オマエを苦しめてるのは誰?…琉夏
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1.オマエを苦しめてるのは誰?…琉夏
…
幼馴染と再開を果たしたはばたき学園。
初日からとっても素敵な出来事があったけれど、入学して早々、私は女子たちによく思われなかった。
幼なじみの琉夏くんはとってもかっこいい。
そんな彼はあっという間に女子の王子ポジションになった。
でも琉夏くんは昔と変わらずに私と接してくれていた。
そんな私と琉夏くんの関係に嫉妬したファンの女の子達に睨まれたり、少し陰口を言われたり…。
幼稚な嫉妬ごとき屁でもなかったし…。
…うん、気にしなーーい!
ちょっと憂鬱だけれどもファンの女の子はるかくん、コウくんがいる時は危害を加えないし…。
…うん、気にしなーーい!
そんなこんなでまた一日。
体育の授業が終わって教室に戻ると、
筆箱がなくなっていた。
ゲッとした顔の私に察して、隣の席の不二山くんが声をかけてきてくれた。
「なにかあったのか?」
「不二山くん、真夏のホラー。筆記用具が消えちゃった…。」
「お前、なくしたんか?ほら、貸してやるよ。
放課後までもっとけ。」
はい、不二山くん神、
「ヤマアラシありがとう!」
「さっきの取り消す、返せ。」
「うそうそ、ごめん!山神様、ありがたき幸せ!」
「誰だよお前。」
不二山くんのおかげで授業はなんとかなったけれど、そういう出来事が増えて本当に真夏のホラーになった。
不二山くんは何度も私に筆記用具を貸してくれて本当にいい隣人を持ったなって。
あまりにも多くなった筆記用具神隠し事件。
私のクラスの子はみんな優しいし、琉夏くんファンの子も敵意を出してきてないのに私が着替え終わったあと、席を外した時、このクラスの誰がが私の筆記用具を隠したのでは?と嫌なことをぐるぐる考えてしまい、突如大迫先生に当てられてもなにも答えられなくて怒られてしまった。
「美奈子、大丈夫なのかよ?」
「べ、別に大丈夫だよ、いつもありがとう。不二山くん。」
「美奈子がヤマアラシって呼ばないなんて相当だぞ。」
「えへへ。あのね、もう筆記用具いつも失くしちゃうからもってきてないんだよ私。」
「ちゃんと持ってこいよ。」
呆れた目で不二山くんが見てきた。
だっていつもなくなっちゃうんだもん!とは言えないけど。
「お前、最近元気ないみたいだし、帰りに喫茶店に付き合ってやる。」
「やったぜ!ヤマアラシ!!」
私は早速携帯を取り出して、本日アルバイトがお休みの琉夏くんへメールを打つことにした。
“今日はクラスの子と喫茶店に行くから今日は一緒に帰られない、ごめんね!”
琉夏くんはアルバイトが休みの日はいつも私と帰ろうとすするから習慣化されてるレベルに一緒にいたけど、
琉夏くんファンにこれ以上目をつけられたくなくて、内心一緒に帰れなくて嬉しい私もいた。
終礼がなって不二山くんと校門を出ようとするとルカくんがいた。
「琉夏くん、どうしたの?」
「一緒に帰ろうと思って。」
「さっき一緒に帰れないってメールしたけれど見てなかった?」
「ごめん、見てなかった。」
琉夏くんは携帯を開くとチラリ、不二山くんを見つめ、
「ふぅん、クラスの子と喫茶店って女の子じゃないんだ。俺も行きたい。」
琉夏くんから離れたかった私は「ごめん!今日は色々とあるからまた今度行こう!」と押切りなんとか逃げることができた。
喫茶店に入っても携帯がずっと震えていてディスプレイを見ると琉夏くん。
不二山くんと少し話せただけでも気分転換になったし、琉夏くんからの連絡がしつこかったので早めに切り上げた。
…
このまま不二山くんに頼ってても良くないので久しぶりに筆記を持っていったら無くならなくてホッとしていたのもつかの間。
数日後には体操服がなくなったり、教科書を隠されたりもっと酷い目にあっていた。
教科書はゴミ箱にあるパターンが多くて
それを誰かに知られるのが怖くて誰にも言えなかった。
体操着はもちろん帰ってきていないので体育はサボっていた。
正直ここまでされると真夏のホラーとかふざけていられなくて、辛かった。
でも、琉夏くん、コウくん、不二山くんにも心配かけたくなくて私は先生に「忘れてきました!」を言うこと何回目なんだろう。
「本当に大丈夫なのか?」と不二山くんに心配される私。
放課後は一人になりたくてルカくんともコウくんとも帰らずになんとなく思い出の教会に足を運んでみた。
小さい頃に琉夏くんが言っていた
心に思い描いた大切な人の元に連れて行ってくれる妖精の鍵。
まだチラホラと咲いているサクラソウを見て少し元気が湧いてきた。
帰ろうと思い振り返ると後ろに琉夏くんがいた。
「うわっびっくりした!」
「美奈子の声のほうに驚いた。」
「ふふふ、ごめん。ところでどうしたの?」
「美奈子がこっち歩いてるの見えたから、それに最近元気ないと思って心配してたんだ。」
「全然大丈夫だよ。」
「嘘だ、美奈子が嘘つくときいつもそんな顔になってる。」
図星だ。
流石天下の幼馴染。
「そういえば不二山くんが言ってたんだ、オマエ最近教科書忘れてたり体育も見学してるって、なにかあったの?」
うっ
言えるわけ無いじゃん。
「普通に失くしただけだよ、気にしないで。」
「ねぇ、オマエを苦しめてるのは誰?」
「琉夏くん!」
ビシッとポーズを決め琉夏くんを指差した。
実際はルカくん(のファンの確率…99.9%!)
なんて本人を前に言ったら大変なことになっちゃうよ。
「…、なんで?」
思いの外驚いている琉夏くんに申し訳なくなって私はすぐさま訂正した。
「なんて冗談、ぜんぜんそんなのじゃないよ!本当に大丈夫だから!」
「頑固なオマエがそこまで言うなら深く聞かない。失くしたんなら俺がなんでも貸してあげるから困ったらすぐに言って?」
「それは助かる!ありがとう!」
琉夏くんの心強い言葉で私は元気を取り戻した。
これからのお礼を先にするために、帰りは琉夏くんと喫茶店に寄って帰った。
…
それからの学校生活は快適だった。
教科書は琉夏くんのを借りるので鞄は軽いし。
流石に大きすぎる体操着に先生からはツッコミをもらったけれどなんとかなった。
体操着に名前が入ってなくて本当に良かったぁ。
体操着は琉夏くんのを借りた後は洗濯をして返そうとしても琉夏くんが自分で洗うからって洗わせてくれない。
柔軟剤の好みとかあると思って諦めた。
最近、なぜだか琉夏くんファンも怖くなくなり新しい体操着をそろそろ購入しよう、自分で教科書をもってこうと琉夏くんに話すと、「気にしないで俺がやりたいから」って言って変わらずにこんなことを続けていた。
琉夏くんって、本当に優しい。
ずっとずっと琉夏くんに甘えっぱなしだ。
ずっと側にいてくれたらいいのに。
そんな快適ライフを送ってる私に隣の席の不二山くんが声をかけてくれた。
「美奈子、最近元気そうだよな。忘れ物もないし。」
「不二山くんのおかげだよ、ありがとう。」
「?俺、筆記用具しか貸してないぞ?」
「ううん、不二山くんが琉夏くんに言ってくれなかったらこうはならなかったよ。」
不二山くんは頭に大きなはてなを浮かべながら答えた。
「俺なんも言ってねぇよ?勘違いしてるんじゃないのか?」
私の頭もはてなだよ。
「俺じゃない別の誰かに聞いたんじゃねぇか?」
あ、たしかに。
勘違いってあるよね。
携帯が震えてディスプレイを見るとルカくんからメールだ。
“喫茶店かWestBeachどっちがいい?”
…
★分岐→WestBeachに行っていたら
※次のページ
…
放課後は琉夏くんと喫茶店へ行く約束をした。
昇降口へ向かうと琉夏くんが女の子たちに、引っ張られてどこかに連れて行かれてしまった。
私は気が付かれないように後をつけた。
そろーりそろーり後をつけると空き教室。
この感じは告白だよね?
どうしよう、胸が痛い。やだな。
私はドアのガラスから意を決して覗いてみると、
教室の中で女の子にキスをしてるであろうルカくんの背中が見えた。
血の気の引く感覚。
涙が出てきたので私はその場から走って逃げた。
早く一人になって泣きたかった。
きっと家にこのまま帰ると琉夏くんも家に来ると思って私はまたあの教会にいた。
サクラソウはまだ咲いていた。
心に思い描いた大切な人の元へ導いてくれる、妖精の鍵。
小さい頃の琉夏くんを思い出してもっと悲しくて泣いてると琉夏くんが息を切らせて走ってきた。そんなのもっと泣いてしまう。
「なんで、琉夏くんここに来たの?」
「美奈子が走ってるとこ見えたから。」
私は泣いてるのをバレたくないからうつむいて頷くだけ。
でも琉夏くんにはバレバレだ。
「なんで泣いてるの?」
それは、胸が痛いから。
琉夏くんの側にもういられないって思ったら涙が出た。
言えるわけ無い。
琉夏くんが優しく抱きしめてきたからもっと涙が止まらなかった。
「さっきさ、告白されたんだ。」
ずしりと胸がもっと痛くなった。
今更琉夏くんに対して好きって気持ちを抱いてるのに気がついて後悔しかなかった。
「付き合うんでしょ?」
琉夏くんは私の涙を拭き取り、「付き合わないよ」って言うから嬉しいけれどさっきのキスが気になってしまう。
「じゃあさっきのキスは?」
「……キスしてって言われたから耳元で駄目だよって言ったところを見たんだと思うよ」
なんで私はキスをしてたって勘違いをしてたんだ。ほっとしてもっと涙が出た。
「なんでまた泣いてるの?」
「嬉しくて、涙出たみたい。言わせないでよ。」
「ね、やきもち?」
「うん。」
「俺が誰かと付き合ったらやだ?」
「やだ」
「俺の事好き?」
「うん。」
「俺も。」
俺も。って言ったときの琉夏くんの表情を見て揶揄いたかったけれど、胸に抱き寄せられていたので琉夏くんの事は見れずじまい。
「…なぁ、美奈子を苦しめてたのは誰だった…?」
いつの日か聞いた言葉。
今なら堂々と言える。
「琉夏くん。」
「え」
「琉夏くんが優しくしてくれる度に他の人のヒーローになったら嫌だって、誰かとお付き合いしたらもう一緒にいられないんだなって辛かった。だから琉夏くんが私を苦しめたんだよ。」
「あぁ、うん。それ…、俺が悪い。」
「なんて、嘘。これからはずっと琉夏くんといられるのとっても幸せだから許す。」
私の問に琉夏くんはニコニコ笑顔をしながら抱きしめてくれた。
「俺も美奈子といられるのすごく幸せ、一生離さない。」
琉夏くんの顔が近づいてきた。
私に優しい優しいキスをした。
教会の前でそんな優しいキスをされてしまったら、神様の前で誓いをしたような気がして何があっても琉夏くんから離れられないなって心の底から思った。
…
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幼馴染と再開を果たしたはばたき学園。
初日からとっても素敵な出来事があったけれど、入学して早々、私は女子たちによく思われなかった。
幼なじみの琉夏くんはとってもかっこいい。
そんな彼はあっという間に女子の王子ポジションになった。
でも琉夏くんは昔と変わらずに私と接してくれていた。
そんな私と琉夏くんの関係に嫉妬したファンの女の子達に睨まれたり、少し陰口を言われたり…。
幼稚な嫉妬ごとき屁でもなかったし…。
…うん、気にしなーーい!
ちょっと憂鬱だけれどもファンの女の子はるかくん、コウくんがいる時は危害を加えないし…。
…うん、気にしなーーい!
そんなこんなでまた一日。
体育の授業が終わって教室に戻ると、
筆箱がなくなっていた。
ゲッとした顔の私に察して、隣の席の不二山くんが声をかけてきてくれた。
「なにかあったのか?」
「不二山くん、真夏のホラー。筆記用具が消えちゃった…。」
「お前、なくしたんか?ほら、貸してやるよ。
放課後までもっとけ。」
はい、不二山くん神、
「ヤマアラシありがとう!」
「さっきの取り消す、返せ。」
「うそうそ、ごめん!山神様、ありがたき幸せ!」
「誰だよお前。」
不二山くんのおかげで授業はなんとかなったけれど、そういう出来事が増えて本当に真夏のホラーになった。
不二山くんは何度も私に筆記用具を貸してくれて本当にいい隣人を持ったなって。
あまりにも多くなった筆記用具神隠し事件。
私のクラスの子はみんな優しいし、琉夏くんファンの子も敵意を出してきてないのに私が着替え終わったあと、席を外した時、このクラスの誰がが私の筆記用具を隠したのでは?と嫌なことをぐるぐる考えてしまい、突如大迫先生に当てられてもなにも答えられなくて怒られてしまった。
「美奈子、大丈夫なのかよ?」
「べ、別に大丈夫だよ、いつもありがとう。不二山くん。」
「美奈子がヤマアラシって呼ばないなんて相当だぞ。」
「えへへ。あのね、もう筆記用具いつも失くしちゃうからもってきてないんだよ私。」
「ちゃんと持ってこいよ。」
呆れた目で不二山くんが見てきた。
だっていつもなくなっちゃうんだもん!とは言えないけど。
「お前、最近元気ないみたいだし、帰りに喫茶店に付き合ってやる。」
「やったぜ!ヤマアラシ!!」
私は早速携帯を取り出して、本日アルバイトがお休みの琉夏くんへメールを打つことにした。
“今日はクラスの子と喫茶店に行くから今日は一緒に帰られない、ごめんね!”
琉夏くんはアルバイトが休みの日はいつも私と帰ろうとすするから習慣化されてるレベルに一緒にいたけど、
琉夏くんファンにこれ以上目をつけられたくなくて、内心一緒に帰れなくて嬉しい私もいた。
終礼がなって不二山くんと校門を出ようとするとルカくんがいた。
「琉夏くん、どうしたの?」
「一緒に帰ろうと思って。」
「さっき一緒に帰れないってメールしたけれど見てなかった?」
「ごめん、見てなかった。」
琉夏くんは携帯を開くとチラリ、不二山くんを見つめ、
「ふぅん、クラスの子と喫茶店って女の子じゃないんだ。俺も行きたい。」
琉夏くんから離れたかった私は「ごめん!今日は色々とあるからまた今度行こう!」と押切りなんとか逃げることができた。
喫茶店に入っても携帯がずっと震えていてディスプレイを見ると琉夏くん。
不二山くんと少し話せただけでも気分転換になったし、琉夏くんからの連絡がしつこかったので早めに切り上げた。
…
このまま不二山くんに頼ってても良くないので久しぶりに筆記を持っていったら無くならなくてホッとしていたのもつかの間。
数日後には体操服がなくなったり、教科書を隠されたりもっと酷い目にあっていた。
教科書はゴミ箱にあるパターンが多くて
それを誰かに知られるのが怖くて誰にも言えなかった。
体操着はもちろん帰ってきていないので体育はサボっていた。
正直ここまでされると真夏のホラーとかふざけていられなくて、辛かった。
でも、琉夏くん、コウくん、不二山くんにも心配かけたくなくて私は先生に「忘れてきました!」を言うこと何回目なんだろう。
「本当に大丈夫なのか?」と不二山くんに心配される私。
放課後は一人になりたくてルカくんともコウくんとも帰らずになんとなく思い出の教会に足を運んでみた。
小さい頃に琉夏くんが言っていた
心に思い描いた大切な人の元に連れて行ってくれる妖精の鍵。
まだチラホラと咲いているサクラソウを見て少し元気が湧いてきた。
帰ろうと思い振り返ると後ろに琉夏くんがいた。
「うわっびっくりした!」
「美奈子の声のほうに驚いた。」
「ふふふ、ごめん。ところでどうしたの?」
「美奈子がこっち歩いてるの見えたから、それに最近元気ないと思って心配してたんだ。」
「全然大丈夫だよ。」
「嘘だ、美奈子が嘘つくときいつもそんな顔になってる。」
図星だ。
流石天下の幼馴染。
「そういえば不二山くんが言ってたんだ、オマエ最近教科書忘れてたり体育も見学してるって、なにかあったの?」
うっ
言えるわけ無いじゃん。
「普通に失くしただけだよ、気にしないで。」
「ねぇ、オマエを苦しめてるのは誰?」
「琉夏くん!」
ビシッとポーズを決め琉夏くんを指差した。
実際はルカくん(のファンの確率…99.9%!)
なんて本人を前に言ったら大変なことになっちゃうよ。
「…、なんで?」
思いの外驚いている琉夏くんに申し訳なくなって私はすぐさま訂正した。
「なんて冗談、ぜんぜんそんなのじゃないよ!本当に大丈夫だから!」
「頑固なオマエがそこまで言うなら深く聞かない。失くしたんなら俺がなんでも貸してあげるから困ったらすぐに言って?」
「それは助かる!ありがとう!」
琉夏くんの心強い言葉で私は元気を取り戻した。
これからのお礼を先にするために、帰りは琉夏くんと喫茶店に寄って帰った。
…
それからの学校生活は快適だった。
教科書は琉夏くんのを借りるので鞄は軽いし。
流石に大きすぎる体操着に先生からはツッコミをもらったけれどなんとかなった。
体操着に名前が入ってなくて本当に良かったぁ。
体操着は琉夏くんのを借りた後は洗濯をして返そうとしても琉夏くんが自分で洗うからって洗わせてくれない。
柔軟剤の好みとかあると思って諦めた。
最近、なぜだか琉夏くんファンも怖くなくなり新しい体操着をそろそろ購入しよう、自分で教科書をもってこうと琉夏くんに話すと、「気にしないで俺がやりたいから」って言って変わらずにこんなことを続けていた。
琉夏くんって、本当に優しい。
ずっとずっと琉夏くんに甘えっぱなしだ。
ずっと側にいてくれたらいいのに。
そんな快適ライフを送ってる私に隣の席の不二山くんが声をかけてくれた。
「美奈子、最近元気そうだよな。忘れ物もないし。」
「不二山くんのおかげだよ、ありがとう。」
「?俺、筆記用具しか貸してないぞ?」
「ううん、不二山くんが琉夏くんに言ってくれなかったらこうはならなかったよ。」
不二山くんは頭に大きなはてなを浮かべながら答えた。
「俺なんも言ってねぇよ?勘違いしてるんじゃないのか?」
私の頭もはてなだよ。
「俺じゃない別の誰かに聞いたんじゃねぇか?」
あ、たしかに。
勘違いってあるよね。
携帯が震えてディスプレイを見るとルカくんからメールだ。
“喫茶店かWestBeachどっちがいい?”
…
★分岐→WestBeachに行っていたら
※次のページ
…
放課後は琉夏くんと喫茶店へ行く約束をした。
昇降口へ向かうと琉夏くんが女の子たちに、引っ張られてどこかに連れて行かれてしまった。
私は気が付かれないように後をつけた。
そろーりそろーり後をつけると空き教室。
この感じは告白だよね?
どうしよう、胸が痛い。やだな。
私はドアのガラスから意を決して覗いてみると、
教室の中で女の子にキスをしてるであろうルカくんの背中が見えた。
血の気の引く感覚。
涙が出てきたので私はその場から走って逃げた。
早く一人になって泣きたかった。
きっと家にこのまま帰ると琉夏くんも家に来ると思って私はまたあの教会にいた。
サクラソウはまだ咲いていた。
心に思い描いた大切な人の元へ導いてくれる、妖精の鍵。
小さい頃の琉夏くんを思い出してもっと悲しくて泣いてると琉夏くんが息を切らせて走ってきた。そんなのもっと泣いてしまう。
「なんで、琉夏くんここに来たの?」
「美奈子が走ってるとこ見えたから。」
私は泣いてるのをバレたくないからうつむいて頷くだけ。
でも琉夏くんにはバレバレだ。
「なんで泣いてるの?」
それは、胸が痛いから。
琉夏くんの側にもういられないって思ったら涙が出た。
言えるわけ無い。
琉夏くんが優しく抱きしめてきたからもっと涙が止まらなかった。
「さっきさ、告白されたんだ。」
ずしりと胸がもっと痛くなった。
今更琉夏くんに対して好きって気持ちを抱いてるのに気がついて後悔しかなかった。
「付き合うんでしょ?」
琉夏くんは私の涙を拭き取り、「付き合わないよ」って言うから嬉しいけれどさっきのキスが気になってしまう。
「じゃあさっきのキスは?」
「……キスしてって言われたから耳元で駄目だよって言ったところを見たんだと思うよ」
なんで私はキスをしてたって勘違いをしてたんだ。ほっとしてもっと涙が出た。
「なんでまた泣いてるの?」
「嬉しくて、涙出たみたい。言わせないでよ。」
「ね、やきもち?」
「うん。」
「俺が誰かと付き合ったらやだ?」
「やだ」
「俺の事好き?」
「うん。」
「俺も。」
俺も。って言ったときの琉夏くんの表情を見て揶揄いたかったけれど、胸に抱き寄せられていたので琉夏くんの事は見れずじまい。
「…なぁ、美奈子を苦しめてたのは誰だった…?」
いつの日か聞いた言葉。
今なら堂々と言える。
「琉夏くん。」
「え」
「琉夏くんが優しくしてくれる度に他の人のヒーローになったら嫌だって、誰かとお付き合いしたらもう一緒にいられないんだなって辛かった。だから琉夏くんが私を苦しめたんだよ。」
「あぁ、うん。それ…、俺が悪い。」
「なんて、嘘。これからはずっと琉夏くんといられるのとっても幸せだから許す。」
私の問に琉夏くんはニコニコ笑顔をしながら抱きしめてくれた。
「俺も美奈子といられるのすごく幸せ、一生離さない。」
琉夏くんの顔が近づいてきた。
私に優しい優しいキスをした。
教会の前でそんな優しいキスをされてしまったら、神様の前で誓いをしたような気がして何があっても琉夏くんから離れられないなって心の底から思った。
…