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彼原さんについて


ーー時は戦国、つわものどもが覇を競い鎬を削る群雄割拠…の片隅に、そのおとこは在った。


「進軍とかタルいからパスで」

元服からそう年は経っていないような風貌のその男は、たいそうな出不精でいつも家臣を困らせていたそうな。


ーー曰く、物の怪に悩む者は彼の地へ行くべし。
ーー曰く、彼の地には災厄を斬る領主が居る。


戦果よりも魑魅魍魎を斬ったという伝説の多いその男は、"拝み屋大名"と呼ばれた。



彼原想太郎時重かのはらそうたろうときしげ
とある小国の領主だが戦には滅多に出ず、家宝である不可思議な刀と世渡りによって国を守っていた。
刀は"厄斬り"と呼ばれ、その名の通り物の怪や災厄を斬る刀であったとされる。
様々な怪異を斬ったという伝説だけは多く残っているが、治めていた国自体はいつの間にか歴史上から消えてしまっており、彼がどこへ行ったのか、国がどうなったのかは定かではない。

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