第20話 告白
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『そこからは地獄の日々だったよ』
ターゲットの顔、住処から、ハッキングして抜き取ったデータ、色んなものを覚えさせられて、悪事に使われた。拒んだら学校の同級生を狙うと脅されたり、殴る蹴るは当たり前だったね。
ご飯を食べずに死んでしまおうかとも思ったけど、無理矢理食べ物を口に入れられて出来なかった。
半年くらいそんな生活が続いた
でも、ある日
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ダダダダッ
「ボス!東城会系の組の奴らが乗り込んできました!!もう半数以上やられています!」
「何だと?」
東城会が松金組を差し向け、ハルクに報復しに来たのだ。その中には海藤もいた。
海「おらぁ!覚悟しろやぁ!」
「ぐぁあ!」
ハルクの構成員はどんどん倒されていく。
名前は激しい戦闘の音が聞こえないよう耳を塞いで、奥の部屋にいた。以前父母のいた事務所が襲われた時のことを思い出しカタカタ震えている。
『お父さん・・・お母さん・・・怖いよ・・・』
バンッ
『!!!』
いきなり開いたドアに激しく身体をビクつかせる名前。
部屋の隅で、涙でグシャグシャの怯えた目でドアの前にいる人物を見る。
海「嬢ちゃんが苗字名前ちゃんか?」
『・・・(コクン)』
名前を呼ばれ反射的に頷く名前
海「そうか。組長!名前ちゃん見つけやしたぜ!」
そう男、海藤が大声を出すと後ろから優しそうなお爺さんが目の前に現れる。
松「君が苗字名前ちゃんだね、東城会系檜山組の事件で行方不明になっていた、瞬間記憶能力の持ち主。
俺は東城会系松金組組長の松金貢だ。君を助けに来たんだ。おいで、一緒に帰ろう」
松金が手を差し伸べるが
『いや!やだっ来ないで!あなたもどうせ私の目が狙いなだけでしょ!?』
松金の手を振り払い睨み付けながら叫ぶ名前。
松金がどうしたものかと考えていると、
海「うるせぇ!」
パシッと名前の両頬を大きな手で乱暴に包み、海藤は名前と目を合わせる。ビクッと身体が跳ね、手をどかそうとするが、声とは裏腹に優しい眼差しで見てくる海藤に抵抗を止める。
海「俺らはなぁ、そんなモン関係ねぇよ。 こんなボロボロでガリガリの女の子見て助けねぇわけにいかねぇだろ。つべこべ言わずに来いよ。俺らがお前を守ってやるからよ」
『ぅん・・・うんっ・・・』
再び涙をポロポロ流しながら頷き、海藤の腕にすがり付く名前。
それから名前は松金に娘同然の扱いを受けていた。
もちろん東もお菓子をくれたり話し相手になってくれたりしていた。
しかし、組の中には名前の力を有効活用させたがる人もいた。
それが羽村だった。
羽村は、名前の能力があれば松金組ももっと上に行けると何度も組長を説得したり裏で側近と話したりしていた。
もちろん名前にもその事は伝わり、羽村とその側近には懐くことがなかった。
松金は、この環境にいては名前の為にならないのではと思い、来春から一人暮らしをしながら高校に通って普通の女の子として生活して欲しいと考えた。
そこで
松「ター坊、こっちが名前だ。これから勉強を見てやってくれないか?」
面識はあったが、あまり話したことのない八神が名前の家庭教師になることに。
名前も八神が夜間学校に通い上げ、弁護士になったと聞いていた。
八「わかった、ただし俺はスパルタだからな?」
『えっと・・・よろしくお願いします』
八「身内から敬語で喋られるの慣れてないからタメ口で良いよ。」
『・・・わかった』
その日から八神にくっつき、時には松金組事務所、時には源田法律事務所で勉強を教わっていた。
八神はなんだかんだ言いながらわかりやすく優しく教えてくれ、名前が行きたがっていた高校に進学することができた。
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『そこから一人暮らししながら高校行って。で卒業したら八神探偵事務所でお世話にって感じかな』
杉「なんていうか・・・壮絶だね。
(少しの期間とはいえ怖い大人たちの間にいたんだ、そりゃあ他人の様子を伺いながら過ごすようになるよ。他人の感情にも敏感になるし。
それに、憎んでる相手はきっと捕まったんだろうけど・・・やりきれない気持ちで長い間過ごしていたんだろうな・・・)」
『うん・・・でももう大丈夫だから、気にしないで』
東「・・・ん?兄貴からメッセージか。
おい、名前。兄貴たちの用は終わって解散するらしいぜ」
『え、もうこんな時間!東ごめんね、ありがとう。文也くん、そろそろ帰ろ』
話し終わると、すっかり夜も遅くなっていた。
シャルルにずっといると迷惑だと思い、店を出ることに。
店内では
東「(文也くん・・・だと?)」
名前からの呼ばれ方が急に変わっていることに衝撃を受けていた東であった。
シャルルの前。帰る方向が違うからとここで分かれることになった。
杉「名前ちゃん」
ふと杉浦が名前を呼ぶ。
『?』
不思議に思い、振り返ると目の前に一見いつもの強気な顔だが、若干唇を噛み複雑そうな顔の杉浦が見えた。
『そんな顔しないでよ。もう昔のことは吹っ切れてるから大じょ・・・え・・・』
フニャリと笑いながら杉浦を安心させるように笑う名前。
大丈夫だと言おうとした瞬間暖かいものに包まれた。
フワッと杉浦の匂いがして抱き締められていると気づく。
杉「ごめん、過去のこと、本当は話したくなかったよね?」
『・・・ううん、だって約束したじゃん。文也くんが話したら私も話すって。気にしないで』
杉「うん・・・ねぇ、名前ちゃん」
杉浦は一度身体を離し、名前と向き合う。両手で頬を包み込み真剣な顔で目線を合わせる。
杉「僕は名前ちゃんが好き。
幸せにしたい、守りたいって思ってる。」
『!!』
突然の告白に目を泳がせ動揺する名前。困っている様子の名前に杉浦はフッと笑い、頭を優しく撫でる。
杉「・・・返事は今じゃなくても良いから。じゃあまた」
そう言って杉浦は歩いて行った。
名前はドキドキする心臓を押さえる。
だがそのドキドキは嬉しさだけではなかった。
20話 終