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空獄SS詰め①

兄さんが死んでから十九年になる。
何の巡り合わせか、奇しくも空却が生まれたのも十九年前だった。
独りで兄さんを偲んで涙を流そうにもこいつが目の前でゴム毬みたいに跳ねるもんだから泣くことも出来やしない。
いつだったか、こいつが東へ上り姿を消した時。いつもはぎゃあぎゃあと騒ぐ声が、人を小馬鹿にした声が、そっと背に寄りそう熱が無くなって、俺は久しぶりに後悔や心寂しさで涙を流した。

「おいおい、久しぶりに会ってみりゃ随分とまあやつれちまったもんだなァ」
「空却」
「ただいま、ヒトヤ。テメエが涙流す暇も無えくらい喧嘩しに戻ってきてやったぜ」
「遅えよ、クソ坊主」
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