第14話 強がり
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ーーー
名前は家に着き、シャワーを浴びてフラフラとベッドへ向かう。
『っ・・・ふぅ・・お父さ・・・ぅう・・・』
1人になった瞬間様々な思いがこみ上げポロポロと止めどなく流れる涙。
危ない橋を渡っている者同士、こうなる可能性があることは想定していた。しかしいざその時が突然訪れると感情が激しく揺さぶられる。
厳しくも優しい2人目の父親。辛い時期を一緒に乗り越えられるように赤の他人の自分にあの手この手を尽くしてくれた。
訣別してしまったものの、事件が落ち着いたらまた話ししてみようと考えていた。
それももう叶わない。
後悔、悲しみ、怒り、様々な思いが頭の中で渦巻いている。
しばらく泣いていると
~♪~♪
着信を知らせる音楽が流れる。電話に出る気分でもないと思いつつ画面の表示を見ると“杉浦文也”の文字。
迷った挙げ句、出ない方が心配をかけるかもと思い、通話ボタンを押す。
『・・・もしもし』
冷静に、いつも通りを意識しながら話す名前。
杉《もしもし、杉浦だけど(鼻声・・・やっぱり泣いてたのかな)
無事に家に着いたか気になってさ。もう着いた?》
『うん・・・シャワーも浴びて、もう寝るだけ』
杉《そっか、良かった》
杉浦は心底安心したように息を吐きながら話した。
そしてガラッと話の内容を変える。
杉《そういえばさ、家に前僕が取ってあげたカムロップいるの?》
『え?いるけど』
名前はベッドの上で仰向けに倒れているカムロップのぬいぐるみを手に取る。
杉《ふふっ、今の物音、すぐ近くにあったって感じだね。嬉しいよ》
名前はカムロップを抱きしめながら杉浦の声を聞き、少しずつ落ち着きを取り戻し始めた。
杉《また八神さんにこき使われて忙しくなりそうだから、休めるときに休んどくんだよ?》
『うん、八神さん人遣い荒いもんね。頑張らなきゃだ』
杉《その調子。じゃ、そろそろ切るね。おやすみ》
『おやすみ』
電話を切ると名前はカムロップを抱いたまま布団に潜り込んだ。不思議と先ほどまでグチャグチャだった心が少しだけ穏やかになったように思えた。
少しすると夢の世界へ入っていった。
ーーー
数日後
今日は東城会本部で松金組長の葬儀があった。
八神と源田は葬儀に参加し、海藤、東、名前はモグラだと判明した黒岩を監視している。
ちなみに海藤はすでに驚異的な回復力により復帰している。
黒岩が捜査しているのは、今朝方あった共礼会の塩屋がモグラの被害者になったという事件だった。
場所は松金組事務所前。
黒岩監視組は現場近くに停めたバンの中で黒岩の動向を探っていた。
黒岩が出てくるのを待ちながら3人は話をする。
海「名前ちゃんは組長の葬儀に行かなくて良かったのか?別に行っちゃダメな立場じゃねぇだろ?」
『うん・・・でも、行けないよ。あんな別れ方したから。』
寂しそうな顔をしている名前を見て、海藤と東は心を痛める。
海「そうか」
東「・・・」
『2人も行きたかったでしょ・・・また落ち着いたらいっしょにお墓参り行こう?』
海「そうだな・・・」
その時、黒岩が松金組事務所から出てくる。捜査が一度中断されたのだろう。
黒岩と八神探偵事務所の3人はお互いに睨み合う。
黒岩の向かう先を見ると、部下の刑事と一緒に車に乗り込んでいた。さすがに車を追う必要はないと判断し、監視はここまでとなった。