名前の泣きそうな顔を不思議に思う八神たち。
『私が・・・私だけが、幸せになって良いのかなって。
だって、お父さんもお母さんも、檜山組の人も私のせいで殺されちゃったんだよ?
あの人たちの幸せを・・・私が、奪ったのに・・っ・・・私が、幸せになんて、なっちゃダメだよ。
そんな資格ない・・・』
堪えきれず目から涙が溢れ出す。両手で顔を覆い肩を震わせる。
名前が嗚咽を漏らす中、海藤のため息が聞こえる。
海「心外だな」
『え?』
名前は涙を流したまま海藤の顔を見る。
海「今は幸せじゃねぇのか?俺たちといても絶望を感じてるってのか?」
『そんなことっ・・・』
海「じゃあ良いじゃねえか。
杉浦が恋人になったら、今少しでも感じてる幸せにその分が足されるってだけだろ?
・・・俺は名前ちゃんを保護したときから幸せになってほしいって思いながら一緒に過ごしてたぜ。ター坊や東、組長その他の連中もきっとそうだ。その気持ちも踏みにじるのか?」
『っ・・・』
海藤は真剣な顔で続ける。
海「それに、親父さんやお袋さんたちが名前ちゃんのことを恨んでんならもう化けて出てんだろ。そうじゃねぇってことは、幸せになることを望んでるってことだろ。
幸せになるのに資格なんか必要ねぇよ。
他人のことばっか考えてねぇで、もうちょっと自分の本心に素直に生きようぜ。」
優しい笑顔で言う海藤に、名前はさらにポロポロ涙を流す。