隣の席の設楽くん
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…
設楽くんとの宿題大会に負け、花火大会に行くことになった私は、お小遣いも多くもらってるので、折角なので浴衣を買いにショッピングモールへと買い物へとやってきた。
一人、ショッピングモールをブラブラしていると、いつの日か助けてくれたあの お兄さんが般若のDUBタンクトップを着て歩いていたのを見かけてしまい、危うく話しかけたくなるも、隣には金髪のお兄さんがいたのでやめた。
お兄さんたちを見ていると、なんだか戦隊ブラックと金髪だけに戦隊イエローみたいだなと思ってみたり。
もちろん、人混みだったのでお兄さんは私に気が付かずにすれ違った。そりゃお兄さんに取ったら私は遠い昔の人間で、心の中で“DUB最高”と呟きながらすれ違った。
浴衣売り場に到着すると、様々な浴衣が売られていて見ているだけで満足しそうだ。
女子高生なら、浴衣を着て花火大会に行のが夏のイベントの一つ。なんだか私もやっと女子高生って感じがする。
適当に目に入った浴衣を購入しようかと思ったが、散々迷い悩み、シックっぽい少し落ち着いた浴衣を見つけたのでそれを購入することにした。
思いの外、浴衣が高かったので屋台用の軍資金がほとんど残らず、そして浴衣を広げるも着付けのやり方を知らないではないか。
はばたきネットでやり方を調べても、全然うまく着れないではない。
ふと思い出した。前に たまちゃんと設楽くんと三人で博物館に行った時に、設楽くんのおじいちゃんの家にはなんか凄い能のお面があるだとか言っていはずだ。それに、連鶴を折るのすごいし、手の起用さ的にきっと着付けはできるのでは?設楽くんならなんとかしてくれるかもしれない。
…
困ったときの設楽くん頼みという事で、設楽くんになんとかしてもらおうと決め、浴衣の着付けの練習は早々にやめて放置し、花火大会当日。
チャイムの音が響き、設楽くんが迎えに来てくれた。急いで1階に降り玄関の扉を開けば浴衣姿の設楽くんだ。
「しったらーくん。って、あ。やっぱ浴衣だ。」
「お前は…やっぱ浴衣じゃないのか。」
“やっぱ”と言われるのは少し悔しい。今私が浴衣を着ていたらどんな反応をしていたのだろうか?
「それが…、着付がけわからないもので…。設楽くんならなんとかしてくれるかなって。お待ちしてました。」
一つため息を吐いた設楽くんは「俺は男でお前は女だ。馬鹿なこと言うなよ。」と着せてくれる気はないようだ。
「そっか…、ごめんね。」と謝る私に設楽くんは「今日のところはこのまま祭りに行こう。浴衣は次に家に来たときに着せてやる。」ととっても優しいフォローをくれるではないか。お陰で、浴衣は無駄にならずに済みそうだ。
「ふふ、じゃあその時は手持ち花火を持って伺うね。なんか楽しみ。」
「手持ち花火?、花火を手に持ってやるやつか?」
これは手持ち花火をやったことのない人の反応だ。今日の花火大会の会場にはまだついていないが、早く設楽くんと一緒に手持ち花火をしたくて堪らなくなく、とても楽しみだ。
「じゃあいつにする?」
「夏休み最後の週にしよう。空けとけよ。」
「ふふ、いいね。夏休み最後の思い出というか締めみたいな感じで。」
しばらく歩き花火大会会場へ到着した。まだ、空はほんのり赤く花火は打ち上がりそうもないのに沢山の人達が縁日を見て回っている。
そして目に入ったのは“チョコバナナ”の屋台だ。
「設楽くん、私のほうが宿題遅かったけどチョコバナナ買って。」と指差す私と違い、設楽くんはあまり興味がなさそうな視線を向けていた。
「あれが…、チョコバナナか…?要するにチョコレートフォンデュだろ?」
「よくわかったね。正解です。じゃあ買っ…」
「お前の大好きなシェフに美味しいチョコフォンデュ作らせてやるよ。」
「えっ!食べたい!じゃあ我慢する!」と単純な私だ。
チョコバナナと別れを告げて数十歩歩いたところで設楽くんは立ち止まった。
「いちご飴?なんてあるぞ。お前、いちご好きだろ?」
「うん、好き好き。」
早速屋台に向かい、ほぼリッチの入ってない財布から1リッチを取り出しいちご飴を一つ購入した。
数口舐めてると、設楽くんの視線を感じ、「あ、設楽くんも食べる?ほらお食べ。」と差し出すや、受け取り設楽くんも舐めていた。
「あ、あぁ…、すごく…、甘いな。」
きっとその反応的にいちご飴を食べたのは、はじめてなのだろう。
だが私は、はばたき市に引っ越してくる前の田舎の縁日では、りんご飴が売っていなく、いちご飴の屋台が沢山あるという謎の現象が起きていたので、“いちご飴”は定番中の定番なのだ。
おかげで“りんご飴”は漫画の中の創作物だと思っていたわけだが。
「私は最後まで舐めていちごはいちごで楽しむタイプなんだけど、折角だし齧っちゃって。」
私の言葉を聞いていちご飴を齧る設楽くんがなんだか可愛いなって思った。
「美味しいな。お前に新しいの買ってくる。」
「ううん、流石に甘すぎてキツイし、戻るの面倒だし気にしないで。」と設楽くんの食べかけのいちご飴を受け取り、少しだけいちごを食べた。
設楽くんの視線が先程よりもビンビンと感じ、「…?食べたりなかった?はい、どうぞ?」ともう一度差し出そうとするが、もういらないようだ。
「……、お前、紺野にも同じ事するのか?」
「ん?たまちゃん?」
突然でてきた“紺野”の名前に驚きつつ、「設楽くんだけだよ。だって何度もお弁当貰ってるし、一緒にケーキ食べたしねぇ。」と返したが、何やら腑に落ちなさそうだ。
「お前なら、俺じゃなくても気にせず食べてるだろ。」
「確かに…いでででで。ここ人通り多いからいでででで。」
設楽くんに抓られた頬を擦りながら歩いていると目に入ったのはお面屋さんだった。
「あ、これ、小さい頃に良くレンジャーごっこしてたやつだ!」
「へぇ、お前が?以外だな。」
思い返すのはサクラソウと教会と、琉夏くんとコウくんのことだ。
「地球を守るレッドとブラックもいて、私はイエローだったの。」
「……、ふぅん。なんでイエローなんだ。」
「カレーが好きだったのと俳優さんが金髪で格好良くて一番タイプだったの。」
「へー、物好きもいるんだな。」
「もう!失礼な!カレー食べると力がみなぎってて格好良かったんだから!」
懐かしい思い出に浸ることができたが、お面を眺め飽きたので、他の屋台を見るべくその場を後にした。
「なぁ……、会いたくないのか?そいつらに。」
「小さい頃過ぎてよく覚えてないから今会っても反応に困っちゃうよ。」
お面屋さんから数十歩離れたところで設楽くんは回れ右をし、またもやお面屋さんに到着した。
「いきなりどうしたの?」
「お前は狐というより狸だが…まあいいか。」と、設楽くんはおじさんにお金を払うと私に狐のお面を被せた。
「ちょっ、そこはイエロー…」と言う言葉を無視し設楽くんも狐のお面を被っている。
「えっ、なにいきなり、よくみえっぶふ」
「いいから掴まれ、こっちに行くぞ。」と設楽くんに手を引かれて、屋台のある通りからだいぶ離れた場所にやってきた。
「……、学校の奴らがいたんだ。」
そりゃそうだ。はばたき市内の小中高生がそりゃ集まるだろう花火大会だ。思い返すのは一学年次のショッピングモールでの出来事だ。
「あ、なーるほど。そりゃ助かる。」
「なんだ、助かるって。」
設楽くんは一年生にもファンがいるようだし、今度は一年生に何か絡まれるのも勘弁。
「設楽くんと一緒にいるの揶揄われるのやだもん。」
「……やだ?ってなんだ…?どんな意味があるんだ?」
握られている手が強く握られたような気がした。
「一緒に居るの好きだから、揶揄われるのはなんか嫌な気持ちになるもん。見世物じゃないし…」
「なるほどな…、お前もたまにはいいこと言うじゃないか。」
「じゃあもう一個!今いいこと思いついた!」
「くだらない事じゃないよな?」
頭によぎったのは去年の文化祭。設楽くんと一瞬だけ回れたが、シタラーズに追いかけられてしまい、一瞬で解散したあの出来事。
「文化祭の時もこのお面を被らない?そうしたらシタラーズに気が付かれずに一緒に回れるかなって。」
「…、お前もちゃんと俺の事を考えてるとはな。そのお面無くすなよ。絶対に。」
「ふふ、うん。」
少し歩くと、ベンチがあったので腰を下ろし、ここで花火を見ることにしたが、まだ上がるような気配はない。
「花火遅いね。」と呑気に空を見つめる私を設楽くんが見ていたとは気がつくわけもなく。ぽけーっと星の数を数えていた。
「お前の心に触れられたらいいのに。」
「…?そう?私はいつも設楽くんの心に触れてるよ。ほれ!」とお面とお面をごっつんこ。お面がなければゼロセンチってやつだ。
「お前っ」
「ふふっ冗談。」
蒸し暑さに負けてお面を頭に付け替えたが、設楽くんはお面をつけたままだ。
「冗談なんかじゃない。俺は…」ともごもご何か言う設楽くん。なんだか、本当に悩んでいたりするのかもしれない。
「設楽くん、心はね。見えるものじゃない、感じるものなんだよ。」と光と闇の心なゲームの名台詞をあたかも私が考えましたとでも言うように告げた。
「感じる…、ものか…。」とお面越しでもわかるほど真面目に受け取る姿になんだか申し訳ない。ごめん、その言葉はパクリなんだよ。
「お前は…、俺といてどう感じてるんだ?」
「また来年も一緒に花火大会に来たいなって感じてるよ。」
「俺は…これからも…。」と何か言いかけの設楽くんを無視し大きな音と共に打ち上がる花火。
「きれいだねぇ…。」
「……、そうだな。」
暫く無言で見つつ、チラリと設楽くんの方を向けば狐のお面は私と同じく頭についていた。
花火大会が終わるまでいると、帰りが混雑するので設楽くんと早めにその場を後にし、あっという間に家に到着してしまった。
帰り際に、「来年の花火大会の日は開けとけよ?お前が言ったんだ、忘れるな。」と、先程私が言っていた言葉の返答が告げられた。
胸が暖かくなるような、ぽかぽかというか。顔が熱くなる感覚が襲い、慌てて狐のお面を被り直し、ドキドキする気持ちで「忘れない。」と答えた。
設楽くんは後ろを振り向き「早く寝ろよ、また、連絡する。」と言うと言ってしまった。
私の視線には設楽くんの背中とお揃いの狐さんのお面。
今度の手持ち花火の会の時もお面をつけていこうと思った。
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設楽くんとの宿題大会に負け、花火大会に行くことになった私は、お小遣いも多くもらってるので、折角なので浴衣を買いにショッピングモールへと買い物へとやってきた。
一人、ショッピングモールをブラブラしていると、いつの日か助けてくれたあの お兄さんが般若のDUBタンクトップを着て歩いていたのを見かけてしまい、危うく話しかけたくなるも、隣には金髪のお兄さんがいたのでやめた。
お兄さんたちを見ていると、なんだか戦隊ブラックと金髪だけに戦隊イエローみたいだなと思ってみたり。
もちろん、人混みだったのでお兄さんは私に気が付かずにすれ違った。そりゃお兄さんに取ったら私は遠い昔の人間で、心の中で“DUB最高”と呟きながらすれ違った。
浴衣売り場に到着すると、様々な浴衣が売られていて見ているだけで満足しそうだ。
女子高生なら、浴衣を着て花火大会に行のが夏のイベントの一つ。なんだか私もやっと女子高生って感じがする。
適当に目に入った浴衣を購入しようかと思ったが、散々迷い悩み、シックっぽい少し落ち着いた浴衣を見つけたのでそれを購入することにした。
思いの外、浴衣が高かったので屋台用の軍資金がほとんど残らず、そして浴衣を広げるも着付けのやり方を知らないではないか。
はばたきネットでやり方を調べても、全然うまく着れないではない。
ふと思い出した。前に たまちゃんと設楽くんと三人で博物館に行った時に、設楽くんのおじいちゃんの家にはなんか凄い能のお面があるだとか言っていはずだ。それに、連鶴を折るのすごいし、手の起用さ的にきっと着付けはできるのでは?設楽くんならなんとかしてくれるかもしれない。
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困ったときの設楽くん頼みという事で、設楽くんになんとかしてもらおうと決め、浴衣の着付けの練習は早々にやめて放置し、花火大会当日。
チャイムの音が響き、設楽くんが迎えに来てくれた。急いで1階に降り玄関の扉を開けば浴衣姿の設楽くんだ。
「しったらーくん。って、あ。やっぱ浴衣だ。」
「お前は…やっぱ浴衣じゃないのか。」
“やっぱ”と言われるのは少し悔しい。今私が浴衣を着ていたらどんな反応をしていたのだろうか?
「それが…、着付がけわからないもので…。設楽くんならなんとかしてくれるかなって。お待ちしてました。」
一つため息を吐いた設楽くんは「俺は男でお前は女だ。馬鹿なこと言うなよ。」と着せてくれる気はないようだ。
「そっか…、ごめんね。」と謝る私に設楽くんは「今日のところはこのまま祭りに行こう。浴衣は次に家に来たときに着せてやる。」ととっても優しいフォローをくれるではないか。お陰で、浴衣は無駄にならずに済みそうだ。
「ふふ、じゃあその時は手持ち花火を持って伺うね。なんか楽しみ。」
「手持ち花火?、花火を手に持ってやるやつか?」
これは手持ち花火をやったことのない人の反応だ。今日の花火大会の会場にはまだついていないが、早く設楽くんと一緒に手持ち花火をしたくて堪らなくなく、とても楽しみだ。
「じゃあいつにする?」
「夏休み最後の週にしよう。空けとけよ。」
「ふふ、いいね。夏休み最後の思い出というか締めみたいな感じで。」
しばらく歩き花火大会会場へ到着した。まだ、空はほんのり赤く花火は打ち上がりそうもないのに沢山の人達が縁日を見て回っている。
そして目に入ったのは“チョコバナナ”の屋台だ。
「設楽くん、私のほうが宿題遅かったけどチョコバナナ買って。」と指差す私と違い、設楽くんはあまり興味がなさそうな視線を向けていた。
「あれが…、チョコバナナか…?要するにチョコレートフォンデュだろ?」
「よくわかったね。正解です。じゃあ買っ…」
「お前の大好きなシェフに美味しいチョコフォンデュ作らせてやるよ。」
「えっ!食べたい!じゃあ我慢する!」と単純な私だ。
チョコバナナと別れを告げて数十歩歩いたところで設楽くんは立ち止まった。
「いちご飴?なんてあるぞ。お前、いちご好きだろ?」
「うん、好き好き。」
早速屋台に向かい、ほぼリッチの入ってない財布から1リッチを取り出しいちご飴を一つ購入した。
数口舐めてると、設楽くんの視線を感じ、「あ、設楽くんも食べる?ほらお食べ。」と差し出すや、受け取り設楽くんも舐めていた。
「あ、あぁ…、すごく…、甘いな。」
きっとその反応的にいちご飴を食べたのは、はじめてなのだろう。
だが私は、はばたき市に引っ越してくる前の田舎の縁日では、りんご飴が売っていなく、いちご飴の屋台が沢山あるという謎の現象が起きていたので、“いちご飴”は定番中の定番なのだ。
おかげで“りんご飴”は漫画の中の創作物だと思っていたわけだが。
「私は最後まで舐めていちごはいちごで楽しむタイプなんだけど、折角だし齧っちゃって。」
私の言葉を聞いていちご飴を齧る設楽くんがなんだか可愛いなって思った。
「美味しいな。お前に新しいの買ってくる。」
「ううん、流石に甘すぎてキツイし、戻るの面倒だし気にしないで。」と設楽くんの食べかけのいちご飴を受け取り、少しだけいちごを食べた。
設楽くんの視線が先程よりもビンビンと感じ、「…?食べたりなかった?はい、どうぞ?」ともう一度差し出そうとするが、もういらないようだ。
「……、お前、紺野にも同じ事するのか?」
「ん?たまちゃん?」
突然でてきた“紺野”の名前に驚きつつ、「設楽くんだけだよ。だって何度もお弁当貰ってるし、一緒にケーキ食べたしねぇ。」と返したが、何やら腑に落ちなさそうだ。
「お前なら、俺じゃなくても気にせず食べてるだろ。」
「確かに…いでででで。ここ人通り多いからいでででで。」
設楽くんに抓られた頬を擦りながら歩いていると目に入ったのはお面屋さんだった。
「あ、これ、小さい頃に良くレンジャーごっこしてたやつだ!」
「へぇ、お前が?以外だな。」
思い返すのはサクラソウと教会と、琉夏くんとコウくんのことだ。
「地球を守るレッドとブラックもいて、私はイエローだったの。」
「……、ふぅん。なんでイエローなんだ。」
「カレーが好きだったのと俳優さんが金髪で格好良くて一番タイプだったの。」
「へー、物好きもいるんだな。」
「もう!失礼な!カレー食べると力がみなぎってて格好良かったんだから!」
懐かしい思い出に浸ることができたが、お面を眺め飽きたので、他の屋台を見るべくその場を後にした。
「なぁ……、会いたくないのか?そいつらに。」
「小さい頃過ぎてよく覚えてないから今会っても反応に困っちゃうよ。」
お面屋さんから数十歩離れたところで設楽くんは回れ右をし、またもやお面屋さんに到着した。
「いきなりどうしたの?」
「お前は狐というより狸だが…まあいいか。」と、設楽くんはおじさんにお金を払うと私に狐のお面を被せた。
「ちょっ、そこはイエロー…」と言う言葉を無視し設楽くんも狐のお面を被っている。
「えっ、なにいきなり、よくみえっぶふ」
「いいから掴まれ、こっちに行くぞ。」と設楽くんに手を引かれて、屋台のある通りからだいぶ離れた場所にやってきた。
「……、学校の奴らがいたんだ。」
そりゃそうだ。はばたき市内の小中高生がそりゃ集まるだろう花火大会だ。思い返すのは一学年次のショッピングモールでの出来事だ。
「あ、なーるほど。そりゃ助かる。」
「なんだ、助かるって。」
設楽くんは一年生にもファンがいるようだし、今度は一年生に何か絡まれるのも勘弁。
「設楽くんと一緒にいるの揶揄われるのやだもん。」
「……やだ?ってなんだ…?どんな意味があるんだ?」
握られている手が強く握られたような気がした。
「一緒に居るの好きだから、揶揄われるのはなんか嫌な気持ちになるもん。見世物じゃないし…」
「なるほどな…、お前もたまにはいいこと言うじゃないか。」
「じゃあもう一個!今いいこと思いついた!」
「くだらない事じゃないよな?」
頭によぎったのは去年の文化祭。設楽くんと一瞬だけ回れたが、シタラーズに追いかけられてしまい、一瞬で解散したあの出来事。
「文化祭の時もこのお面を被らない?そうしたらシタラーズに気が付かれずに一緒に回れるかなって。」
「…、お前もちゃんと俺の事を考えてるとはな。そのお面無くすなよ。絶対に。」
「ふふ、うん。」
少し歩くと、ベンチがあったので腰を下ろし、ここで花火を見ることにしたが、まだ上がるような気配はない。
「花火遅いね。」と呑気に空を見つめる私を設楽くんが見ていたとは気がつくわけもなく。ぽけーっと星の数を数えていた。
「お前の心に触れられたらいいのに。」
「…?そう?私はいつも設楽くんの心に触れてるよ。ほれ!」とお面とお面をごっつんこ。お面がなければゼロセンチってやつだ。
「お前っ」
「ふふっ冗談。」
蒸し暑さに負けてお面を頭に付け替えたが、設楽くんはお面をつけたままだ。
「冗談なんかじゃない。俺は…」ともごもご何か言う設楽くん。なんだか、本当に悩んでいたりするのかもしれない。
「設楽くん、心はね。見えるものじゃない、感じるものなんだよ。」と光と闇の心なゲームの名台詞をあたかも私が考えましたとでも言うように告げた。
「感じる…、ものか…。」とお面越しでもわかるほど真面目に受け取る姿になんだか申し訳ない。ごめん、その言葉はパクリなんだよ。
「お前は…、俺といてどう感じてるんだ?」
「また来年も一緒に花火大会に来たいなって感じてるよ。」
「俺は…これからも…。」と何か言いかけの設楽くんを無視し大きな音と共に打ち上がる花火。
「きれいだねぇ…。」
「……、そうだな。」
暫く無言で見つつ、チラリと設楽くんの方を向けば狐のお面は私と同じく頭についていた。
花火大会が終わるまでいると、帰りが混雑するので設楽くんと早めにその場を後にし、あっという間に家に到着してしまった。
帰り際に、「来年の花火大会の日は開けとけよ?お前が言ったんだ、忘れるな。」と、先程私が言っていた言葉の返答が告げられた。
胸が暖かくなるような、ぽかぽかというか。顔が熱くなる感覚が襲い、慌てて狐のお面を被り直し、ドキドキする気持ちで「忘れない。」と答えた。
設楽くんは後ろを振り向き「早く寝ろよ、また、連絡する。」と言うと言ってしまった。
私の視線には設楽くんの背中とお揃いの狐さんのお面。
今度の手持ち花火の会の時もお面をつけていこうと思った。
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