第3話 裁判
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KJアート内が見えるビルの屋上で海藤と待ち合わせる。
海「名前ちゃんまで来たのか!?」
『うん』
名前の真っ直ぐな目に何も言えなくなる海藤。
以前は窓から中が見えたが、今はブラインドが閉められており、中が見えない状況になっていた。
そこに人質がいると確信し、乗り込むことに。
海「良い作戦を立てといたぜ。まず俺がビルの正面で騒ぐ。で、連中の目ぇ引いてる間にお前らが入り込んで人質を連れ出す」
3人は二手に分かれ、海藤は事務所前の看板を入り口の硝子戸目掛けて投げつける。
海「おう!村瀬のクソガキいるかぁ!?元松金組の海藤だ!村瀬出さねぇとこのビル燃やすぞ、こらぁ!」
狙いどおり共礼会の人たちは海藤のいる正面入口に集まってくる。
海「行け、ター坊、名前ちゃん。今がチャンスだ」
八「わかった、死ぬなよ海藤さん」
八神と名前は裏口からビルの中に入っていく。
途中、下っ端たちを倒しながら人質がいるという応接室に向かう。
『ここが応接室だね』
八「そうみたいだな」
ガチャ、と扉を開けると、震える女の子とその回りを囲って座っている男たちの姿が見える。
八「セイヤの妹だな?もう大丈夫だ、助けに来た」
組員「八神!?と、女?・・・てめぇらいつの間に?」
『八神探偵事務所の所員です。その子を解放してください』
人質の解放を求めると、縛ってないから監禁ではないと言い張る組員。セイヤの妹は思い切り首を横に振り、意思表示をする。
八「あー、なるほど。あんたらもカタギの監禁はヤバイと思ったわけか。けど、それじゃ言い訳にならない。縛って拘束する行為だけが監禁じゃないんだよ。もうちょっと勉強しな」
『(こういう時に弁護士の知識が活きるんだよなぁ)』
監禁、そして脅迫罪と組員たちの罪状を述べながら煽る八神。口車に乗せられた組員が襲いかかってくる。
名前は人質を壁際まで避難させ、近づく男に蹴りを入れて倒していく。
部屋にいた男たちを全員打ち倒すと扉が開き村瀬が入ってきた。
八「村瀬さん・・・もういいだろ。これ以上騒いでも泣き目見るのはあんたらだけだ。
羽村にはアリバイがある。久米をやったのは別の人間だ。だからセイヤの証言止めるのにあんたらが身体張る必要はない」
村「なら久米はだれがやったんや?」
八「それはまだわからない。ただ・・・羽村ならそれを知っている。あいつは真犯人とグルだったはずだ。羽村がムショに入ったらどうやって真実を確かめる?」
八神と村瀬が会話している間、名前はセイヤの妹を介抱していた。
『大丈夫?怖かったね。もう家族のところに帰れるからね』
妹「ありがとう・・・ございます」
優しく声をかける名前に妹は涙を流す。村瀬と八神の間にあった殺気が消えたとわかると、名前は妹に肩を貸しながら立ち上がる。
村「フン、わかったわ・・・行けや。今は探偵さんの度胸を褒めといたる」
八「どうも」
セイヤの妹を支えながら2人は村瀬の横を通り、事務所を出ていく。村瀬が事務所前で海藤と争いあっていた舎弟たちに声をかけ、海藤も無事帰還。
八神は新谷とセイヤに妹を救出したことを電話で伝え急いで裁判所へ。名前は妹とコンビニで温かい飲み物を買った後一緒にタクシーに乗り込んだ。
他愛の無い話をしていると妹も落ち着いてきたようで少し笑顔が見られる。
『じゃあ、私はここまで。運賃、足りなかったら八神探偵事務所まで請求してね』
裁判所に着くと名前はタクシーを出て妹に別れを告げ、中に入っていった。
もうすぐ裁判が終わるだろうと法廷内には入らず、裁判所の入口で待つことにした。
ーー
法廷では、人質が解放されたことでセイヤが胸を張り証言していた。
セ「防犯映像の中で僕を殴っているのは、今この法廷にいる松金組の羽村さんです」
先ほどと全く異なる証言をしたことで一時は証言の信憑性を疑われたが、新谷が泉田検事の言動の矛盾点を見つけひっくり返される。
結果、羽村は無罪となった。
神室町の奥深くで息を潜めているモグラの謎を残したままー・・・
閉廷後、八神が自分を見て鼻で笑う羽村を睨みながら、今後も八神探偵事務所はこの事件を追うことを決意していると後ろから誰かが声をかけてくる。
ーーー
名前が裁判所の入り口のソファに座っていると羽村の裁判で傍聴席にいた人が続々出てくる。
裁判が終わったのか、と思い八神が出てくるのを待つ。通る人の会話に耳を傾けるとやはり羽村が無罪になったのだとわかり安堵する。
『(・・・?八神さん遅いな・・・)』
なかなか八神が来ないと思っていると1つの可能性が浮かぶ。
『(まさか、服部?)』
傍聴席内の様子を思い出していると、奥に座っていたジャーナリスト、服部耕の顔が頭をよぎった。服部は3年前の事件で八神にしつこく取材し、八神が何を言っても「殺人鬼を野に放ったインチキ弁護士」として陥れようとするような内容に改変して雑誌にあげていた人物だ。
2人で話しているのではないかと、名前は足早に法廷内に向かう。
『八神さん、帰るよ』
法廷内には片付けをしていた裁判所の職員を除けば八神と服部のみ残っていた。椅子に座り俯く八神、そしてそれを嘲笑うかのように下から覗き込み話しかけている服部のもとへ歩み寄った。
名前が声をかけても八神は俯き、服部も名前を一瞥し話を続ける
服「まさか、また法廷に戻ってくるつもりじゃないでしょうね?八神さん」
八「誰もそんなことは言ってない」
八神の辛そうな顔を見ていられず服部を睨みながら声をかける。
『っ、服部さん。もうお引き取りください。八神さんは今は探偵事務所の所長、探偵なんです。』
服「それなら結構です」
立ち上がり八神を見下ろしながらそう言って法廷を出ていく服部。
名前はしゃがんで八神に目線を合わせる。
『八神さん、帰ろう?』
八「・・・ああ」
2人は足どり重く法廷を出る。
事務所に帰るタクシー内でも2人はお互いに外を見たまま一言も話さなかった。
結局この日はこのまま解散となった。
3話 終