相澤先生誕生日まとめ
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11月8日という日は今の私にとってほんのりと特別な日であった。
それもそうだ、いつもお世話になっている師匠兼、担任兼、ヒーローの誕生日なんだから。
「ああ、本当にもう!仕事関係の贈り物だったらとりあえずよろしくお願いしますの手紙と寅の羊羹送っておけばいいのに…!
誕生日のプレゼントって何を送ったらいいんだ!」
まぁ私は羊羹嫌いだけど。
とりあえず明日誕生日なので、それを伏せた上で、急いで外出許可取って外に出た。
十一月は日の傾きも早くなりつつあり、授業終わった直後の空はもう薄暗くなっていた。
「うう、夕方になるとやっぱちょっと寒いや…」
私だって祝いたい気持ちはあるよ。けれど、プレゼント、プレゼント。
何をあげたらいいのか本当にわからない。
しかも今は教師と生徒の間柄だからこう、程よく距離感というものが必要だと思うんだよ。
特に今の私にとってはさ、もうさ。あんまり気合の入れたものをあげようとしちゃダメ、絶対に。
いつぞやの誕生日には猫のボールペンをあげたからそれくらいで本当にいいんだよ私。
「あ、コンビニ」
煌々と光る店内の白い天井を外から眺めて、なんとなく入る。
そういえば肉まん、よく二人で修行してた時個性の関係で空腹だと騒いでたら買ってくれたことあったっけ。
たまに私が「いつもお世話になってるから私に買わせてください!」って言って味が違うやつ二つ買って来たら「お前どっちも食べたくて買ったろ」って呆れながら言われたっけ。
消さん優しいから半分ずつ交換してくれたんだよなぁ…。
「…今思えば昔の私の方がめちゃくちゃ消さんの距離近いじゃん」
チクショウ…ってちょっと思ってしまった…。
くっ、この恋心を自覚してしまったのはもう仕方ない。諦めて消さんの捕縛術並みにギチギチに縛り上げて冷静になるしかないんだ…。
「ハッ、昔のこと思い出してる場合じゃない!私は!プレゼントをだね!」
ブンブンと頭を思い切り振る勢いで辺りを見渡す。
待って。私コンビニで見つけようとしてる?誕生日プレゼントを?コンビニで?
けど、私はこれ以上ないものを見つけてしまった気がした。
目があったのだ。いや、ソレは無機物だから合うわけないけど、見た瞬間雷を打たれたような感じがした。
ちょっとばかし安いかもしれないけれど、今の私はこのくらいのものでいいんだ。渡しやすそうだし。
「こ、このくらいが私たちの距離感よね、…ね?」
誰に聞いてるのかも不明なまま独り言を言い、そして私はそのブツを買っていった。ついでに思い出に浸っていた肉まんも。
ソレは肉まんより安いのはまぁ、ご愛嬌、ご愛嬌。
だって悩みすぎてカロリーを消費してしまったんだから。
「むぐ…うま…っ、ふぅ、今日の晩ご飯はなんだろうなぁ…。
カレーか和食…秋刀魚がいいなぁ…。豚汁も飲みたいなぁ…」
明日は消さんの誕生日。
正直こんなことでも考えすぎちゃうのか…やっぱり恋って厄介で面倒で常に綱渡りしてる感じでしんどいなぁ…。
まぁ、とにかくこれっていうのは決まったわけだし、おそらくあっちは可もなく不可もなくな感じな反応をして…って感じになるでしょう。多分。
そして私は寮へと帰っていった。
ものすごく軽いコンビニ袋を片手に。
「あ、せめてメッセージ書いておくか。」
誕生日だしメッセージがないのはちょっと寂しいよね。
寮に戻った私は油性ペンをもってグリグリとメッセージを書いてあげた。私は優しい人間だから猫も描いてやろ。
「私も自分の分買えばよかった」
手に持ったブルーベリーシガレットのお菓子からは、ほんのりといい香りが漂っていた。
「(一番最初におめでとうって言えたらいいな)」
明日を楽しみにしながら、私は眠りについた。
おしまい。