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今宵は何大戦?

『あの鳥…』

真っ黒な鳥。
どこへ向かうのかはっきりしている。

『酉の戦士だね』

「あの鳥は、酉の戦士の眼と思ってもいい」

『だよね。
酉の戦士はお友達にしたほうがいいよ、憂城くん』

私達は同時に、真っ黒な鳥を追いかけるため走り出した。



黒い鳥が、あるコンクリートの建物に入っていった。
私は小声で言う。

『憂城くん、私があの子に情報を聞き出すから、そのあと殺して』

頷くのを見る前に黒い鳥を目で追う。


鳥は、女の子の肩に止まった。


『どうも』

呼び掛けると、女の子はビクッと肩を揺らした。
鳥は、どこかへ飛んでいった。

「あなたは……、猫?」

私は憂城を真似してこくんと可愛く頷く。
少しでも殺気を見せないように、武器を頭から追いやる。

『猫の戦士、愛想ふりまいて殺す、音恋』

「酉の戦士、啄んで殺す、庭取」

名乗り終わり、私は笑顔を作って、キラキラと目を輝かせてみせる。

『そういえばさ、庭取ちゃん。
あなたって、鳥とお話できるの?』

「まあ、話というか…意志疎通ができるの。
鳥の見ている景色が見えるよ。
…………あなたは、さっき卯の戦士といたはず」

『いたよ。だけど逃げられちゃった。あの子足速いから。
ねぇ、私達……仲間にならない?』

「え?」

私は彼女に一歩近づいた。

『あなたを勝たせてあげる』

「…いいの?」

『うん』

「嬉しいな!」

…信じるんだね。
こんなわかりやすい嘘。

『じゃぁ、決まりね。
早速だけど、誰が生きているのか教えてくれる?』

「うん。ちょっと待ってね」

彼女は目を閉じる。

誰が生きているのかなぁ。


「今は…
子、丑、寅、辰、未、申、酉、戌。あと7人…
ん…、卯が近い________」

『_____もういいよ』

「え?」

憂城くんは2本の大蛇を胸に突き刺し___


瞬殺。


少しして、庭取が赤い瞳をして立ち上がる。
憂城は、私のことをお友達と言った。

『ありがと、憂城くん。
さあ、あと7人、殺しちゃおう』
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