隣の席の設楽くん
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…
冬休みは何はともあれ充実していた。設楽くんとケンタッキーを食べてイルミネーションを見たり、初詣に行ったり、ダーツしたり映画見たり、そんで、たまちゃんに宿題を教わったりと良い思い出になった
「一人旅はしないのか?道に迷って俺に連絡して泣きつく姿を楽しみにしてたんだが。」
「あ、はは。いや、それは来年ね。」とチクリと嫌味を言われたがね。
ちなみに、設楽くんのくれたシックな髪飾りは私の持つ洋服には似合わないことに気がついたと伝えると、「じゃあ制服を着てる時につければいいだろ。」とごもっともな返事をいただいた。
なので冬休みが明けてからの私の制服姿は頭にシックな髪がざりがついてNEWスタイルだ。
正直、勿体無いし無くすのが嫌なのでつけたくなかったのだが、設楽くんが喜んでくれたのを見たら仕方がないので使い倒そうと思う。
そして2月に入り、来月からはじまる春休みに今からウキウキしていた。
終礼を終えるや「音楽室、お前も来いよ。」と隣の席の設楽くんに誘われたので鞄を持って一緒に向かうことにした。
「なんか春っぽい曲聞きたい。」
「珍しいな、お前からリクエストがあるなんて、まぁ仕方がないから弾いてやる。」
そうだ、冬休み以降変わったことが一つあった。純粋にピアノを聞きに来ている子もいるけれど、きゃーきゃータイプの女の子たちはほとんど来なくなった。きっと設楽くんは清々したと思っているだろう。
音楽室に入るやリクエスト通り設楽くんは春を感じる曲を弾いてくれた。前から上手だけれど、以前と比べ物にならないほど設楽くんはピアノのテクニックのレベルが上がっている。曲が終われば自然と拍手をしてしまう。
「設楽くん、毎日進化してるね。」
「いや、前のような勘はまだまだ戻っていない。いつになるやら。」
設楽くんは時計に目をやると「悪い、そろそろ行かないと。」と、今日はここでお別れのようだ。きっと家でもピアノを猛特訓しているのだろう。
それなのに、冬休みも時間を作ってくれるし、心の友っていいね。
「最終形態設楽くんが楽しみだよ。」
「ふっ、お前の最終形態は頭に花畑ができてるんだろうな。」
「ふん!その花をお祝いに花束にしてプレゼントしてやんよ!」
ふと、思った。私も設楽くんを見習って頑張らないと。まずは勉強…?かな…?…いや、何か新しい事に挑戦しようかな…?
「私もなにか…」“新しい事に挑戦しようかな”と言おうとしたが、設楽くんの言葉が被された。
「嘘だよ。お前にはいつも助けられてる。ありがとな。」
「うぇっ、い、いや、唐突に感謝されてもなんか困る。」
突然のことにしどろもどろな私の頭を一撫ですると、「困っておけ。じゃあ、また明日な。」と迎えに来た車に乗り込み行ってしまった。私は設楽くんと運転手さん二人に向けて手を振った。
車が見えなくなるまで眺めながら先程の設楽くんの言葉が「お前はそのままでいい。」と言われているような気がしてとても嬉しいと感じる。
新しい事に挑戦するよりも、今の自分を大切にしながら努力しようと思った。
その後、なんとなく街を一人でブラブラしていると目に入るのは人だかりのお店だ。そちらに目を向けるとハートの風船までディスプレイされている。
バレンタインフェア…?手作りチョコ…?面倒くさ!
そうか、明日は2月14日。
……一瞬設楽くんのことが浮かんだが、中学の頃から変わらない、そのままの感情を持つ私は、友チョコ文化は否定派なのだ。チョココーナーを気にせずそのまま通り過ぎた。
自宅に到着後、就寝前に設楽くんに“セイちゃんへ。明日のお昼、一緒に食べよう。”とメールを打ち込んだが結局送るのはやめた。
…
翌日、バレンタインデーでソワソワしている雰囲気の学校内で私と設楽くんは変わらずにいつも通り過ごしていた。
「ねぇ設楽く…」と話しかける前に、教室の前には別のクラスの女の子たちが設楽くんを呼んでいた。
設楽くんは眉間のシワを濃くしながらその呼び出しに応じにいったのは意外だった。
「バレンタインデー?くだらない。興味ない。」と吐き捨てそうだと勝手に思っていたが、眉間にシワを寄せながらも設楽くんはチョコレートを受け取り、そして全員へ平等にお返しをするのだろう。やはり眉間のシワでも紳士だ。
ぼーっと窓の外を眺めていると設楽くんが戻ってきた。そしてすぐに授業がはじまった。
そして、その他の短時間休憩の時も設楽くんは呼び出されて行ってしまったのでいつもより設楽くんとはおしゃべりができなかった。
キャーキャー女子が減ったとは言え、設楽くんファンは相変わらず多そうだ。
そしてそして、お昼休みになり、いつものように設楽くんを誘おうと思っていたが、すぐに女子に呼ばれて行ってしまったので、たまちゃん達とお昼ご飯を食べることにした。
机をくっつけて、お弁当を広げるとたくさんの唐揚げに驚くみなさんに、その唐揚げをプレゼントした。
たまちゃんなんて、生焼けなのか心配してそうな顔をしていたのに口へ入れると「これ、本当に君が作ったのかい!?」と驚きの声を上げていた。
いやお前、卵焼き食べたことある癖にそんなに疑わなくてもいいじゃんかよ。と内心思う。
そしてその他の男性陣も、「美奈子じゃなければ胃袋を掴まれてた。」と唐揚げを食べてくれて嬉しかった。
「って、何だその感想は!胃袋にしがみついたるわ!」と、残り数個の唐揚げを彼らの口に突っ込みながらそんな話をしていた。
もぐもぐしながら男性陣達は「いやぁ、ねぇ…?」と困惑の表情である。
その空気を壊すように たまちゃんは「そうだ、君はチョコレート誰かにあげないのかい?」と聞いてきた。
みんなワクワクした顔をして聞いているが、私は友チョコは否定派なのだ。だから持ってきていない。
「製菓会社の策略には溺れませ〜ん。」と返す私に、「へ、へぇ…、想像通りというかなんというか…。逆に君はそのままでいてほしい気もするよ…。」と、みなさん苦笑いをしていた。
「さっき食べてた唐揚げがバレンタインチョ…バレンタイン唐揚げだから別にいいじゃん。」
「いや、それじゃ…その」
「…?ほら、設楽くん見なよ。ずっと呼び出されてるんだよ。それに比べてモテない諸君よ、良かったね。バレンタイ唐揚げ貰えて。」と言うや咳き込むみなさんだった。
「ちょっ、なになにどうしたの。」
そこから、誰かがクリスマスパーティの時の話を聞いてきた瞬間、たまちゃんは禁句ワードを言われたと言うような表情を見せ、“あの出来事は口外するな。”と言うような目で見つめてきた。
それを察した私は、設楽くんの腕を杖にしていただけだよ。と、ドレスの下りだとかは隠しつつ、余計なことを言うのはやめた。
みんなは納得していないようだったが、丁度設楽くんが戻ってきたので口をつぐんだ。
「よし、みんな食べ終えたし元の位置に戻ろう。」と たまちゃんが言うや一瞬で机の位置が戻された。
「ほらそろそろ授業もはじまるんだから早く席に戻りなよ。」と急かされたので、設楽くんの隣の席へと戻った。
「ねぇ、設楽くん。」
「なんだ。」
設楽くんの表情は今年になって一番の仏頂面だと思った。これを超える仏頂面は果たしてこれから起こるのだろうか?
「眉間のシワが刻まれすぎて貫通しそうだよ。」
「とっくに貫通してる。」
どういうことやねん。というツッコミはやめにしてチョコレートの成果を聞くことにした。
「帰りの車に乗り切れないほどチョコもらってるよね?その感じは。」
「お前に俺の眉間のシワがとどけばいいのにな。」
「どういうことやねん。」
なんとなく聞かれたくないのだと思ってそれ以上、“設楽くんのバレンタインチョコ”に関することは聞くのをやめた。
隣にいる設楽くんと視線があったので見つめ返した。
「なぁ…、お前は…」
「…ん?なに?」と呑気に聞く私に設楽くんは何も言うことはなかった。
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冬休みは何はともあれ充実していた。設楽くんとケンタッキーを食べてイルミネーションを見たり、初詣に行ったり、ダーツしたり映画見たり、そんで、たまちゃんに宿題を教わったりと良い思い出になった
「一人旅はしないのか?道に迷って俺に連絡して泣きつく姿を楽しみにしてたんだが。」
「あ、はは。いや、それは来年ね。」とチクリと嫌味を言われたがね。
ちなみに、設楽くんのくれたシックな髪飾りは私の持つ洋服には似合わないことに気がついたと伝えると、「じゃあ制服を着てる時につければいいだろ。」とごもっともな返事をいただいた。
なので冬休みが明けてからの私の制服姿は頭にシックな髪がざりがついてNEWスタイルだ。
正直、勿体無いし無くすのが嫌なのでつけたくなかったのだが、設楽くんが喜んでくれたのを見たら仕方がないので使い倒そうと思う。
そして2月に入り、来月からはじまる春休みに今からウキウキしていた。
終礼を終えるや「音楽室、お前も来いよ。」と隣の席の設楽くんに誘われたので鞄を持って一緒に向かうことにした。
「なんか春っぽい曲聞きたい。」
「珍しいな、お前からリクエストがあるなんて、まぁ仕方がないから弾いてやる。」
そうだ、冬休み以降変わったことが一つあった。純粋にピアノを聞きに来ている子もいるけれど、きゃーきゃータイプの女の子たちはほとんど来なくなった。きっと設楽くんは清々したと思っているだろう。
音楽室に入るやリクエスト通り設楽くんは春を感じる曲を弾いてくれた。前から上手だけれど、以前と比べ物にならないほど設楽くんはピアノのテクニックのレベルが上がっている。曲が終われば自然と拍手をしてしまう。
「設楽くん、毎日進化してるね。」
「いや、前のような勘はまだまだ戻っていない。いつになるやら。」
設楽くんは時計に目をやると「悪い、そろそろ行かないと。」と、今日はここでお別れのようだ。きっと家でもピアノを猛特訓しているのだろう。
それなのに、冬休みも時間を作ってくれるし、心の友っていいね。
「最終形態設楽くんが楽しみだよ。」
「ふっ、お前の最終形態は頭に花畑ができてるんだろうな。」
「ふん!その花をお祝いに花束にしてプレゼントしてやんよ!」
ふと、思った。私も設楽くんを見習って頑張らないと。まずは勉強…?かな…?…いや、何か新しい事に挑戦しようかな…?
「私もなにか…」“新しい事に挑戦しようかな”と言おうとしたが、設楽くんの言葉が被された。
「嘘だよ。お前にはいつも助けられてる。ありがとな。」
「うぇっ、い、いや、唐突に感謝されてもなんか困る。」
突然のことにしどろもどろな私の頭を一撫ですると、「困っておけ。じゃあ、また明日な。」と迎えに来た車に乗り込み行ってしまった。私は設楽くんと運転手さん二人に向けて手を振った。
車が見えなくなるまで眺めながら先程の設楽くんの言葉が「お前はそのままでいい。」と言われているような気がしてとても嬉しいと感じる。
新しい事に挑戦するよりも、今の自分を大切にしながら努力しようと思った。
その後、なんとなく街を一人でブラブラしていると目に入るのは人だかりのお店だ。そちらに目を向けるとハートの風船までディスプレイされている。
バレンタインフェア…?手作りチョコ…?面倒くさ!
そうか、明日は2月14日。
……一瞬設楽くんのことが浮かんだが、中学の頃から変わらない、そのままの感情を持つ私は、友チョコ文化は否定派なのだ。チョココーナーを気にせずそのまま通り過ぎた。
自宅に到着後、就寝前に設楽くんに“セイちゃんへ。明日のお昼、一緒に食べよう。”とメールを打ち込んだが結局送るのはやめた。
…
翌日、バレンタインデーでソワソワしている雰囲気の学校内で私と設楽くんは変わらずにいつも通り過ごしていた。
「ねぇ設楽く…」と話しかける前に、教室の前には別のクラスの女の子たちが設楽くんを呼んでいた。
設楽くんは眉間のシワを濃くしながらその呼び出しに応じにいったのは意外だった。
「バレンタインデー?くだらない。興味ない。」と吐き捨てそうだと勝手に思っていたが、眉間にシワを寄せながらも設楽くんはチョコレートを受け取り、そして全員へ平等にお返しをするのだろう。やはり眉間のシワでも紳士だ。
ぼーっと窓の外を眺めていると設楽くんが戻ってきた。そしてすぐに授業がはじまった。
そして、その他の短時間休憩の時も設楽くんは呼び出されて行ってしまったのでいつもより設楽くんとはおしゃべりができなかった。
キャーキャー女子が減ったとは言え、設楽くんファンは相変わらず多そうだ。
そしてそして、お昼休みになり、いつものように設楽くんを誘おうと思っていたが、すぐに女子に呼ばれて行ってしまったので、たまちゃん達とお昼ご飯を食べることにした。
机をくっつけて、お弁当を広げるとたくさんの唐揚げに驚くみなさんに、その唐揚げをプレゼントした。
たまちゃんなんて、生焼けなのか心配してそうな顔をしていたのに口へ入れると「これ、本当に君が作ったのかい!?」と驚きの声を上げていた。
いやお前、卵焼き食べたことある癖にそんなに疑わなくてもいいじゃんかよ。と内心思う。
そしてその他の男性陣も、「美奈子じゃなければ胃袋を掴まれてた。」と唐揚げを食べてくれて嬉しかった。
「って、何だその感想は!胃袋にしがみついたるわ!」と、残り数個の唐揚げを彼らの口に突っ込みながらそんな話をしていた。
もぐもぐしながら男性陣達は「いやぁ、ねぇ…?」と困惑の表情である。
その空気を壊すように たまちゃんは「そうだ、君はチョコレート誰かにあげないのかい?」と聞いてきた。
みんなワクワクした顔をして聞いているが、私は友チョコは否定派なのだ。だから持ってきていない。
「製菓会社の策略には溺れませ〜ん。」と返す私に、「へ、へぇ…、想像通りというかなんというか…。逆に君はそのままでいてほしい気もするよ…。」と、みなさん苦笑いをしていた。
「さっき食べてた唐揚げがバレンタインチョ…バレンタイン唐揚げだから別にいいじゃん。」
「いや、それじゃ…その」
「…?ほら、設楽くん見なよ。ずっと呼び出されてるんだよ。それに比べてモテない諸君よ、良かったね。バレンタイ唐揚げ貰えて。」と言うや咳き込むみなさんだった。
「ちょっ、なになにどうしたの。」
そこから、誰かがクリスマスパーティの時の話を聞いてきた瞬間、たまちゃんは禁句ワードを言われたと言うような表情を見せ、“あの出来事は口外するな。”と言うような目で見つめてきた。
それを察した私は、設楽くんの腕を杖にしていただけだよ。と、ドレスの下りだとかは隠しつつ、余計なことを言うのはやめた。
みんなは納得していないようだったが、丁度設楽くんが戻ってきたので口をつぐんだ。
「よし、みんな食べ終えたし元の位置に戻ろう。」と たまちゃんが言うや一瞬で机の位置が戻された。
「ほらそろそろ授業もはじまるんだから早く席に戻りなよ。」と急かされたので、設楽くんの隣の席へと戻った。
「ねぇ、設楽くん。」
「なんだ。」
設楽くんの表情は今年になって一番の仏頂面だと思った。これを超える仏頂面は果たしてこれから起こるのだろうか?
「眉間のシワが刻まれすぎて貫通しそうだよ。」
「とっくに貫通してる。」
どういうことやねん。というツッコミはやめにしてチョコレートの成果を聞くことにした。
「帰りの車に乗り切れないほどチョコもらってるよね?その感じは。」
「お前に俺の眉間のシワがとどけばいいのにな。」
「どういうことやねん。」
なんとなく聞かれたくないのだと思ってそれ以上、“設楽くんのバレンタインチョコ”に関することは聞くのをやめた。
隣にいる設楽くんと視線があったので見つめ返した。
「なぁ…、お前は…」
「…ん?なに?」と呑気に聞く私に設楽くんは何も言うことはなかった。
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