短編
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「ロロって、さぁ」
閉店後のモストロ・ラウンジ。
他の従業員に混じってせっせと後片付けをしていたロロに、ふとフロイドが声をかけた。
いや、もしかしたら独り言なのかもしれない。
ソファーにだらりと全身を預け、眠そうな目をロロへ向けていた。
「誰にでも威嚇してんね」
「…? 威嚇…?」
たまたま側を通りかかってその言葉を聞き、しかし身に覚えがないので首を傾げる。
「いつも大口開けてさ、笑ってんじゃん。誰に対しても」
「大口かどうかは知らないが…それを言うなら君も口を開けている事が多いだろう」
む、とした表情でそう返すロロを、気に留めていない風にフロイドは笑った。
「威嚇の時もあるよ? でも陸の獣は楽しい時牙を見せるんだって、ジェイドが言ってた」
「なら吾輩も楽しいのではないか?」
ややぞんざいに言いながら、作業を続ける。
フロイドは手伝いもせずソファーの上からロロを眺めているが、彼が気まぐれて仕事をサボるのはいつものことなので放置だ。
「ロロは楽しくないでしょ」
「はあ? 何を言っている、学園生活は楽しいぞ」
「楽しくない。だってぇ、アズール以外は見てないから」
「……」
楽しげなフロイドの声。
ロロは困ったような表情でその顔を見やる。
何を言ってるんだこいつは、とでも言いたげだ。
「あは、自覚ないの? アズールといる時だけだよ、ロロが口閉じて笑うの」
「…そもそも、口を開けるのが威嚇というのはどこからきたのだ?」
「
「なら吾輩は関係ないだろう」
ロロはため息をついた。
確かにアズールといる時は口を閉じて笑ったかもしれない、だが口を開いていた時もあったはずだ。
暇つぶしに揶揄われているだけだと結論づけ、作業に乗じてフロイドから距離を取った。
そもそもロロは、アズールに関わる事以外で人に敵意を向けるような性格ではないし、ウツボでもない。
海の生き物にちなんだあだ名をつけたがるフロイドのことだ、習性をとってもそうなのだろう。
なんとなくロロは、ぐっと唇に力を入れて作業をしていた。
………
ひと仕事終え、シャワーを浴びてパジャマに着替えたロロは自室にいた。
ちなみにお気に入りのパジャマはタコの着ぐるみ風である。
本人の訪問がほぼない事をいいことに、部屋のあらゆるものがタコモチーフとアズールのブロマイドで埋め尽くされていた。
ブロマイドはマジカメの店舗アカウントに投稿された公式画像を印刷したものや、リーチ兄弟から言い値で買ったもの、自分で撮ったものなど多岐にわたる。
ロロはダイオウグソクムシの大きなぬいぐるみを抱き枕代わりに抱え、布団に入った。
寝付きは良いようで、数分も経たず寝息を立てる。
どれくらいの時間が過ぎただろうか。
健やかに眠るロロの寝室の扉が、ノックされた。
「うん…?」
寝起きも良いらしいロロはむっくりと起き上がり、目元を擦りながら声をかける。
「誰だ、こんな時間に?」
「俺だよ、俺ぇ。ちょっと開けて」
夜中とは思えない調子のフロイドが答えた。
特に疑問も持たず、扉を開ける。
「どうしたんだ、一体。眠れないの、か…?」
姿が見えるや否や、長い双腕がにゅっと伸びてロロを抱きすくめた。
何が起こったのか一瞬わからず、呆然とする。
「フロイド…?」
説明を求めて名前を呼ぶが答えはなく、ただ体を締め付ける腕の力が少し強まった。
ロロの背丈に合わせて腰を落とした状態で、顔は頬を擦り付けるように真横にあり見ることができない。
「…フロイド、吾輩は寝たいんだが」
引き剥がそうと腕を掴む。
と同時に、ロロの両足が床から浮いた。
抱きしめたままの体勢でフロイドが立ち上がったのだ。
片手だけ離して扉を閉めると、カチリと鍵も閉められた。
すたすたと早足でベッドに向かい、倒れ込む。
押し倒された形でなおも離してもらえないロロは、抜け出そうとどうにかもがく。
「なあ、まさか本当に添い寝でもするつもりか…?」
「…添い寝、してくれんの?」
「それで君が素直に寝てくれるならな」
「ふ、はは」
いきなり笑い出したフロイドは、やっと顔を上げる。
暗がりでも浮かび上がって見える色違いの双眼と、鋭い歯。
ぐわ、とその口が大きく開かれる。
「…?」
噛まれる、とロロは思ったが、歯が立てられることはなく首筋にくすぐったいような感触がした。
皮膚を破らぬよう慎重に歯を当てられ、柔く挟まれる。
それはまごう事なき甘噛みだった。
やわやわと噛まれているうちにも、長い脚の片方はロロの脚の間に割り込んで絡みついてくる。
双腕は変わらず抱きしめられたままだ。
「一体、なにを、しているんだ」
「うごかないで…歯、刺さるよ…?」
首筋で囁かれるので耳の近くから聞こえて来る声は、心なしか掠れているような気がする。
こらえるような荒い息遣いが、いつもの低い体温とは違うぬくもりが、じわり滲んだ汗が、ロロに嫌な予感を芽生えさせた。
「…君、まさか発情して…?」
「血が出ちゃったらさぁ、さすがに理性保つ気がしないから…じっとしてろ」
何もかもが唐突すぎて訳がわからない。
なぜ突然訪問され、抱きしめられ、発情されているのか、ロロにはさっぱり分からなかった。
「切実に他を当たって欲しい」
「あ、そ。じゃアズールに…」
「無体を働いたら去勢するぞ」
「…じゃあ、さぁ」
ロロが相手してよ。
べろりと耳たぶを舐められ、甘噛みされる。
背筋が粟立つのを感じつつも、アズールの名を出されては了承するしかなかった。
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キリもいいし疲れたのでここまで!
果たしてR/18版は出るのか!?
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