本編
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ふふふーん」
「マヤちゃん?」
「あ、リコさん!それに誠凛サンも!」
とある夜。
部活帰りに某本屋に寄っていた誠凛バスケ部は、そこでいつも以上に楽しげな高尾マヤに出会った。
「一人?」
「いーえ、真ちゃんも一緒ですよ。今中で本選んでます」
こんな時間に女の子一人を外で待たせるなんて、と思わず眉を寄せるリコだったが、ふと目の前の少女の頭上に目が行く。
「あれ、その緑のカチューシャ、可愛いわね」
リコの目に止まったのは、黒髪に栄える緑色のカチューシャ。
彼女がエース様と称えるキセキの世代の髪色に似た明るい緑色のそれは、端に控えめなリボンがつけられている以外目立った装飾はないものの、質がよく、なかなか値を張るものであることは一目でわかった。
華美ではないが上品なそれはマヤにぴったりと合い、彼女の可愛らしさに華を添えている。
さすがセンスがいい、と続けようとして――マヤの表情が幸せに蕩けていることに気付く。
どうかしたのか、と聞くまでもなく、マヤが嬉しそうに答えてくれた。
「えへへー、これ、真ちゃんがプレゼントしてくれたんですよ!」
「「「はぁああ!?」」」
「まさかあの堅物が!?」「緑間がそんなまともなプレゼントするんだ…」「明日は雪か!?」「緑間君も隅に置けませんね」等々、本人がいないのをいいことに緑間が聞いたらぶちギレそうなことを口にしていく誠凛バスケ部。
普段ならば相棒としてフォローに回るはずのマヤも、しかし今日ばかりは気にならないのか、幸せそうに微笑む。
「はい!私昨日が誕生日だったんですけど、プレゼントだーって、これをくれたんです!」
「良かったわね、マヤちゃん」
堅物を絵に描いたような緑間が、異性に、アクセサリーをプレゼントしていたという事実が受け入れられなかったらしい男共はまだ混乱の渦中にあったが、リコはすぐにマヤの喜びを理解する。
マヤはプレゼントが気に入ったというよりも、むしろ緑間が誕生日を覚えてくれたこと、そしてそれを祝ってくれたことが何よりも嬉しかったのだろう(もちろんプレゼントも大いに気に入っているだろうが、マヤのことだ、よほどの物でない限り緑間からもらった物であれば喜ぶとリコは読んでいた)。
「とってもよく似合ってるわよ」
「へへ、ありがとうございます!」
そう言って笑うマヤはどこからどう見ても年相応の恋する乙女で、リコも頬を緩ませる。
(こういうのって、いいわねぇ)
絡んでくる火神に笑顔を返すマヤを見ながら、リコは微笑みを浮かべた。
誰に対してもはっきりと気持ちを伝えるマヤとは対象的に、緑間は自分の感情を表現することが苦手だ。
だからどうしてもマヤが一方的に想っているように見えてしまうし、事情を知るリコ達ですらそう錯覚してしまう。
誰よりも人の感情に敏感なマヤのことだから、緑間の僅かな機微も感知しているのだろうが、それでも不安になることくらいあるはずだ。
そんな中、あの緑間がこういった贈り物をしているのを見ると、二人はちゃんと繋がっているのだと安心する。
緑間も、表に出していないだけでちゃんとマヤのことを認めているのだ。
「……それにしても、あの色を選ぶ辺り、緑間君もなかなか独占欲が強そうですね」
「く、黒子君……」
いつの間にあの集団から抜け出していたのか、リコの隣に立っていた黒子が淡々と呟く。
言われてみると、確かにあの色は緑間を連想させるカラーだ。
異性への贈り物に自分を連想させる色を選んでいるということは……つまりそういうことなんだろう。
「牽制のつもり、かしら」
「高尾さんはなかなか厄介な人に好かれるみたいですからね」
リコと黒子の頭に悪童に妖怪、そして帝王という個性的な……正確にはかかわり合いにはなりたくない面子が思い浮かぶ。
「……でも私、浮気の心配はないと思うのよね」
「僕も、そう思います」
緑色のプレゼント
(高尾さん、緑間君にぞっこんですから)
(……それで諦めるようなメンバーでもないけどね)
「マヤちゃん?」
「あ、リコさん!それに誠凛サンも!」
とある夜。
部活帰りに某本屋に寄っていた誠凛バスケ部は、そこでいつも以上に楽しげな高尾マヤに出会った。
「一人?」
「いーえ、真ちゃんも一緒ですよ。今中で本選んでます」
こんな時間に女の子一人を外で待たせるなんて、と思わず眉を寄せるリコだったが、ふと目の前の少女の頭上に目が行く。
「あれ、その緑のカチューシャ、可愛いわね」
リコの目に止まったのは、黒髪に栄える緑色のカチューシャ。
彼女がエース様と称えるキセキの世代の髪色に似た明るい緑色のそれは、端に控えめなリボンがつけられている以外目立った装飾はないものの、質がよく、なかなか値を張るものであることは一目でわかった。
華美ではないが上品なそれはマヤにぴったりと合い、彼女の可愛らしさに華を添えている。
さすがセンスがいい、と続けようとして――マヤの表情が幸せに蕩けていることに気付く。
どうかしたのか、と聞くまでもなく、マヤが嬉しそうに答えてくれた。
「えへへー、これ、真ちゃんがプレゼントしてくれたんですよ!」
「「「はぁああ!?」」」
「まさかあの堅物が!?」「緑間がそんなまともなプレゼントするんだ…」「明日は雪か!?」「緑間君も隅に置けませんね」等々、本人がいないのをいいことに緑間が聞いたらぶちギレそうなことを口にしていく誠凛バスケ部。
普段ならば相棒としてフォローに回るはずのマヤも、しかし今日ばかりは気にならないのか、幸せそうに微笑む。
「はい!私昨日が誕生日だったんですけど、プレゼントだーって、これをくれたんです!」
「良かったわね、マヤちゃん」
堅物を絵に描いたような緑間が、異性に、アクセサリーをプレゼントしていたという事実が受け入れられなかったらしい男共はまだ混乱の渦中にあったが、リコはすぐにマヤの喜びを理解する。
マヤはプレゼントが気に入ったというよりも、むしろ緑間が誕生日を覚えてくれたこと、そしてそれを祝ってくれたことが何よりも嬉しかったのだろう(もちろんプレゼントも大いに気に入っているだろうが、マヤのことだ、よほどの物でない限り緑間からもらった物であれば喜ぶとリコは読んでいた)。
「とってもよく似合ってるわよ」
「へへ、ありがとうございます!」
そう言って笑うマヤはどこからどう見ても年相応の恋する乙女で、リコも頬を緩ませる。
(こういうのって、いいわねぇ)
絡んでくる火神に笑顔を返すマヤを見ながら、リコは微笑みを浮かべた。
誰に対してもはっきりと気持ちを伝えるマヤとは対象的に、緑間は自分の感情を表現することが苦手だ。
だからどうしてもマヤが一方的に想っているように見えてしまうし、事情を知るリコ達ですらそう錯覚してしまう。
誰よりも人の感情に敏感なマヤのことだから、緑間の僅かな機微も感知しているのだろうが、それでも不安になることくらいあるはずだ。
そんな中、あの緑間がこういった贈り物をしているのを見ると、二人はちゃんと繋がっているのだと安心する。
緑間も、表に出していないだけでちゃんとマヤのことを認めているのだ。
「……それにしても、あの色を選ぶ辺り、緑間君もなかなか独占欲が強そうですね」
「く、黒子君……」
いつの間にあの集団から抜け出していたのか、リコの隣に立っていた黒子が淡々と呟く。
言われてみると、確かにあの色は緑間を連想させるカラーだ。
異性への贈り物に自分を連想させる色を選んでいるということは……つまりそういうことなんだろう。
「牽制のつもり、かしら」
「高尾さんはなかなか厄介な人に好かれるみたいですからね」
リコと黒子の頭に悪童に妖怪、そして帝王という個性的な……正確にはかかわり合いにはなりたくない面子が思い浮かぶ。
「……でも私、浮気の心配はないと思うのよね」
「僕も、そう思います」
緑色のプレゼント
(高尾さん、緑間君にぞっこんですから)
(……それで諦めるようなメンバーでもないけどね)
5/5ページ