短編
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…
忌々しい指輪をつけっばなしだったことに気がついて外して適当なところに置いといた。
少量の荷物を持って向かう先はWestBeach。
私の心とは真逆に星は綺麗に輝いていた。
連絡してないしもう眠っていたらどうしようかと思ったけれどWestBeachの1階はまだ電気がついていた。
ノックをして声をかけるとルカくんが出迎えてくれた。
ほっとして涙が出そうだ。
「どうした…?オマエがこんな夜中に来るなんて連絡くれたら迎えに行ったのに。」
「あはは。家出させてほしいなって。」
ルカくんにソファに座るように言われ少し硬いソファに腰を下ろした。
いつも座りなれてるこのソファが好きだなって改めて思った。
いつもならコウくんもいるはずなのにいないのかな?ってキョロキョロしてる私にコーヒーが入ったマグを片手に差し出してくれたルカくんは私の向かい側に座る。
「……大好きなコウは実家に泊まるって。」
「そっか珍しいね。」
ルカくんがいれてくれる飲みなれたコーヒーに少し気持ちが落ち着いた。
「オマエ、顔色悪かったけどなにかあったの?」
「えっと…あの…」
今日の出来事をしどろもどろで説明をした。
「セイちゃんのやつ、凄いね。そこまでするなんて。……俺も同じことするけど。」
最後の方は小声でよく聞き取れなかった。
「え…?」
「ううん、何でもないよ。多分ここにいてもすぐバレて連れ戻されるはずだ。」
「や、やだ!」
「連れ戻されたらパリでセイちゃんから逃げられないルート一直線だ。それも一生ね。」
ルカくんが大袈裟とも言えないことを口に出す。
実際そんな未来が私には待っている。
嫌になって半泣きになってしまう私。
「……俺も……お前に会ったからには…」
ルカくんは何かを呟き立ち上がると私の隣に座りにっこり笑い続けた。
「俺にどうしてほしい?助けてほしい?……俺ならオマエを助けられるよ。」
無言で頷く私にルカくんが「じゃあ首を傾げて手をこうしてルカくん助けてって言って?そしたら助ける。」
藁にもすがる思いで私はルカくんの指示通りにすると「可愛いから助けたげる。」と一言。
「あと、約束。俺の言うこと絶対に聞いてくれる?」
私が頼れるのはルカくんしかいない。
恐る恐る頷くと、優しく頭をなでてきた。
「大丈夫、オマエは何も考えなくていい。」
そう言うと、ルカくんは立ち上がり私の痕跡をなくすと手を取りWestBeachを出た。
ヘルメットを手渡されてバイクの後ろに乗って暫く進むと人気のない場所に止まり、少し歩くと2階建ての古い家があった。
鍵を開けて中に入る私達。
電気をつけると見た目は古めかしい家だったけれど中は綺麗だった。
「ここは?」
「WestBeachを出るから用意してたんだ。まだ修理する箇所はあるけど悪くないだろう?」
家の中はWestBeachのルカくんの部屋がそのまま移ったような雰囲気で私はすぐに好きになった。
「狭いけどシャワールームもあるんだ。2階がベットルームだから使ってね。」
「いいの?私ここにいても。」
「どちみちお前を連れてくるつもりだったし気にしないで。」
「…?ありがとう。」
「じゃあ俺一度帰るね、冷蔵庫の中のもの勝手に食べていいから。あ、絶対に外に出ないでね?わかった?」
そう言い残してルカくんは帰っていった。
疲れきっていた私は2階にあるベットルームにすぐに向かった。
二人は余裕で眠れる大きなベットに遠慮なくゴロリ転がりすぐに目を瞑った。
目を覚ますと夕方になっていた。
特にすることもなくルカくんを待っていたけど、今日は来なかった。
…
分岐
冷静になるルート
…
数日立って、目を覚ますとルカくんが私の隣で眠っていた。
優しく包んでくれるルカくんだけれど恥ずかしいのでさり気なく寝返りをしてルカくんのぬくもりから私は逃げてもう一度瞼を閉じた。
ほんのりいい香りがして目を覚まし一階へ降りるとルカくんがホットケーキを焼いてくれていた。
「おはよう。なかなか来れなくてごめんね。」
「ううん、そんなこと無いよ。忙しいのにありがとう。」
しばらく一人で過ごしていたから人恋しくなっていた。
「コウに会いたい?」
「うん、会いたいな。」
「…誰かに言ったらきっとすぐセイちゃんにもバレると思うからごめんね。」
「ううん、ルカくんがこうして来てくれるから楽しいよ。」
「本当は俺じゃなくてコウのやつのが良かったくせに」という言葉はホットケーキの焼く音で聞こえなかった。
「何か言った?」
「いや、オマエが書き置きをしていたおかげで大事にはなってないよ。」
ほっと心が落ち着いた。
「警察が動かない分セイちゃんの方で色々とオマエを探すみたいだからここから出ちゃ駄目だ。」
焼きたてのホットケーキをテーブルに運んだルカくんは、私の隣に座りこっちにおいで?と手を広げていた。
見なかったことにしてホットケーキに目を移すとチョコペンで私の名前が書かれてあるホットケーキに胸が暖かくなる。
一口サイズに切ったホットケーキを私の口元へ持ってきたルカくん。
「はい、あーん。」
「一人で食べられるよ!!」
「………ふぅーん。」
ルカくんがホットケーキを食べさせてこようとするけど恥ずかしいから自分で切って食べた。
ホットケーキを食べ終えるとルカくんはすぐに帰ってしまった。
特にやることもなくまた数日が立った。
テレビもカレンダーも時計もない部屋だから私の時間の感覚が失われていく。
ただ一人で何もしない時間しかないのが辛くて早くルカくんに会いたい気持ちが日に日に増してくる。
最初は気にならなかったけど大きなベットで一人眠るのも寂しい。
明日は来てくれるのかな。
食料がつきそうになりそうになった頃、鍵が開く音がした。
「ごめんね、色々あって来れなかったんだ。」
久しぶりにルカくんを見て涙が溢れた。
ルカくんは私を抱きしめて背中を優しく揺すってくれる。
人のぬくもりってこんなにも気持ちいいんだなって、私も抱きしめ返した。
「泣くほど寂しかった?」
「寂しかった…、もう来てくれなかったらって。」
「……そっか、久しぶりにホットケーキ焼いたげる。座ってて。」というルカくんからしばらく離れられなかったけれど、「ほらほら、いつまでも甘えないの。」と私を引き離しもってきた袋からホットケーキミックスを出すとすぐに台所へ向かった。
久しぶりに会ったのに、前のように構ってくれないから寂しくて私はホットケーキミックスを混ぜているルカくんの背中をずっと抱きしめていた。
「仕方がない、焼くときは危ないから離れてね?」
ホットケーキを焼き始めたのでテーブルの前に座りながらルカくんを眺めていた。
誰かと一緒にいられるのって幸せなんだなって。
焼き終えたルカくんがホットケーキをもったお皿とフォークとナイフを持ってきてテーブルに置いた。
「ほら、できたよ。」
「うん。ありがとう。」
以前と違いホットケーキにはチョコペンで名前が書かれていなかった。
前はチョコペンで名前を書いてくれて、食べさせようとしてきたのにルカくんは私をニコニコと見つめたまま。
なんだかもやもやしてしまう。
「ん?どうしたの?」
「なんか…ルカくん冷たいなって。」
「そう?どんなところが?」
「いつももっといっぱい構ってくれるから…。」
私は何を言ってるんだ、って思ったけれど本当の事だからいいんだもん、恥ずかしくないもん。
久しぶりに顔が熱くなる感覚が襲う。
「わかった、こっちにおいで?」
手を広げて座ってるルカくんの胸のあたりに抱きつくと頭を優しくなでてくれる。
もっとなでてほしいなって思ったけれどルカくんに「冷めちゃうから後で」と言われてしまう。
「もしかして食べさせてほしい?」
「…うん。」
食べさせてほしいわけじゃないけれど、ルカくんから離れたくなくて私は頷いた。
ルカくんは私を後ろから抱きしめながら一口大に切ったホットケーキを私の口元に運んでくれた。
「はい、あーん。」
こんな状態で食べさせられるのは恥ずかしいけれど、大人しくホットケーキを食べ終えた。
顔が熱すぎてルカくんに見られたくなくて、私の顔を覗き込もうとするルカくんの胸に再度抱きついた。
ルカくんは私の頭をなでてくれた。
何分なのか何時間なのかわからない。
「ごめんね、もう行かないと。」
「やだ。」
また一人になるのが寂しくて涙が出る。
ルカくんは私の涙を優しくすくいながら「どうしてほしい?」と聞いてきた。
「帰っちゃやだ。」
「じゃあさ、可愛くおねだりして?」というルカくんに抱きつきながら帰らないように懇願すると、「最高。」とルカくんは呟き思い切り抱きしめてくれた。
「オマエが可愛いから今日は一緒にいるよ。」
「本当?嬉しい!」
ルカくんとトランプをしたりたくさんお話をしてた。
「ねぇ、次はいつ来てくれるの?」
「うーん、………あと少しかなって感じ。」
「忙しいの?」の問にルカくんは「俺、欲張りなんだよね。」とにっこり笑うだけで私の頭はハテナで埋め尽くされた。
気がつくと眠ってしまい私は1人大きなベットで眠っていた。
1階に降りたけれどルカくんはもういなかった。
大きなベットで一人で眠るのは寂しくて一階で眠ることが多くなった。
…
また何日か立ち硬い床にも慣れた頃、一人一階の床で眠っていると優しいぬくもりが触れた。
「こんなとこで寝たら風邪ひくよ?」 とゆさゆさしてくれるルカくん。
ルカくんがやっと来てくれた。
「もしかして俺を待つためにここで寝てたの?」
恥ずかしかったので笑って誤魔化したけどきっとバレバレだ。
「ルカくん、夜ご飯もう食べた?」
「ううん、まだ食べてない。」
私はいつルカくんが来てもいいように二人分の食事を用意するのが日課になっていたので、ルカくんを座らせてすぐに二人分の食事をテーブルに運こんだ。
以前美味しいって言ってくれた卵焼きも作ってあり、ルカくんが笑顔で嬉しいって言ってくれて嬉しかった。
以前とは違う感情で卵焼きをルカくんの口元に運び、ルカくんも運んでくれて幸せいっぱいな食事だった。
それなのにルカくんはすぐに帰る支度をし始めたので、離れたくなくて抱きつく私。
「ルカくん、いつになったらこっちに引っ越してくるの?」
「………ごめん。」
「なんで謝るの?」
「俺、オマエと一緒にいるのが辛い。」
「…私のこと嫌になった?」
ルカくんに嫌われたら私はどうしたらいいのだろうか。
悲しくて涙が溢れてしまう。
「嫌いじゃない、オマエのこと小さい頃からずっとずっと好きだった。でもオマエはコウが好きなんだろ?」
「違うよ、私はルカくんと過ごしているうちルカくんのことが好きになったの。ルカくんと離れたくないよ。」
「本当?」
私は素直に頷いた。
「俺、二人きりでいるとオマエに色々したくなって我慢してるんだ。今だってそう。そのうちお前を傷つけるかもしれないことに気がついたからやっぱり離れてたほうが…」
思いがけない言葉にルカくんに思い切り抱きついた。
「やだ!ルカくんと一緒にいられるなら何されてもいいの、だから一緒にいてほしい。」
「ありがとう、オマエがそう思ってくれて嬉しい。」
そっと優しくルカくんがキスをしてくれた。
はじめてのことだけれど、幸福感に満ち足りるような感覚が私を襲った。
優しく口内を舐めるルカくんに私も同じことをして唇を舐めた。
暫くキスをして離されるとルカくんの口元にはどちらのものかわからない唾液がついていて、恥ずかしくてルカくんの胸に顔を埋めた。
その時、ルカくんはニヤリと笑っていたことに私は気がつくはずもなく。
ルカくんが耳元で「ベットに行こう」と囁やく。私も頷き、ベットルームへ。
二人で眠れる大きさのベットに二人で座るとギシリとベットが鳴る。
「オマエは何も考えなくていい。これから先、ずっと俺だけのことを思ってて。」
そう言ってルカくんが顔を近づけてきた。
私はこれからルカくんと一緒にいられる喜びを感じながら瞳を閉じた。
…
忌々しい指輪をつけっばなしだったことに気がついて外して適当なところに置いといた。
少量の荷物を持って向かう先はWestBeach。
私の心とは真逆に星は綺麗に輝いていた。
連絡してないしもう眠っていたらどうしようかと思ったけれどWestBeachの1階はまだ電気がついていた。
ノックをして声をかけるとルカくんが出迎えてくれた。
ほっとして涙が出そうだ。
「どうした…?オマエがこんな夜中に来るなんて連絡くれたら迎えに行ったのに。」
「あはは。家出させてほしいなって。」
ルカくんにソファに座るように言われ少し硬いソファに腰を下ろした。
いつも座りなれてるこのソファが好きだなって改めて思った。
いつもならコウくんもいるはずなのにいないのかな?ってキョロキョロしてる私にコーヒーが入ったマグを片手に差し出してくれたルカくんは私の向かい側に座る。
「……大好きなコウは実家に泊まるって。」
「そっか珍しいね。」
ルカくんがいれてくれる飲みなれたコーヒーに少し気持ちが落ち着いた。
「オマエ、顔色悪かったけどなにかあったの?」
「えっと…あの…」
今日の出来事をしどろもどろで説明をした。
「セイちゃんのやつ、凄いね。そこまでするなんて。……俺も同じことするけど。」
最後の方は小声でよく聞き取れなかった。
「え…?」
「ううん、何でもないよ。多分ここにいてもすぐバレて連れ戻されるはずだ。」
「や、やだ!」
「連れ戻されたらパリでセイちゃんから逃げられないルート一直線だ。それも一生ね。」
ルカくんが大袈裟とも言えないことを口に出す。
実際そんな未来が私には待っている。
嫌になって半泣きになってしまう私。
「……俺も……お前に会ったからには…」
ルカくんは何かを呟き立ち上がると私の隣に座りにっこり笑い続けた。
「俺にどうしてほしい?助けてほしい?……俺ならオマエを助けられるよ。」
無言で頷く私にルカくんが「じゃあ首を傾げて手をこうしてルカくん助けてって言って?そしたら助ける。」
藁にもすがる思いで私はルカくんの指示通りにすると「可愛いから助けたげる。」と一言。
「あと、約束。俺の言うこと絶対に聞いてくれる?」
私が頼れるのはルカくんしかいない。
恐る恐る頷くと、優しく頭をなでてきた。
「大丈夫、オマエは何も考えなくていい。」
そう言うと、ルカくんは立ち上がり私の痕跡をなくすと手を取りWestBeachを出た。
ヘルメットを手渡されてバイクの後ろに乗って暫く進むと人気のない場所に止まり、少し歩くと2階建ての古い家があった。
鍵を開けて中に入る私達。
電気をつけると見た目は古めかしい家だったけれど中は綺麗だった。
「ここは?」
「WestBeachを出るから用意してたんだ。まだ修理する箇所はあるけど悪くないだろう?」
家の中はWestBeachのルカくんの部屋がそのまま移ったような雰囲気で私はすぐに好きになった。
「狭いけどシャワールームもあるんだ。2階がベットルームだから使ってね。」
「いいの?私ここにいても。」
「どちみちお前を連れてくるつもりだったし気にしないで。」
「…?ありがとう。」
「じゃあ俺一度帰るね、冷蔵庫の中のもの勝手に食べていいから。あ、絶対に外に出ないでね?わかった?」
そう言い残してルカくんは帰っていった。
疲れきっていた私は2階にあるベットルームにすぐに向かった。
二人は余裕で眠れる大きなベットに遠慮なくゴロリ転がりすぐに目を瞑った。
目を覚ますと夕方になっていた。
特にすることもなくルカくんを待っていたけど、今日は来なかった。
…
分岐
冷静になるルート
…
数日立って、目を覚ますとルカくんが私の隣で眠っていた。
優しく包んでくれるルカくんだけれど恥ずかしいのでさり気なく寝返りをしてルカくんのぬくもりから私は逃げてもう一度瞼を閉じた。
ほんのりいい香りがして目を覚まし一階へ降りるとルカくんがホットケーキを焼いてくれていた。
「おはよう。なかなか来れなくてごめんね。」
「ううん、そんなこと無いよ。忙しいのにありがとう。」
しばらく一人で過ごしていたから人恋しくなっていた。
「コウに会いたい?」
「うん、会いたいな。」
「…誰かに言ったらきっとすぐセイちゃんにもバレると思うからごめんね。」
「ううん、ルカくんがこうして来てくれるから楽しいよ。」
「本当は俺じゃなくてコウのやつのが良かったくせに」という言葉はホットケーキの焼く音で聞こえなかった。
「何か言った?」
「いや、オマエが書き置きをしていたおかげで大事にはなってないよ。」
ほっと心が落ち着いた。
「警察が動かない分セイちゃんの方で色々とオマエを探すみたいだからここから出ちゃ駄目だ。」
焼きたてのホットケーキをテーブルに運んだルカくんは、私の隣に座りこっちにおいで?と手を広げていた。
見なかったことにしてホットケーキに目を移すとチョコペンで私の名前が書かれてあるホットケーキに胸が暖かくなる。
一口サイズに切ったホットケーキを私の口元へ持ってきたルカくん。
「はい、あーん。」
「一人で食べられるよ!!」
「………ふぅーん。」
ルカくんがホットケーキを食べさせてこようとするけど恥ずかしいから自分で切って食べた。
ホットケーキを食べ終えるとルカくんはすぐに帰ってしまった。
特にやることもなくまた数日が立った。
テレビもカレンダーも時計もない部屋だから私の時間の感覚が失われていく。
ただ一人で何もしない時間しかないのが辛くて早くルカくんに会いたい気持ちが日に日に増してくる。
最初は気にならなかったけど大きなベットで一人眠るのも寂しい。
明日は来てくれるのかな。
食料がつきそうになりそうになった頃、鍵が開く音がした。
「ごめんね、色々あって来れなかったんだ。」
久しぶりにルカくんを見て涙が溢れた。
ルカくんは私を抱きしめて背中を優しく揺すってくれる。
人のぬくもりってこんなにも気持ちいいんだなって、私も抱きしめ返した。
「泣くほど寂しかった?」
「寂しかった…、もう来てくれなかったらって。」
「……そっか、久しぶりにホットケーキ焼いたげる。座ってて。」というルカくんからしばらく離れられなかったけれど、「ほらほら、いつまでも甘えないの。」と私を引き離しもってきた袋からホットケーキミックスを出すとすぐに台所へ向かった。
久しぶりに会ったのに、前のように構ってくれないから寂しくて私はホットケーキミックスを混ぜているルカくんの背中をずっと抱きしめていた。
「仕方がない、焼くときは危ないから離れてね?」
ホットケーキを焼き始めたのでテーブルの前に座りながらルカくんを眺めていた。
誰かと一緒にいられるのって幸せなんだなって。
焼き終えたルカくんがホットケーキをもったお皿とフォークとナイフを持ってきてテーブルに置いた。
「ほら、できたよ。」
「うん。ありがとう。」
以前と違いホットケーキにはチョコペンで名前が書かれていなかった。
前はチョコペンで名前を書いてくれて、食べさせようとしてきたのにルカくんは私をニコニコと見つめたまま。
なんだかもやもやしてしまう。
「ん?どうしたの?」
「なんか…ルカくん冷たいなって。」
「そう?どんなところが?」
「いつももっといっぱい構ってくれるから…。」
私は何を言ってるんだ、って思ったけれど本当の事だからいいんだもん、恥ずかしくないもん。
久しぶりに顔が熱くなる感覚が襲う。
「わかった、こっちにおいで?」
手を広げて座ってるルカくんの胸のあたりに抱きつくと頭を優しくなでてくれる。
もっとなでてほしいなって思ったけれどルカくんに「冷めちゃうから後で」と言われてしまう。
「もしかして食べさせてほしい?」
「…うん。」
食べさせてほしいわけじゃないけれど、ルカくんから離れたくなくて私は頷いた。
ルカくんは私を後ろから抱きしめながら一口大に切ったホットケーキを私の口元に運んでくれた。
「はい、あーん。」
こんな状態で食べさせられるのは恥ずかしいけれど、大人しくホットケーキを食べ終えた。
顔が熱すぎてルカくんに見られたくなくて、私の顔を覗き込もうとするルカくんの胸に再度抱きついた。
ルカくんは私の頭をなでてくれた。
何分なのか何時間なのかわからない。
「ごめんね、もう行かないと。」
「やだ。」
また一人になるのが寂しくて涙が出る。
ルカくんは私の涙を優しくすくいながら「どうしてほしい?」と聞いてきた。
「帰っちゃやだ。」
「じゃあさ、可愛くおねだりして?」というルカくんに抱きつきながら帰らないように懇願すると、「最高。」とルカくんは呟き思い切り抱きしめてくれた。
「オマエが可愛いから今日は一緒にいるよ。」
「本当?嬉しい!」
ルカくんとトランプをしたりたくさんお話をしてた。
「ねぇ、次はいつ来てくれるの?」
「うーん、………あと少しかなって感じ。」
「忙しいの?」の問にルカくんは「俺、欲張りなんだよね。」とにっこり笑うだけで私の頭はハテナで埋め尽くされた。
気がつくと眠ってしまい私は1人大きなベットで眠っていた。
1階に降りたけれどルカくんはもういなかった。
大きなベットで一人で眠るのは寂しくて一階で眠ることが多くなった。
…
また何日か立ち硬い床にも慣れた頃、一人一階の床で眠っていると優しいぬくもりが触れた。
「こんなとこで寝たら風邪ひくよ?」 とゆさゆさしてくれるルカくん。
ルカくんがやっと来てくれた。
「もしかして俺を待つためにここで寝てたの?」
恥ずかしかったので笑って誤魔化したけどきっとバレバレだ。
「ルカくん、夜ご飯もう食べた?」
「ううん、まだ食べてない。」
私はいつルカくんが来てもいいように二人分の食事を用意するのが日課になっていたので、ルカくんを座らせてすぐに二人分の食事をテーブルに運こんだ。
以前美味しいって言ってくれた卵焼きも作ってあり、ルカくんが笑顔で嬉しいって言ってくれて嬉しかった。
以前とは違う感情で卵焼きをルカくんの口元に運び、ルカくんも運んでくれて幸せいっぱいな食事だった。
それなのにルカくんはすぐに帰る支度をし始めたので、離れたくなくて抱きつく私。
「ルカくん、いつになったらこっちに引っ越してくるの?」
「………ごめん。」
「なんで謝るの?」
「俺、オマエと一緒にいるのが辛い。」
「…私のこと嫌になった?」
ルカくんに嫌われたら私はどうしたらいいのだろうか。
悲しくて涙が溢れてしまう。
「嫌いじゃない、オマエのこと小さい頃からずっとずっと好きだった。でもオマエはコウが好きなんだろ?」
「違うよ、私はルカくんと過ごしているうちルカくんのことが好きになったの。ルカくんと離れたくないよ。」
「本当?」
私は素直に頷いた。
「俺、二人きりでいるとオマエに色々したくなって我慢してるんだ。今だってそう。そのうちお前を傷つけるかもしれないことに気がついたからやっぱり離れてたほうが…」
思いがけない言葉にルカくんに思い切り抱きついた。
「やだ!ルカくんと一緒にいられるなら何されてもいいの、だから一緒にいてほしい。」
「ありがとう、オマエがそう思ってくれて嬉しい。」
そっと優しくルカくんがキスをしてくれた。
はじめてのことだけれど、幸福感に満ち足りるような感覚が私を襲った。
優しく口内を舐めるルカくんに私も同じことをして唇を舐めた。
暫くキスをして離されるとルカくんの口元にはどちらのものかわからない唾液がついていて、恥ずかしくてルカくんの胸に顔を埋めた。
その時、ルカくんはニヤリと笑っていたことに私は気がつくはずもなく。
ルカくんが耳元で「ベットに行こう」と囁やく。私も頷き、ベットルームへ。
二人で眠れる大きさのベットに二人で座るとギシリとベットが鳴る。
「オマエは何も考えなくていい。これから先、ずっと俺だけのことを思ってて。」
そう言ってルカくんが顔を近づけてきた。
私はこれからルカくんと一緒にいられる喜びを感じながら瞳を閉じた。
…