隣の席の設楽くん
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…
設楽くんと心の友になって数ヶ月。あっという間に冬休み目前だ。
設楽くんと帰ったり遊んだり、ちょっかいかけたり…あ、文化祭を一緒にまわ…るほど周ってないな。
シタラーズなんていう女子達に気が付かれただとかなんだとかで追いかけられて足が遅いのにあっという間に逃げて行ったけ。案外足が早いのかもしれないな。
設楽くんとの関係は相変わらず心の友のまま一番の仲良しだが一つ変わったことは文化祭以降ピアノと真剣に向かい合ってるらしく忙しそうだ。
それでも設楽くんのおかげで楽しい学校生活が送れている。感謝感激。本当頭が上がらない。
ってあれ!?私の高校生活 設楽くんだけ!?と今更ながら気がついてしまった。
いや、でも冷静に考えたら仲良い人と過ごす時間が長いのは当たり前か。気にするのはやめだ。
ってあれ!?でも2学年時にクラスが別れたら私…どうなるんだろう…。それも席が隣じゃなければ私はどうなるんだろう…。
設楽くん依存になってないか…?うぉぉぉと頭を悩ませていると、隣の席の設楽くんの視線を感じ、そちらに顔を向けた。
「お前、すごい顔してたぞ。」
「そんなに見つめられると照れる。」
「照れるより恥じらいを持て。」
設楽くんはため息を一つ吐くと「なにすごい顔で悩んでるんだ。」とテレパシーの如く当ててきた。
「悩んでたのよくわかったね。」と驚く私と違い「お前の顔を見たらわかる。」とドヤ顔だ。
「設楽依存症になってます。」なんて、正直に言えるわけもなく言葉を詰まる私に設楽くんは「帰りに喫茶店にでも行かないか?」と心配して誘ってくれるではないか。これは設楽依存症まったなしだ。
「設楽くんって…」
“彼女がいたら依存させちゃうタイプだ。”と言葉が出かけたが、ふと思う。別に彼女を依存さても良くないか…?きっと一途だし?いや…どうなんだろ…これ。依存は良くないって聞くし…うーん、じゃあ今の状況も良くない…?友達依存?設楽依存?
「なんだよ。早く言えよ。」と眉間に皺を寄せて急かす設楽くんに「一途だよね。」と謎の返しをしてしまった。
その瞬間、教室にいる何人かがむせたり吹き出した。
設楽くんの顔は真っ赤だ。眉間のシワを深くして睨みつけてくるではないか。
「あ、えとピアノに対して一途だよね。休み時間いつも弾いてるし。」
「…。」
「ごめんごめん、そんなに怒らなくてもいいじゃん、褒めてるんだよ。」とフォローをしてると、終礼前のホームルームがはじまった。
プリントが配られ目を落とすとクリスマスパーティのお知らせだ。
何が楽しくて冬休みにわざわざ学校でパーティーするねん。全校生徒が集まるパーティーってやば、つら、だる。が本音だ。
興味がないので窓の外を眺めてるとホームルームが終了した。
終礼を済ませ鞄を持って設楽くんと昇降口を出た。
「冬休みの間一緒に帰ることがないの寂しいね。」
冬休みの間に会えないのが寂しいだなんて今まで思ったことなかった。これは色々とやばいかもしれない。
「……どうせ遊ぶだろ。」
「ふふっ、そうだね。って違う、私ね、冬は旅に出ようと思う。」
そう、旅に出て設楽くん依存を完治させなければ。
「ふぅん、どこ行くんだ?」
「えっとまだ悩んでるとこ。」なんて話してると喫茶店に到着し、コーヒーを飲みながら先程の話の続きだ。
「そういえば、あそこの地方は中々よかったな。食事も美味しかった。」
「いいね。そこに旅しようかな。」
「それなら近くに別荘がある。一緒に行こう。」
「え!修学旅行みたいだ…!、…じゃなくて!」
設楽くん依存を治そうとしてるのに設楽くんに甘えてるじゃねーか!と一人ツッコミを心の中でしていた。
「違うの、一人で旅するの。」
「別に気を使わなくていいんだぞ?」
「いや、あのちがくて…。大丈夫だから…。」
設楽くんは優しい。
「大丈夫じゃないだろ。お前が一人で旅だなんて危険すぎる。やめろ。」
設楽くんは優しいのだ。
「あ、用事思い出した!お会計これで払っておいてね!」とこのままだと優しさに飲まれてしまうような気がしてお金を置いて走って逃げてしまった。
一緒に帰ろうと誘ってくれたのに置いて帰るなんて私は最低だ。
その日の夜、謝罪のメールを送ろうと思っていたが何を書くか迷ってるうちに眠ってしまった。
翌日は朝一番に連絡を入れる予定だったが冬休み前の土曜日に大寝坊。もうお昼すぎだ。
携帯を開くと設楽くんから電話が着ているではないか。電話で昨日のことはすぐに謝罪しよう。
電話を取ると、「謝るんなら明日付き合えよ。」とあまり昨日のことは気にしてはいないようだ。少しホッとした。
要件は明日買い物に付き合ってほしいということだった。
「いやいや、買い物くらい一人で行きなよ。」と断ったのだが、「どうせ暇だろ、明日迎えに行く。」と言うやすぐに電話が切れた。私はどんな顔をして会えばいいのだろうか。
…
そして私はやらかしてしまった。設楽くんに差し出された手を取れるわけもなく、冬休みについても、設楽くんが選んでくれてる時も色々と誤魔化す私に設楽くんは怒ってしまったのだ。
「お前、わざと避けてるだろ。」
「い、いや。全然?」
「……俺はお前に避けられると傷つくって言ったこともう忘れたのか?」
「ご…ごめん。」
「お前だって避けられたくないって言ってたじゃないか。あれは嘘だったのか?」
「だって…」
「お前がそれでいいなら、そうする。」
そう言うと設楽くんは行ってしまったがその背中を追いかけられなかった。
設楽くんと喧嘩をした翌日。謝れないまま学校へと向かった。自分のせいではあるがこんなにも憂鬱な気持ちになるなんて思わなかった。
「し、設楽くん、おはよう。」
「あぁ。」
「あの…さ、昨日は…」
いつもならこっちを見て話してくれるのに設楽くんは視線だけ寄越すだけで何も言ってくれなかった。
「ごめん…ね。」
「ふぅん。」
はい、会話終了だ。
でもこれを機に設楽依存症を治すために離れるいいタイミングなのでは?
お昼休みも無言で設楽くんは教室を出ていってしまった。
そんな私の姿を見ていた たまちゃんは「お弁当持ってついてきて。」と誰もいない生徒会室へと案内された。
お弁当を広げながら「設楽となんかあった?」と優しい声で聞いてくる。
たまちゃんって優しいよな。設楽くんとはまた違う優しさってやつだ。設楽くんもすぐに気がついてくれるけど、たまちゃんは遠く見守りながら本当にヤバイときはさっと現れるタイプだと思う。
「あったというか、自ら事故ったというか、試練というか…。自業自得というか…。」
「早く仲直りしないとクラスのみんなが胃腸炎になっちゃうよ。」
「そんなにピリピリしてた?」
「うん、君が思っている以上にしてる。」
そこから、お弁当を食べながら二年時のクラス分けを考えて設楽依存を治すために冷たくしてしまったと言うと目を丸くして笑った。
「クラス分けは文化祭前に書いたアンケートを元に決めたり…まぁ、君は十九八設楽と離れることはないと思うよ。」
「本当?」
「うん、多分先生もそのほうが助かるに決まってるさ。」
私と違い空になったお弁当箱をバンダナで包みながらそう述べた。
「ところで設楽のことはどう思っているの?」
どうってなんだろう…ぐぬぬぬ。
「あっ、ポケモンで言えばサトシの肩に乗ってるピカチュウポジションかな。」
「なんでポケモンなの…。」
「ちなみに たまちゃんはタケシ。」
「僕の例えは人間のキャラクターなんだ…。まあ、それなら早く仲直りしないと。」
「確かに…、ピカチュウに冷たくしちゃだめだよね。本当私って最悪だ。」
お弁当を食べ終えた私は生徒会室を後にした。
少しだけ重い足取りで音楽室へ向かうといつの日か聞いた月光が聞こえてきた。悲しげな感じに聞こえたのはきっときのせいだ。
……入りづらい。でも曲が終わってから入るのも入りづらい。気まずい。
気まずいと思えば思うほど気まずいので思い切って音楽室へ入室したが、設楽くんはこちらを見もせずに無言でただ弾いていた。
しばらくして曲が終わった。
「設楽くん、冷たくしてごめんね。」と謝罪を述べるも「そんな軽い謝罪なんていらない。」と一刀両断だった。
自ら壊した関係を今更悔いるなんて私は本当に馬鹿だ。
「あの…ね、ずっと思ってたの、…いつも設楽くんの優しさに甘えてるし、設楽くんいつも優しいし」
自分の身勝手さと優しい設楽くんを思うと涙が出てきたので、慌てて後ろを向いた。
思い返すのは設楽くんの優しいところばかり。前に私が避けたときもずっと心配してくれていたのに私はなんて身勝手なのだろうか。
「来年違うクラスになったらって考えると寂しいし…隣の席が設楽くんじゃないのも不安だし、設楽くんがいないと駄目な気がするし…だから今のうちに少し離れないといけないと思って…。」
後ろを向いてるので設楽くんがどういう風にこの言葉を受け取ったのかはわからないが、何も言わない設楽くんが怖くて走って音楽室を出ようとした。が、いつの間にか後ろにいた設楽くんに手首を捕まれていて逃亡失敗だ。
「ハンカチ使え。」と差し出されたきれいなハンカチを見るだけでなんか泣けてきた。
差し出されたハンカチで涙を拭うも涙は止まらなかった。
「なんでもっと泣くんだよ。」
「だって、きれいなハンカチだし筆記体で刺繍されてるしなんかいい香りするし。」
「わけがわからない。」
しゃっくりも落ち着いた頃、設楽くんは「お前がそんな風に思ってたとは思わなかった。すまなかった。」と謝ってきた。
「わっ私が悪いのに謝らないで。」
「……まさか、そんな先の話なのに泣くほど俺と離れるのが嫌だなんてな。」と言う設楽くんの頬は赤くなっていた。
冷静に考えてみよう。来年にもなっていないのにクラス替えを考えて泣いてるクラスメイトの女を。
やばくないか?うわ、なんか恥ずかしくなってきた。逆に泣きたくなってきた。
「設楽くんなんてただのピカチュウだし!バナナマンめ!」と捨て台詞を投げ、今度こそ音楽室からの逃亡は成功した。
そしてクラスの雰囲気も元通り?に授業もホームルームも終了し終礼が終わりすぐに、私は誰よりも先に教室を出て設楽くんから逃げた。
ばたばた急いでいた私のペースはダウンし、あっという間に設楽くんの乗る車が横に止まると、窓が開かれ「また明日な。」と声をかけると車は去っていった。
その車に向かって大きな声で「さよならバイバイ」と投げた。
…
設楽くんと心の友になって数ヶ月。あっという間に冬休み目前だ。
設楽くんと帰ったり遊んだり、ちょっかいかけたり…あ、文化祭を一緒にまわ…るほど周ってないな。
シタラーズなんていう女子達に気が付かれただとかなんだとかで追いかけられて足が遅いのにあっという間に逃げて行ったけ。案外足が早いのかもしれないな。
設楽くんとの関係は相変わらず心の友のまま一番の仲良しだが一つ変わったことは文化祭以降ピアノと真剣に向かい合ってるらしく忙しそうだ。
それでも設楽くんのおかげで楽しい学校生活が送れている。感謝感激。本当頭が上がらない。
ってあれ!?私の高校生活 設楽くんだけ!?と今更ながら気がついてしまった。
いや、でも冷静に考えたら仲良い人と過ごす時間が長いのは当たり前か。気にするのはやめだ。
ってあれ!?でも2学年時にクラスが別れたら私…どうなるんだろう…。それも席が隣じゃなければ私はどうなるんだろう…。
設楽くん依存になってないか…?うぉぉぉと頭を悩ませていると、隣の席の設楽くんの視線を感じ、そちらに顔を向けた。
「お前、すごい顔してたぞ。」
「そんなに見つめられると照れる。」
「照れるより恥じらいを持て。」
設楽くんはため息を一つ吐くと「なにすごい顔で悩んでるんだ。」とテレパシーの如く当ててきた。
「悩んでたのよくわかったね。」と驚く私と違い「お前の顔を見たらわかる。」とドヤ顔だ。
「設楽依存症になってます。」なんて、正直に言えるわけもなく言葉を詰まる私に設楽くんは「帰りに喫茶店にでも行かないか?」と心配して誘ってくれるではないか。これは設楽依存症まったなしだ。
「設楽くんって…」
“彼女がいたら依存させちゃうタイプだ。”と言葉が出かけたが、ふと思う。別に彼女を依存さても良くないか…?きっと一途だし?いや…どうなんだろ…これ。依存は良くないって聞くし…うーん、じゃあ今の状況も良くない…?友達依存?設楽依存?
「なんだよ。早く言えよ。」と眉間に皺を寄せて急かす設楽くんに「一途だよね。」と謎の返しをしてしまった。
その瞬間、教室にいる何人かがむせたり吹き出した。
設楽くんの顔は真っ赤だ。眉間のシワを深くして睨みつけてくるではないか。
「あ、えとピアノに対して一途だよね。休み時間いつも弾いてるし。」
「…。」
「ごめんごめん、そんなに怒らなくてもいいじゃん、褒めてるんだよ。」とフォローをしてると、終礼前のホームルームがはじまった。
プリントが配られ目を落とすとクリスマスパーティのお知らせだ。
何が楽しくて冬休みにわざわざ学校でパーティーするねん。全校生徒が集まるパーティーってやば、つら、だる。が本音だ。
興味がないので窓の外を眺めてるとホームルームが終了した。
終礼を済ませ鞄を持って設楽くんと昇降口を出た。
「冬休みの間一緒に帰ることがないの寂しいね。」
冬休みの間に会えないのが寂しいだなんて今まで思ったことなかった。これは色々とやばいかもしれない。
「……どうせ遊ぶだろ。」
「ふふっ、そうだね。って違う、私ね、冬は旅に出ようと思う。」
そう、旅に出て設楽くん依存を完治させなければ。
「ふぅん、どこ行くんだ?」
「えっとまだ悩んでるとこ。」なんて話してると喫茶店に到着し、コーヒーを飲みながら先程の話の続きだ。
「そういえば、あそこの地方は中々よかったな。食事も美味しかった。」
「いいね。そこに旅しようかな。」
「それなら近くに別荘がある。一緒に行こう。」
「え!修学旅行みたいだ…!、…じゃなくて!」
設楽くん依存を治そうとしてるのに設楽くんに甘えてるじゃねーか!と一人ツッコミを心の中でしていた。
「違うの、一人で旅するの。」
「別に気を使わなくていいんだぞ?」
「いや、あのちがくて…。大丈夫だから…。」
設楽くんは優しい。
「大丈夫じゃないだろ。お前が一人で旅だなんて危険すぎる。やめろ。」
設楽くんは優しいのだ。
「あ、用事思い出した!お会計これで払っておいてね!」とこのままだと優しさに飲まれてしまうような気がしてお金を置いて走って逃げてしまった。
一緒に帰ろうと誘ってくれたのに置いて帰るなんて私は最低だ。
その日の夜、謝罪のメールを送ろうと思っていたが何を書くか迷ってるうちに眠ってしまった。
翌日は朝一番に連絡を入れる予定だったが冬休み前の土曜日に大寝坊。もうお昼すぎだ。
携帯を開くと設楽くんから電話が着ているではないか。電話で昨日のことはすぐに謝罪しよう。
電話を取ると、「謝るんなら明日付き合えよ。」とあまり昨日のことは気にしてはいないようだ。少しホッとした。
要件は明日買い物に付き合ってほしいということだった。
「いやいや、買い物くらい一人で行きなよ。」と断ったのだが、「どうせ暇だろ、明日迎えに行く。」と言うやすぐに電話が切れた。私はどんな顔をして会えばいいのだろうか。
…
そして私はやらかしてしまった。設楽くんに差し出された手を取れるわけもなく、冬休みについても、設楽くんが選んでくれてる時も色々と誤魔化す私に設楽くんは怒ってしまったのだ。
「お前、わざと避けてるだろ。」
「い、いや。全然?」
「……俺はお前に避けられると傷つくって言ったこともう忘れたのか?」
「ご…ごめん。」
「お前だって避けられたくないって言ってたじゃないか。あれは嘘だったのか?」
「だって…」
「お前がそれでいいなら、そうする。」
そう言うと設楽くんは行ってしまったがその背中を追いかけられなかった。
設楽くんと喧嘩をした翌日。謝れないまま学校へと向かった。自分のせいではあるがこんなにも憂鬱な気持ちになるなんて思わなかった。
「し、設楽くん、おはよう。」
「あぁ。」
「あの…さ、昨日は…」
いつもならこっちを見て話してくれるのに設楽くんは視線だけ寄越すだけで何も言ってくれなかった。
「ごめん…ね。」
「ふぅん。」
はい、会話終了だ。
でもこれを機に設楽依存症を治すために離れるいいタイミングなのでは?
お昼休みも無言で設楽くんは教室を出ていってしまった。
そんな私の姿を見ていた たまちゃんは「お弁当持ってついてきて。」と誰もいない生徒会室へと案内された。
お弁当を広げながら「設楽となんかあった?」と優しい声で聞いてくる。
たまちゃんって優しいよな。設楽くんとはまた違う優しさってやつだ。設楽くんもすぐに気がついてくれるけど、たまちゃんは遠く見守りながら本当にヤバイときはさっと現れるタイプだと思う。
「あったというか、自ら事故ったというか、試練というか…。自業自得というか…。」
「早く仲直りしないとクラスのみんなが胃腸炎になっちゃうよ。」
「そんなにピリピリしてた?」
「うん、君が思っている以上にしてる。」
そこから、お弁当を食べながら二年時のクラス分けを考えて設楽依存を治すために冷たくしてしまったと言うと目を丸くして笑った。
「クラス分けは文化祭前に書いたアンケートを元に決めたり…まぁ、君は十九八設楽と離れることはないと思うよ。」
「本当?」
「うん、多分先生もそのほうが助かるに決まってるさ。」
私と違い空になったお弁当箱をバンダナで包みながらそう述べた。
「ところで設楽のことはどう思っているの?」
どうってなんだろう…ぐぬぬぬ。
「あっ、ポケモンで言えばサトシの肩に乗ってるピカチュウポジションかな。」
「なんでポケモンなの…。」
「ちなみに たまちゃんはタケシ。」
「僕の例えは人間のキャラクターなんだ…。まあ、それなら早く仲直りしないと。」
「確かに…、ピカチュウに冷たくしちゃだめだよね。本当私って最悪だ。」
お弁当を食べ終えた私は生徒会室を後にした。
少しだけ重い足取りで音楽室へ向かうといつの日か聞いた月光が聞こえてきた。悲しげな感じに聞こえたのはきっときのせいだ。
……入りづらい。でも曲が終わってから入るのも入りづらい。気まずい。
気まずいと思えば思うほど気まずいので思い切って音楽室へ入室したが、設楽くんはこちらを見もせずに無言でただ弾いていた。
しばらくして曲が終わった。
「設楽くん、冷たくしてごめんね。」と謝罪を述べるも「そんな軽い謝罪なんていらない。」と一刀両断だった。
自ら壊した関係を今更悔いるなんて私は本当に馬鹿だ。
「あの…ね、ずっと思ってたの、…いつも設楽くんの優しさに甘えてるし、設楽くんいつも優しいし」
自分の身勝手さと優しい設楽くんを思うと涙が出てきたので、慌てて後ろを向いた。
思い返すのは設楽くんの優しいところばかり。前に私が避けたときもずっと心配してくれていたのに私はなんて身勝手なのだろうか。
「来年違うクラスになったらって考えると寂しいし…隣の席が設楽くんじゃないのも不安だし、設楽くんがいないと駄目な気がするし…だから今のうちに少し離れないといけないと思って…。」
後ろを向いてるので設楽くんがどういう風にこの言葉を受け取ったのかはわからないが、何も言わない設楽くんが怖くて走って音楽室を出ようとした。が、いつの間にか後ろにいた設楽くんに手首を捕まれていて逃亡失敗だ。
「ハンカチ使え。」と差し出されたきれいなハンカチを見るだけでなんか泣けてきた。
差し出されたハンカチで涙を拭うも涙は止まらなかった。
「なんでもっと泣くんだよ。」
「だって、きれいなハンカチだし筆記体で刺繍されてるしなんかいい香りするし。」
「わけがわからない。」
しゃっくりも落ち着いた頃、設楽くんは「お前がそんな風に思ってたとは思わなかった。すまなかった。」と謝ってきた。
「わっ私が悪いのに謝らないで。」
「……まさか、そんな先の話なのに泣くほど俺と離れるのが嫌だなんてな。」と言う設楽くんの頬は赤くなっていた。
冷静に考えてみよう。来年にもなっていないのにクラス替えを考えて泣いてるクラスメイトの女を。
やばくないか?うわ、なんか恥ずかしくなってきた。逆に泣きたくなってきた。
「設楽くんなんてただのピカチュウだし!バナナマンめ!」と捨て台詞を投げ、今度こそ音楽室からの逃亡は成功した。
そしてクラスの雰囲気も元通り?に授業もホームルームも終了し終礼が終わりすぐに、私は誰よりも先に教室を出て設楽くんから逃げた。
ばたばた急いでいた私のペースはダウンし、あっという間に設楽くんの乗る車が横に止まると、窓が開かれ「また明日な。」と声をかけると車は去っていった。
その車に向かって大きな声で「さよならバイバイ」と投げた。
…