心臓に薬指(渡辺航平・河村拓哉)
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「実は俺、彼女できました!」
11月28日。
大好きな彼の誕生日。
オフィスでみんなに祝ってもらって
ソファの真ん中に座る彼の周りには持ちきれないほどのプレゼント。
ほろ酔い気分で楽しそうな彼はお高いワインを抱えたまま高らかに声を上げた。
「おー!ついにかー!」
須貝さんに肩をバシバシと叩かれ「いたっ!」と言いながら嬉しそう。
頭真っ白。
だって好きな人がいるなんて、一言も言ってなかったじゃん。
なにその顔。
「よ、よかったじゃん!なぁにいつできたのよー!
一言も言ってくれないで!この野郎!」
須貝さんの隣に並んで肩を小突く。
「写真ないの?写真!」
「あ、俺も見たい!」
勿体ぶりながらスマートフォンの画面を開いて
一枚の画像を見せてくれる。
大きな目が可愛い、ショートボブの女の子だった。
なによ、ロングヘアが好きなんじゃないの。
私、ここ1年延ばしてきたんだけど。
胸元まで伸びた髪が視界に入る。
「実はもうお揃いの指輪買っちゃいました!」
ポケットからシルバーのリングを取り出す。
「お揃い?お揃いなの?やだぁ、もー!」
全く笑えないのに顔は一生懸命わらってる。
酔いがどんどん冷めていく。
「ちょっとお手洗い!」
執務室を出て撮影部屋に。
暗い部屋の扉を閉めて膝を抱える。
いつからその子のこと好きだったんだろう。
私、一応アピールしてたんだけど。
小さく息を吐くと静かに扉が開く。
「河村さん、」
「何してるんですか。こんなところで。」
「…別に、何も。」
顔を背けると、扉が閉まってまた部屋は真っ暗になる。
「そんな顔するくらいなら、
もっと早く告白なりなんなりしていればよかったのでは?」
「…知ってたんですか。」
「それはもう、わかりやすかったですから。」
「…今更、もう遅いです。」
「僕は、あなたの長い髪好きですけどね。」
「慰めてるんですか。」
「いいえ、付け入ろうとしています。」
声の方を向くも真っ暗で当然顔は見えない。
なのに彼の手はすべて見えているかのように私の髪を撫でてくる。
「抜け出しませんか。二人で。」
彼に手を引かれて静かに玄関を出る。
扉が閉まると中の騒がしい声は少しも聞こえない。
寒い夜を手をつないで歩いて、向かった先はネオン輝くラブホテル。
「そんな顔しないでください。」
上から見下ろす河村さんは困った顔をする。
「今なら後戻りできますけど。」
メガネを外して首をかしげる。
「…いいです。
慰めてください。」
首に腕を回して引き寄せると、
パーマのかかった髪の毛が頬をくすぐる。
「そんな可愛い顔して、
いけませんね。」
細くて白い指が私の指を絡めとる。
首に鎖骨にキスをして
シーツに広がる髪をしきりに撫でてくる。
「本当に愛おしい。」
恥ずかしげもなく囁いてくる。
優しくされても、
思い出されるのは嬉しそうな航平の顔で、
思い出したくないと首を振っても目をつぶっても見えてくる。
「…泣いてる顔も可愛いと言ったら怒ります?」
「…いいえ。」
「そうですか。」
「河村さん、」
「なんでしょう。」
「…思い浮かべられないくらい、抱いてください。」
「…いいんですか?」
「あなたの事しか考えられないようにしてください。」
「…わかりました。」
首に肩に甘嚙みをされて、鏡を見なくてもわかるくらいに痕が付けられる。
後ろから揺さぶられて抱きしめられて、耳にキスをされて。
頭を優しくなでられて「可愛いですね」なんて数えきれないほど吐いてくるのに、
「こぉへぇ…、」
どうしても忘れられなかった。
お互い体力が尽きるまで行為を続けたけが、
結局1ミリも忘れることはできなかった。
「…いつまで泣いてるんです。」
シーツにくるまって未だに鼻をすする
シーツの上から頭を撫でられ少しだけ顔を出すと、
お風呂に入ったのか濡れた髪をタオルで拭く河村さんが目に入る。
「だって…好きな子いるなんて、一言も…
わ、私…結構アピールしてたんだけど…」
「もう少し一緒に居たいところですが、
出勤時間ですよ。」
「…え?」
勢い良く起きて時計を見るともう8:00を過ぎたところ。
このホテル、遮光カーテンだったのか。
部屋がいつまでも暗いから夜中だとばかり。
「ど、どうしよう…着替え…。」
「そんなものありません。
早くシャワー浴びて化粧してください。」
ベッドから引きずり出されてシャワールームに投げ込まれる。
急いでシャワーを浴びて、準備をして、なんとかギリギリオフィスに間に合った。
ドアを開けると丁度伊沢さんが出勤したところだった。
「あ、おはようございます。」
「おー…、?…、美緒!ちょっとこっちに来なさい!」
「へ?」
靴を脱ぎ捨てて奥の部屋に連れていかれる。
「な、なんですか…?」
「…今朝、鏡は確認してきた?」
「え、いや…。」
「社内恋愛は自由でいいけど…さすがに。」
スマホのカメラを渡されて確認する。
「うげ、」
想像以上の痕。
急いでてシャワーのときは気づかなかった。
「とにかく、一回家に帰って着替えてきなさい。」
「はぁい…。」
「おはよーございます、」
なんとタイミングの悪い。
眠そうな目で小さな寝癖をつけて現れたのは航平だった。
「あり?珍しいですね、この組み合わせ。」
「え…あ、そうね。うん、じゃぁ。」
私と河村さんを交互に見て首をかしげる。
俯いて手で首元を隠して横切る。
すると何かに気づいたように振り向くと、
私の鞄を持った手を引っ張った。
「な、なに?私、家に忘れ物したから戻らなきゃ、」
「…いや、何でもないです。気を付けて、」
「うん、?」
*Fin*
11月28日。
大好きな彼の誕生日。
オフィスでみんなに祝ってもらって
ソファの真ん中に座る彼の周りには持ちきれないほどのプレゼント。
ほろ酔い気分で楽しそうな彼はお高いワインを抱えたまま高らかに声を上げた。
「おー!ついにかー!」
須貝さんに肩をバシバシと叩かれ「いたっ!」と言いながら嬉しそう。
頭真っ白。
だって好きな人がいるなんて、一言も言ってなかったじゃん。
なにその顔。
「よ、よかったじゃん!なぁにいつできたのよー!
一言も言ってくれないで!この野郎!」
須貝さんの隣に並んで肩を小突く。
「写真ないの?写真!」
「あ、俺も見たい!」
勿体ぶりながらスマートフォンの画面を開いて
一枚の画像を見せてくれる。
大きな目が可愛い、ショートボブの女の子だった。
なによ、ロングヘアが好きなんじゃないの。
私、ここ1年延ばしてきたんだけど。
胸元まで伸びた髪が視界に入る。
「実はもうお揃いの指輪買っちゃいました!」
ポケットからシルバーのリングを取り出す。
「お揃い?お揃いなの?やだぁ、もー!」
全く笑えないのに顔は一生懸命わらってる。
酔いがどんどん冷めていく。
「ちょっとお手洗い!」
執務室を出て撮影部屋に。
暗い部屋の扉を閉めて膝を抱える。
いつからその子のこと好きだったんだろう。
私、一応アピールしてたんだけど。
小さく息を吐くと静かに扉が開く。
「河村さん、」
「何してるんですか。こんなところで。」
「…別に、何も。」
顔を背けると、扉が閉まってまた部屋は真っ暗になる。
「そんな顔するくらいなら、
もっと早く告白なりなんなりしていればよかったのでは?」
「…知ってたんですか。」
「それはもう、わかりやすかったですから。」
「…今更、もう遅いです。」
「僕は、あなたの長い髪好きですけどね。」
「慰めてるんですか。」
「いいえ、付け入ろうとしています。」
声の方を向くも真っ暗で当然顔は見えない。
なのに彼の手はすべて見えているかのように私の髪を撫でてくる。
「抜け出しませんか。二人で。」
彼に手を引かれて静かに玄関を出る。
扉が閉まると中の騒がしい声は少しも聞こえない。
寒い夜を手をつないで歩いて、向かった先はネオン輝くラブホテル。
「そんな顔しないでください。」
上から見下ろす河村さんは困った顔をする。
「今なら後戻りできますけど。」
メガネを外して首をかしげる。
「…いいです。
慰めてください。」
首に腕を回して引き寄せると、
パーマのかかった髪の毛が頬をくすぐる。
「そんな可愛い顔して、
いけませんね。」
細くて白い指が私の指を絡めとる。
首に鎖骨にキスをして
シーツに広がる髪をしきりに撫でてくる。
「本当に愛おしい。」
恥ずかしげもなく囁いてくる。
優しくされても、
思い出されるのは嬉しそうな航平の顔で、
思い出したくないと首を振っても目をつぶっても見えてくる。
「…泣いてる顔も可愛いと言ったら怒ります?」
「…いいえ。」
「そうですか。」
「河村さん、」
「なんでしょう。」
「…思い浮かべられないくらい、抱いてください。」
「…いいんですか?」
「あなたの事しか考えられないようにしてください。」
「…わかりました。」
首に肩に甘嚙みをされて、鏡を見なくてもわかるくらいに痕が付けられる。
後ろから揺さぶられて抱きしめられて、耳にキスをされて。
頭を優しくなでられて「可愛いですね」なんて数えきれないほど吐いてくるのに、
「こぉへぇ…、」
どうしても忘れられなかった。
お互い体力が尽きるまで行為を続けたけが、
結局1ミリも忘れることはできなかった。
「…いつまで泣いてるんです。」
シーツにくるまって未だに鼻をすする
シーツの上から頭を撫でられ少しだけ顔を出すと、
お風呂に入ったのか濡れた髪をタオルで拭く河村さんが目に入る。
「だって…好きな子いるなんて、一言も…
わ、私…結構アピールしてたんだけど…」
「もう少し一緒に居たいところですが、
出勤時間ですよ。」
「…え?」
勢い良く起きて時計を見るともう8:00を過ぎたところ。
このホテル、遮光カーテンだったのか。
部屋がいつまでも暗いから夜中だとばかり。
「ど、どうしよう…着替え…。」
「そんなものありません。
早くシャワー浴びて化粧してください。」
ベッドから引きずり出されてシャワールームに投げ込まれる。
急いでシャワーを浴びて、準備をして、なんとかギリギリオフィスに間に合った。
ドアを開けると丁度伊沢さんが出勤したところだった。
「あ、おはようございます。」
「おー…、?…、美緒!ちょっとこっちに来なさい!」
「へ?」
靴を脱ぎ捨てて奥の部屋に連れていかれる。
「な、なんですか…?」
「…今朝、鏡は確認してきた?」
「え、いや…。」
「社内恋愛は自由でいいけど…さすがに。」
スマホのカメラを渡されて確認する。
「うげ、」
想像以上の痕。
急いでてシャワーのときは気づかなかった。
「とにかく、一回家に帰って着替えてきなさい。」
「はぁい…。」
「おはよーございます、」
なんとタイミングの悪い。
眠そうな目で小さな寝癖をつけて現れたのは航平だった。
「あり?珍しいですね、この組み合わせ。」
「え…あ、そうね。うん、じゃぁ。」
私と河村さんを交互に見て首をかしげる。
俯いて手で首元を隠して横切る。
すると何かに気づいたように振り向くと、
私の鞄を持った手を引っ張った。
「な、なに?私、家に忘れ物したから戻らなきゃ、」
「…いや、何でもないです。気を付けて、」
「うん、?」
*Fin*
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