隣の席の設楽くん
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…
前回に引き続き、今日の休日は設楽くんに色々と教える約束をしていた。色々が何なのか正直よくわからんが、まぁなんか、カップラーメン的な事だろうと思い、約束場所は羽ばたき駅前付近にある約束場所にいつも使われる犬の石像前。
「悪い。遅れた。」と颯爽と現れた設楽くん。
「ううん、気にしないで。」
「ここ、凄い人だかりだな。近づいたことすらなかった。」
「このワンちゃんの石像前は約束の場所によく使われるあるある場所なんだよ。」
「なるほど。」
「それもデートとかの約束ね。」と半分本当のことを言うと、設楽くんの白いほっぺたは“かぁ”と音がつくように赤くなった。
「…な、何言ってんだ。ところで今日はどこに行く?」
空気を読んで揶揄うのはやめて、私まで恥ずかしくなりそうなので赤くなった設楽くんを見ないように「今日の行き先は、ショッピングモール!」とショッピングモールの方向へ足を進めた。
「ショッピングモールか。」
「設楽くんはショッピングモールで買い物はするの?」
「たまにだな。お前は?」
「あ、私も買い物には興味ないのであんま来ないや。」
休日なので、ショッピングモールはたくさんの人で賑わっていた。「凄い人だね。ちゃんとはぐれないように私の背中見ててね。」と言うと、「お前のほうが身長が小さいのに何言ってるんだ。」と腕を差し出された。
「捕まれ、お前すぐ迷子になりそうだしな。」
「お、おぅふ。」
差し出された腕に腕を組むというより軽く掴んだ。手を繋ぐより腕を組むほうが難易度は低いのでよかったが、こんな経験は5歳児ぶりな気がするので設楽くんだろうと少しドキドキとしてしまう。
現実逃避のように5歳児の私モテモテかよ。と朧気な幼い頃の記憶を思い出した。
男の子二人、琉夏くんとコウくん。ちっちゃくて可愛かったなぁ〜それを言うなら私もちっちゃくて可愛かったわ。
「ね、設楽くんは小さい頃どんな子だったの?」と、ちらりと設楽くんを見ると目があったが私と違いそこまで照れていない。いや、まぁ、差し出した本人が赤くなったらそりゃマヌケだよね。
「母の友達のガキ大将みたいな子とよく遊ばされて酷い目にあった。」
「ふふ、なんか想像つくかも。」
目的地へ足を進め、「設楽くん、こういうの慣れてるんだ。なんか以外。」と呟く私に「社交パーティーでエスコートしてるからな。」とまたもや異次元発言だ。まあ、あのお城のような屋敷に住んでたらそんなこともあるのだろう。
「お前、さっきから耳まで赤いな。大丈夫か?」
「う…。5歳児ぶりのエスコートは緊張するの!」
「へぇ…、お前も緊張とかあるんだな。」と、笑う設楽くん。なんか悔しい。
「まぁ、いい。ところで…」と言いかけの設楽くんには悪いが目的地に付いたので腕を離した。
「設楽くん、ここだよ!ぱふぱふ〜」と色とりどりの雑貨が並ぶ前に立った。
「0.5均…?何だこの店は。流行ってるのか?」
「流行りも何も根強い庶民の味方。なんとここは全品0.5リッチ!」
「なに?全品0.5リッチ…?だと…?」
「そうすごいでしょ!!」きっと旗から見たらとても馬鹿な会話な気がするが気にすることはやめにして雑貨が陳列されてる店内へと足を踏み入れた。
設楽くんはキョロキョロすると、なにやらおかしな置物を手に「これもか?」と聞いてくる。
「そそ!」
「こっちのもか?」
「そそそ!」と言いつつ、よくわからない置物を選ぼうとしていたので、カゴを片手にその場から離すため設楽くんの腕を掴み取り敢えず店内を回るように誘導した。
まず先に付いたのは掃除用品コーナーだ。
「ほう、これとか良いな、ほうこれも…。」と私の持つカゴを奪うとポイポイと入れ始める。
「ちょっ設楽くん、カゴにいれすぎだよ。」
「使用人達に渡そうと思ってな。」
ポイポイとお掃除用品なりアイデアグッズをカゴに入れる設楽くん。
「いやいや、もう十分いいやつ使ってるからいらないって。」と止めて、カゴの中をさり気なく棚へと戻していたが、設楽くんは家で働いてる人のことをちゃんと考えてるんだなって思って心が暖かくなった。
正直、お家にお邪魔をするまでは暴君のような態度を取っているのだろうと思っていたりもした。いや、だって入学式の日のあの態度だよ?そう思うわ。
カゴに入れられた用品を棚へと返し終えたので掃除用品コーナーを後にした。
設楽くんは、勝手に空になったカゴに少しだけ不満そうな顔をしていた。
「設楽くん、0.5均の商品買い占めでもする気?持って帰るの大変だよ?」
「それも確かにそうだな。悪かった。」
「いいの、テンション上がる気持ちもわかるから。0.5均で爆買いしたけど使わなかったパターンになる私が言うから。今日は3個以内にしよう。」
掃除コーナーから食器類コーナーあたりまで歩いた。設楽くんは楽しそうに食器を見ていて見てるこっちも楽しくなってくる。
「お前はいつも何を買うんだ?」
「消しゴムとか髪がざりとか。後はお弁当に使うピックとか。」
「あぁ、お前の弁当に刺さってるアレか。」
「そそそ。」
「弁当コーナーに行くぞ。」と設楽くんと弁当コーナーへやってきた。
「ほう、こんなのもあるんだな。」と手にしたのは簡単にタコさんウィンナーやカニさんウィンナーを作ることができる雑貨だ。
「設楽くんちのシェフならそんなものなくても…」とツッコミを入れたが設楽くんは一つカゴに入れた。
「まぁ試して見る価値はありそうだからな。」
設楽くんのお弁当箱にタコさんウィンナーが入ってることを想像するとちょっと面白かった。
そこから良くわからない動物がデザインされたピックを一つカゴにいれたと思えば今度は弁当箱を見ていた。
「これ、お前と一緒だな。」
「ちょっなんか0.5均ってバレるとちょっと恥ずかしいじゃん。」と言う私にふっと笑った設楽くんは「レジはどこだ?」と買い物終了だ。レジへ案内し、会計をすると本当に合計1リッチな事に驚きの声をあげていた。
わかる。すごくわかる。そしてそんな姿を見られてとても楽しい。きっとこんな反応できる人なんて日本中にほとんど存在しないはずだ。
「何見てるんだ。」
「動画取ればよかったって後悔。」
「やめろ、ほら行くぞ。」と差し出された腕を軽く掴み「折角だし他にも見ていこう。」という提案に乗った。
適当にブラブラして、おかしな雑貨を見つけたり、おもちゃ屋さんへとやってきて興味津々の設楽くんを眺めたりとなかなか楽しい時間だった。
「ふふ、ショッピングモールって案外楽しいね。」
「そうだな。…お前は誰かと来たりしないのか?」
「ううん、設楽くんと来るのがはじめてかも。」
「ふぅん、良かったな。」とぶっきらぼうに言う設楽くんの耳が赤くなってたことはバッチリと見えている。
「セイちゃんと来たからこんなに楽しいんだと思う。」ともっとこっ恥ずかしいことを言うとほっぺまで赤くして「手洗いに行ってくる。」と走って行ってしまった。
確実にこれは迷子になるやつだ。と思いながら近くにあったベンチへ座っていると、なんか良くわからない金髪のおじ…お兄…いや人にしつこく絡まれてしまった。
「いや、あの。」とタジタジになってると大きな男の子が金髪の人を蹴っ飛ばした。「チっ邪魔なんだよ。」と凄むやさっきの変な人は走って逃げて行った。
「あの、ありがとうございます。」と立ち上がりお礼を言いつつ、彼のことを見上げるように向くと大きな身長に少し長い黒髪。そして視線は鋭い。“男の子”と思ったが断然歳上な気がするぞ。
「あ…、いや…。」とジーッと見つめてくる黒髪のお兄さん。誰かに似てるような気がしなくもない…?と頭を捻らせたが、最近やった龍を如くする的なゲームのキャラに似てるような気もしなくもない。
龍というかこの人は虎って感じだ。いや熊か??いや虎だ。タイガー&ドラゴン?思い出せそうで思い出せないヤキモキが募っていたところで着信音がなり、一言言って電話に出ると予想通りの設楽くん。フードコートで落ち合うこととなった。
「すみません、そろそろ行きますね。」と携帯をポケットにしまい、何か言いたげなお兄さんは、何も言わないのでもう一度お礼を言ってからその場を後にした。
フードコートの出入り口付近へ向かうと設楽くんが待っていた。
「もう!いきなり走って行っちゃうから色々大変だったんだよ。」
「悪かった。折角だしここで昼食でも食べて行かないか?」
「仕方がないから食べてあげる。」
ピーク時間を過ぎたフードコートはすぐに席を見つける事ができそうなので、先に食事を選ぶ事にした。
「何にしようか。」
「おにぎり屋さんなんてあるんだ。」
「なんだそれ。行くぞ、早くしろ」と腕を引っ張りおにぎり屋さんへと向かう設楽くん。こういうところ可愛いよね。
おにぎりを何個か購入し、お水を持って席へと座り、早速いただいた。
「おにぎり屋…悪くないな。」
「そうだね、私もはじめておにぎり屋さんで買っちゃったよ。」
「ほら、これも食べてみろ。」と半分に割られたおにぎりを差し出してくる設楽くん。ありがたく頂戴し、今度は私のを半分に割って差し出した。
「ふふ、なんかこういうのいいね。」
「ふっ、そうだな。」
あっという間に食べ終わりフードコートを後にして、もう少し見て回ろうか。どうするか。と言ったところで設楽くんは何かを見つけたのか嫌そうな顔で反対側を向いた。
「どうしたの?設楽くん。」
「いや、さっき言ってたガキ大将みたいなヤツがあっちにいたように見えたんだ。」
「ふふ、じゃあもう外に出よう。」と自然と腕を組みながらショッピングモールを後にした。
せっかくここまで来たしと言うことで、設楽くんと臨海公園のレンガ道を歩いて帰ることになった。
「へぇ、こんな所あるんだね。設楽くんが歩くとヨーロッパって感じ。」
「馬鹿にしてるのか?」と設楽くんはふっと笑った。
「お前4月から引っ越してきたんだよな?」
「そうなのよ。それも休日はほとんど出歩かないし未だに“はばたき市”の事を全然知らないんだよね。」
夕日が反射してキラキラ輝く海。いつの日か見た海に似ている気がする。いつの話だっけ?と考えてると気づかぬ間に「人魚と若者」と呟いていた。
「なんだ?それ。」
「なんか昔にわかんないけど聞いたことがある気がする。前の引っ越しのときだっけ?んー?」
「前も引っ越ししたのか?」
「はばたき市から出て、はばたき市に戻ってきたっていうのが正しいかな。」
「へぇ、お前昔も住んでたのか。」
「まぁ、5歳の頃だからあんまり覚えてないけどね。」
今まで思ったことなんてなかったのに、今日のキーワードは“5歳の頃”とでも言うように5歳の頃を思う。
「……なるほど…。」
「なるほどってほどの話だった?」
「いや、こっちの話だ。気にするな。」
視線を設楽くんから再度海へ移すと船が浮かんでいる。
「ね、船だよ。設楽くん。」
「ここらへんは遊覧船が走ってる。今度行くか。」
「いいね、お魚食べ放題もしたい。」
「勝手にやってろ。」
談笑しながらゆったりとレンガ道を歩き、帰路につくが何故かすぐに家についてしまった。
「あっ、ここだ。」
「そうか。」
「あ、ごめん。」と組まれた腕を慌てて引っこ抜いた。
「設楽くん、今日は楽しかったよ。ありがとう。」
「いや、いい。俺も楽しかった。」
なんか、改めてこんな事を言うのは恥ずかしい。恥ずかしいので家に入りたいと、もっと設楽くんと遊んでいたい気持ちが湧き出てどうしたらいいのかわからず、反復横飛びのような動きをしてしまう。
「何やってんだ。」
「心を体で表してるの。私って芸術タイプだから。」馬鹿な動きと馬鹿なことを言う私に、ポケットから可愛らしくラッピングされた袋を取り出す差し出してきた設楽くん。
「ほら。これつけて美術館に展示されてろ。」
「?」
差し出された袋を受け取り中を除くとシックな髪飾りが入っていた。
「え、あのこれ。」
「たまたまお前に合いそうだと思って買っておいたんだ。失くすなよ。じゃあな。」と言うと設楽くんは駆け足で去っていった。
設楽くんの背中を見送り、髪飾りへ視線を移すと、腕を組んでた歩いた時の設楽くんの体温を思い出してもっと体がポカポカした。
早速明日髪がさりをつけようと思ったがこっ恥ずかしいのでやめることにした。
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前回に引き続き、今日の休日は設楽くんに色々と教える約束をしていた。色々が何なのか正直よくわからんが、まぁなんか、カップラーメン的な事だろうと思い、約束場所は羽ばたき駅前付近にある約束場所にいつも使われる犬の石像前。
「悪い。遅れた。」と颯爽と現れた設楽くん。
「ううん、気にしないで。」
「ここ、凄い人だかりだな。近づいたことすらなかった。」
「このワンちゃんの石像前は約束の場所によく使われるあるある場所なんだよ。」
「なるほど。」
「それもデートとかの約束ね。」と半分本当のことを言うと、設楽くんの白いほっぺたは“かぁ”と音がつくように赤くなった。
「…な、何言ってんだ。ところで今日はどこに行く?」
空気を読んで揶揄うのはやめて、私まで恥ずかしくなりそうなので赤くなった設楽くんを見ないように「今日の行き先は、ショッピングモール!」とショッピングモールの方向へ足を進めた。
「ショッピングモールか。」
「設楽くんはショッピングモールで買い物はするの?」
「たまにだな。お前は?」
「あ、私も買い物には興味ないのであんま来ないや。」
休日なので、ショッピングモールはたくさんの人で賑わっていた。「凄い人だね。ちゃんとはぐれないように私の背中見ててね。」と言うと、「お前のほうが身長が小さいのに何言ってるんだ。」と腕を差し出された。
「捕まれ、お前すぐ迷子になりそうだしな。」
「お、おぅふ。」
差し出された腕に腕を組むというより軽く掴んだ。手を繋ぐより腕を組むほうが難易度は低いのでよかったが、こんな経験は5歳児ぶりな気がするので設楽くんだろうと少しドキドキとしてしまう。
現実逃避のように5歳児の私モテモテかよ。と朧気な幼い頃の記憶を思い出した。
男の子二人、琉夏くんとコウくん。ちっちゃくて可愛かったなぁ〜それを言うなら私もちっちゃくて可愛かったわ。
「ね、設楽くんは小さい頃どんな子だったの?」と、ちらりと設楽くんを見ると目があったが私と違いそこまで照れていない。いや、まぁ、差し出した本人が赤くなったらそりゃマヌケだよね。
「母の友達のガキ大将みたいな子とよく遊ばされて酷い目にあった。」
「ふふ、なんか想像つくかも。」
目的地へ足を進め、「設楽くん、こういうの慣れてるんだ。なんか以外。」と呟く私に「社交パーティーでエスコートしてるからな。」とまたもや異次元発言だ。まあ、あのお城のような屋敷に住んでたらそんなこともあるのだろう。
「お前、さっきから耳まで赤いな。大丈夫か?」
「う…。5歳児ぶりのエスコートは緊張するの!」
「へぇ…、お前も緊張とかあるんだな。」と、笑う設楽くん。なんか悔しい。
「まぁ、いい。ところで…」と言いかけの設楽くんには悪いが目的地に付いたので腕を離した。
「設楽くん、ここだよ!ぱふぱふ〜」と色とりどりの雑貨が並ぶ前に立った。
「0.5均…?何だこの店は。流行ってるのか?」
「流行りも何も根強い庶民の味方。なんとここは全品0.5リッチ!」
「なに?全品0.5リッチ…?だと…?」
「そうすごいでしょ!!」きっと旗から見たらとても馬鹿な会話な気がするが気にすることはやめにして雑貨が陳列されてる店内へと足を踏み入れた。
設楽くんはキョロキョロすると、なにやらおかしな置物を手に「これもか?」と聞いてくる。
「そそ!」
「こっちのもか?」
「そそそ!」と言いつつ、よくわからない置物を選ぼうとしていたので、カゴを片手にその場から離すため設楽くんの腕を掴み取り敢えず店内を回るように誘導した。
まず先に付いたのは掃除用品コーナーだ。
「ほう、これとか良いな、ほうこれも…。」と私の持つカゴを奪うとポイポイと入れ始める。
「ちょっ設楽くん、カゴにいれすぎだよ。」
「使用人達に渡そうと思ってな。」
ポイポイとお掃除用品なりアイデアグッズをカゴに入れる設楽くん。
「いやいや、もう十分いいやつ使ってるからいらないって。」と止めて、カゴの中をさり気なく棚へと戻していたが、設楽くんは家で働いてる人のことをちゃんと考えてるんだなって思って心が暖かくなった。
正直、お家にお邪魔をするまでは暴君のような態度を取っているのだろうと思っていたりもした。いや、だって入学式の日のあの態度だよ?そう思うわ。
カゴに入れられた用品を棚へと返し終えたので掃除用品コーナーを後にした。
設楽くんは、勝手に空になったカゴに少しだけ不満そうな顔をしていた。
「設楽くん、0.5均の商品買い占めでもする気?持って帰るの大変だよ?」
「それも確かにそうだな。悪かった。」
「いいの、テンション上がる気持ちもわかるから。0.5均で爆買いしたけど使わなかったパターンになる私が言うから。今日は3個以内にしよう。」
掃除コーナーから食器類コーナーあたりまで歩いた。設楽くんは楽しそうに食器を見ていて見てるこっちも楽しくなってくる。
「お前はいつも何を買うんだ?」
「消しゴムとか髪がざりとか。後はお弁当に使うピックとか。」
「あぁ、お前の弁当に刺さってるアレか。」
「そそそ。」
「弁当コーナーに行くぞ。」と設楽くんと弁当コーナーへやってきた。
「ほう、こんなのもあるんだな。」と手にしたのは簡単にタコさんウィンナーやカニさんウィンナーを作ることができる雑貨だ。
「設楽くんちのシェフならそんなものなくても…」とツッコミを入れたが設楽くんは一つカゴに入れた。
「まぁ試して見る価値はありそうだからな。」
設楽くんのお弁当箱にタコさんウィンナーが入ってることを想像するとちょっと面白かった。
そこから良くわからない動物がデザインされたピックを一つカゴにいれたと思えば今度は弁当箱を見ていた。
「これ、お前と一緒だな。」
「ちょっなんか0.5均ってバレるとちょっと恥ずかしいじゃん。」と言う私にふっと笑った設楽くんは「レジはどこだ?」と買い物終了だ。レジへ案内し、会計をすると本当に合計1リッチな事に驚きの声をあげていた。
わかる。すごくわかる。そしてそんな姿を見られてとても楽しい。きっとこんな反応できる人なんて日本中にほとんど存在しないはずだ。
「何見てるんだ。」
「動画取ればよかったって後悔。」
「やめろ、ほら行くぞ。」と差し出された腕を軽く掴み「折角だし他にも見ていこう。」という提案に乗った。
適当にブラブラして、おかしな雑貨を見つけたり、おもちゃ屋さんへとやってきて興味津々の設楽くんを眺めたりとなかなか楽しい時間だった。
「ふふ、ショッピングモールって案外楽しいね。」
「そうだな。…お前は誰かと来たりしないのか?」
「ううん、設楽くんと来るのがはじめてかも。」
「ふぅん、良かったな。」とぶっきらぼうに言う設楽くんの耳が赤くなってたことはバッチリと見えている。
「セイちゃんと来たからこんなに楽しいんだと思う。」ともっとこっ恥ずかしいことを言うとほっぺまで赤くして「手洗いに行ってくる。」と走って行ってしまった。
確実にこれは迷子になるやつだ。と思いながら近くにあったベンチへ座っていると、なんか良くわからない金髪のおじ…お兄…いや人にしつこく絡まれてしまった。
「いや、あの。」とタジタジになってると大きな男の子が金髪の人を蹴っ飛ばした。「チっ邪魔なんだよ。」と凄むやさっきの変な人は走って逃げて行った。
「あの、ありがとうございます。」と立ち上がりお礼を言いつつ、彼のことを見上げるように向くと大きな身長に少し長い黒髪。そして視線は鋭い。“男の子”と思ったが断然歳上な気がするぞ。
「あ…、いや…。」とジーッと見つめてくる黒髪のお兄さん。誰かに似てるような気がしなくもない…?と頭を捻らせたが、最近やった龍を如くする的なゲームのキャラに似てるような気もしなくもない。
龍というかこの人は虎って感じだ。いや熊か??いや虎だ。タイガー&ドラゴン?思い出せそうで思い出せないヤキモキが募っていたところで着信音がなり、一言言って電話に出ると予想通りの設楽くん。フードコートで落ち合うこととなった。
「すみません、そろそろ行きますね。」と携帯をポケットにしまい、何か言いたげなお兄さんは、何も言わないのでもう一度お礼を言ってからその場を後にした。
フードコートの出入り口付近へ向かうと設楽くんが待っていた。
「もう!いきなり走って行っちゃうから色々大変だったんだよ。」
「悪かった。折角だしここで昼食でも食べて行かないか?」
「仕方がないから食べてあげる。」
ピーク時間を過ぎたフードコートはすぐに席を見つける事ができそうなので、先に食事を選ぶ事にした。
「何にしようか。」
「おにぎり屋さんなんてあるんだ。」
「なんだそれ。行くぞ、早くしろ」と腕を引っ張りおにぎり屋さんへと向かう設楽くん。こういうところ可愛いよね。
おにぎりを何個か購入し、お水を持って席へと座り、早速いただいた。
「おにぎり屋…悪くないな。」
「そうだね、私もはじめておにぎり屋さんで買っちゃったよ。」
「ほら、これも食べてみろ。」と半分に割られたおにぎりを差し出してくる設楽くん。ありがたく頂戴し、今度は私のを半分に割って差し出した。
「ふふ、なんかこういうのいいね。」
「ふっ、そうだな。」
あっという間に食べ終わりフードコートを後にして、もう少し見て回ろうか。どうするか。と言ったところで設楽くんは何かを見つけたのか嫌そうな顔で反対側を向いた。
「どうしたの?設楽くん。」
「いや、さっき言ってたガキ大将みたいなヤツがあっちにいたように見えたんだ。」
「ふふ、じゃあもう外に出よう。」と自然と腕を組みながらショッピングモールを後にした。
せっかくここまで来たしと言うことで、設楽くんと臨海公園のレンガ道を歩いて帰ることになった。
「へぇ、こんな所あるんだね。設楽くんが歩くとヨーロッパって感じ。」
「馬鹿にしてるのか?」と設楽くんはふっと笑った。
「お前4月から引っ越してきたんだよな?」
「そうなのよ。それも休日はほとんど出歩かないし未だに“はばたき市”の事を全然知らないんだよね。」
夕日が反射してキラキラ輝く海。いつの日か見た海に似ている気がする。いつの話だっけ?と考えてると気づかぬ間に「人魚と若者」と呟いていた。
「なんだ?それ。」
「なんか昔にわかんないけど聞いたことがある気がする。前の引っ越しのときだっけ?んー?」
「前も引っ越ししたのか?」
「はばたき市から出て、はばたき市に戻ってきたっていうのが正しいかな。」
「へぇ、お前昔も住んでたのか。」
「まぁ、5歳の頃だからあんまり覚えてないけどね。」
今まで思ったことなんてなかったのに、今日のキーワードは“5歳の頃”とでも言うように5歳の頃を思う。
「……なるほど…。」
「なるほどってほどの話だった?」
「いや、こっちの話だ。気にするな。」
視線を設楽くんから再度海へ移すと船が浮かんでいる。
「ね、船だよ。設楽くん。」
「ここらへんは遊覧船が走ってる。今度行くか。」
「いいね、お魚食べ放題もしたい。」
「勝手にやってろ。」
談笑しながらゆったりとレンガ道を歩き、帰路につくが何故かすぐに家についてしまった。
「あっ、ここだ。」
「そうか。」
「あ、ごめん。」と組まれた腕を慌てて引っこ抜いた。
「設楽くん、今日は楽しかったよ。ありがとう。」
「いや、いい。俺も楽しかった。」
なんか、改めてこんな事を言うのは恥ずかしい。恥ずかしいので家に入りたいと、もっと設楽くんと遊んでいたい気持ちが湧き出てどうしたらいいのかわからず、反復横飛びのような動きをしてしまう。
「何やってんだ。」
「心を体で表してるの。私って芸術タイプだから。」馬鹿な動きと馬鹿なことを言う私に、ポケットから可愛らしくラッピングされた袋を取り出す差し出してきた設楽くん。
「ほら。これつけて美術館に展示されてろ。」
「?」
差し出された袋を受け取り中を除くとシックな髪飾りが入っていた。
「え、あのこれ。」
「たまたまお前に合いそうだと思って買っておいたんだ。失くすなよ。じゃあな。」と言うと設楽くんは駆け足で去っていった。
設楽くんの背中を見送り、髪飾りへ視線を移すと、腕を組んでた歩いた時の設楽くんの体温を思い出してもっと体がポカポカした。
早速明日髪がさりをつけようと思ったがこっ恥ずかしいのでやめることにした。
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