短編
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「はぁ…」
体力育成の時間。
ロロは準備運動の最中、ふとため息をついた。
「…どうしたんスか?珍しく辛気臭い顔しちゃって」
隣にいたラギーがそれを見て、小さく声をかける。
いつもならどんな授業でも楽しそうに受けており、ロロの方からラギーに話しかけることが多いのだが。
「実は、悩んでいることがあってな」
ほんの少しだけ沈んだ表情のロロが視線を向けた先には、アシュトン・バルガス先生。
…より正確に言うならその筋肉。
「いくら鍛えても、全く身にならないのである」
「鍛えてたんスか…どれくらい?」
ラギーが尋ねると、ロロは無言で小さなメモ帳を手渡した。
「『筋肉育成研究レポート』?」
どれどれ、とメモ帳を周りから隠しつつ軽く読むラギーだが、次第にその顔は引き攣っていく。
小さな紙面をビッシリと埋め尽くす文字。
筋肉に関する様々な研究成果とともに、とても学生がするとは思えない、兵士か?というほどのトレーニングメニューが並べられていた。
「エッグいスね…」
「バルガス先生にも相談し、練りに練り上げたトレーニングを2年ほど…」
「で、それッスか」
それ、とはロロの現在の体型である。
痩せているというほどでもないが太ってもおらず、特に筋肉質でもない。
いわゆる普通体型、明らかにトレーニングの内容と体型が釣り合っていないのだ。
「膂力自体は多少ついたのだがな…。吾輩が欲しいのは力ではなく鎧…鋼の筋肉であるというのに…」
腕を曲げて力こぶを作ろうとしてみるも、悲しいほどに筋肉は盛り上がらない。
ラギーもさすがに気の毒そうな眼差しでロロを見ていた。
その時。
「危ない!」
「! あ、」
響き渡る声にラギーがそちらを見ると、どこをどう間違えたのか飛行術用の箒が背後からロロに迫って来ていた。
咄嗟に出そうとした声も、伸ばしかけた手も間に合わない。
「…」
バシィ、と物騒な音を立てて、ロロは回転しながら飛んでくる箒の柄を掴んだ。
衝撃でわずかに腕を曲げたが、それ以上動く事はなく完全に受け止めた様子だ。
「は…?」
注目していた全員がしばらく呆然としてしまう。
「…だ、大丈夫ですかビアンコさん!?」
「…ああ、そちらの怪我人はないか?」
「こっちはありませんけど…」
先程声を上げたクラスメイトがハッとしてロロに駆け寄った。
ロロは何事も無かったかのように受け答えをし、クラスメイトへ箒を差し出す。
「…多少…?」
その光景を眺めながら、やや青ざめた顔で困惑するラギーであった。
STORY CLEAR!
……………
TIPs
ロロ・ビアンコは「柔らかい体は落ちつかない」という理由で筋トレをしている。