艦のかえりみち短編まとめ
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※前書き※
連載とは多分関係ない…かもしれないしあるかもしれない。
お互いがお互いのことを好きって自覚してる。
付き合ってるんだか付き合ってないんだか。
時系列で可能なのは寮になる前くらいなのかもとぼんやりぼんやり。(※本編ではリメイクされております。)
では、どうぞ。
暑い。今日も暑い。
なんだってこっちはこんなにも暑いんだ。
ああ、海にでも行ってバシャバシャ水浴びて遊びたいわ。
「あれ?澪?!うっそ久しぶり!中学生っきりじゃない!?」
「ん?あー…中学の時以来だね」
…名前なんだっけ。ごめん貴方のことまったく覚えてないわ…なにせ最近雄英での出来事が濃すぎてね…!
いいんだか悪いんだか!
「ねえねえ、ここで会ったのも何かの縁だし、久しぶりだし遊ぼうよ!
この日にお祭りあるんだけどこれない?同じクラスだった子も集まるよ!ね?」
うーん。おそらく数合わせ…。というのがとてもわかりやすい。
まぁ、でもいいのか…?なんて思考になってくる。
お祭りなんて雄英に通ってる間は何回も行けるわけないので、ここらで一度行って納めておくのも手かもしれない。
…納めるのか?
「うーん…、じゃあ行こっかな」
「やったー!あっ男の子も来るんだけど、私とちょくちょく話してた人いるでしょう?
今ね、その人とちょっとイケるかもってなっててね?もしかしたら…」
「あー、うん、うん。大丈夫。気にしないよ。他の人と楽しくやるから」
「ありがと〜。助かるー!」
ううん、いや本当に行ってよかったんだろうか?
まぁ、いいか。誰もいないよりは。ソロで祭りに行くよりはマシ。
そう思いたい。
――当日。
思わせて欲しかったよね!?!?
ちょっと回収するの早すぎない!?
いや、もう笑ってやってよ!
まず私含めて7人集まったんですよ。
そしたら最初の友達と男の子がいなくなって5人になり、3人になり。
その2人もなんだか二人きりになりたそうにしていて。
結局私が「しばらく買い物して色々食べて来るから二人だけで色々回って来なよ。そして花火も見ておいで」って背中押してバイバイしました!何でさ!男!そこお前頑張れよ!!!
最後の二人はまぁ遠慮しててこっちに対してギリギリ優しかったかな!?って思いたかったけどあれは単にウブなだけだったし。
まぁーいいんだけどね!子供ってなんであんな純情で可愛い生き物なのかしら!悲しくなんかないさ!くそ!
「…一人で来るよりキツかった……めっちゃ後悔」
まーいいんだけど!大人だったらこのままビール飲みに行ってるよ!!!
「…お腹すいた」
喋ってばかりで全然ご飯系食べなかったからな。花火まで時間あるからたくさん食べよ。
***
「ふう、食べた食べた。」
私はあの後たこ焼きやら何やらを食べて随分お腹いっぱいになり、ラムネとりんご飴を購入して、ラムネを飲みながら人気のない神社の敷地内にある椅子に座って花火を見ることにした。
「こっわ」
神社ってこんな恐かったっけ?え?お化けでたりしないよね?
私ちょっとそういうの無理なんですが?え?
でも…まぁ…人が多いところよりはゆっくりまったりできるからいいか…。
そう思っているとぬぅっと茂みから黒い何かが現れた。
「あああっ!?!」
「誰かいるのか」
本当にお化けが出てきたかと思って大きい声で驚いてしまっていたら、出てきたのはなんと消さんだった。
消さんはいつもの気だるげな眼が少し開いて目を丸くさせている。
これは恋ではないドキドキに胸を押さえて見ていると、だんだん落ち着いてきて、余計なことまで考え始めた。
…ちょっとかわ………なんて思ってない思ってない思ってない!
くそぉっやめろ私!最近マジで消さんに対してフィルター掛かってる!ああっ
「澪?」
「…あ?あ、消…さん?」
スッと私はああ、なんだ消さんかーなんて態度をしてここを切り抜けてやった。ああビビった。
というか草陰からでてくるのもそうだしいつもの格好がもう真っ黒で夜に溶け込んでるから本当にビビる。
「艦」
「名前でいいよ。誰もいないし呼びづらいでしょ」
というかさっき名前で呼んでたでしょ、と言いながら近くのベンチに座ってポンポンと隣を叩くと大人しく消さんは座ってくれた。
おお、素直に座ったの珍しい。明日は槍かな、なんて思ってたら思考がバレてるらしくて「何余計な事考えてるんだ」って頭を鷲掴みされて痛かった。
あの!ミシミシ言ってるから!ねぇ!
「…今日はクラスの連中ときたのか」
「いててて…ううん、中学の時の友達だと思う人と7人で行ってたんだけど、私以外の6人がいい感じになっていきまして」
「置いてけぼり食らったのか」
全くもってその通りだし心が痛いね!!
ちょっと…、口元悪い笑みになってますよ消さん。なんでそんな愉悦感じてるの。怖いよ。
ほんとこの人は私がこんな目にあっても何一つ慰めてくれないんだから。
「はぁ〜…ま、だから一人でご飯食べてデザートにラムネやりんご飴食べながら花火見ようかなって。
雄英に通ってる間に花火なんてそう何回も見に行けないし。消さんは?」
「見回りだ」
「そっか。あ、じゃあ引き止めちゃだめだったね。ごめん」
「いいよ。ずっと見回ってるし。今日は特に変な動きもなかった」
「それならよかった。」
飲み終わったラムネを見て横に置き、かさかさとりんご飴の袋を取って飴の平べったいところを舐め始めると、やけにこの空間が静かだな、と感じた。
「最近のりんご飴は小さいのもあっていいね。ちょうどいい」
「そうか」
「一口いる?」
「いらない」
「ですよね」
うーん、消さんに対する気持ちを自覚したせいか、こういう場面ってなんか落ち着かない。
なんとなく顔が暑い。
「…珍しく浴衣なんだな」
「え?あ、う…うん。折角だから着ていけって母さんが」
どう?似合う?なんて言ってみると消さんはこちらをジッと見ていた。
どうせアホな弟子がまたアホなことを言っているって思ってん…
「似合ってる」
「でしょー…!?」
に、似合ってる?!
今そう言ったの!?この人が!?!
「え?!やっぱ明日本当に槍でも降るのでは!?」
「何だって?」
「いひゃ、いひゃいいひゃい!」
「ふん、もう飴食って黙ってろ」
「言われなくても食べるけど痛いよ…」
頰をさすって痛みが引いてから再び食べ始めて花火まだかなと上を向いていると、澪、と消さんに呼ばれた。
なかなか溶けない飴を舐めながらそちらを見ると、顔が近かった。
「…!」
んぶ、と飴を唇に押し付けられる感覚。
でもそれは手によるものではなく、飴越しの消さんによるものだった。
舐めている様子は、ない。
突然のことで全くそういう気配を察知していなかった私は驚きの方が大きくてつい消さんの一連の動作をガン見してしまった。
でもそれを分かっていたかのように、消さんも私をガン見しながら私の口に飴を押し付けていたし、更に言うと逃げないように片手で頭を抑えられていた。
…時間はほんの数秒。やけに耳につく祭囃子と楽しそうな声。
消さんはゆっくりと私から離れていった。
「…本当はこんなもの越しじゃない方がいいがな」
「しょ、消…さ」
ボソ、と小さく聞こえた声。
な、なに…今の。
どういう、こと?
色々言いたいことがある気がしたけど頭真っ白だ。
消さんは立ち上がってからこちらを見てきた。
このやろう。平然とした顔して…!くそぉおっ…!
「さ。俺は戻る。お前は?」
「…かえ…る」
「花火はいいのか?」
「う、うるさいよ!こんなんなっちゃったんだもん!花火どころじゃないやい!帰るよバ…ッ」
バカ、と言おうとした時、ドンッと大きく破裂する音が空に響いた。
消さん越しに見えた花火。とても綺麗だ。
そして花火の光で見えた消さんの顔。
「………も、ホントばか…」
何でそんな優しい顔してるの。
「…途中まででいいから送ってよ、消さん」
「ああ」
手の甲を上にして消さんの方に差し出すと、すんなりと彼は私を立たせてくれた。
それから私たちは人気のない道の間だけ、手を繋いで帰った。
ほどなく祭り会場の出入り口に着き、消さんと別れた後、私は一人「忘れられそうにない夏になってしまったなぁ」とぼんやり思いながら、残りのりんご飴をかじった。
連載とは多分関係ない…かもしれないしあるかもしれない。
お互いがお互いのことを好きって自覚してる。
付き合ってるんだか付き合ってないんだか。
時系列で可能なのは寮になる前くらいなのかもとぼんやりぼんやり。(※本編ではリメイクされております。)
では、どうぞ。
暑い。今日も暑い。
なんだってこっちはこんなにも暑いんだ。
ああ、海にでも行ってバシャバシャ水浴びて遊びたいわ。
「あれ?澪?!うっそ久しぶり!中学生っきりじゃない!?」
「ん?あー…中学の時以来だね」
…名前なんだっけ。ごめん貴方のことまったく覚えてないわ…なにせ最近雄英での出来事が濃すぎてね…!
いいんだか悪いんだか!
「ねえねえ、ここで会ったのも何かの縁だし、久しぶりだし遊ぼうよ!
この日にお祭りあるんだけどこれない?同じクラスだった子も集まるよ!ね?」
うーん。おそらく数合わせ…。というのがとてもわかりやすい。
まぁ、でもいいのか…?なんて思考になってくる。
お祭りなんて雄英に通ってる間は何回も行けるわけないので、ここらで一度行って納めておくのも手かもしれない。
…納めるのか?
「うーん…、じゃあ行こっかな」
「やったー!あっ男の子も来るんだけど、私とちょくちょく話してた人いるでしょう?
今ね、その人とちょっとイケるかもってなっててね?もしかしたら…」
「あー、うん、うん。大丈夫。気にしないよ。他の人と楽しくやるから」
「ありがと〜。助かるー!」
ううん、いや本当に行ってよかったんだろうか?
まぁ、いいか。誰もいないよりは。ソロで祭りに行くよりはマシ。
そう思いたい。
――当日。
思わせて欲しかったよね!?!?
ちょっと回収するの早すぎない!?
いや、もう笑ってやってよ!
まず私含めて7人集まったんですよ。
そしたら最初の友達と男の子がいなくなって5人になり、3人になり。
その2人もなんだか二人きりになりたそうにしていて。
結局私が「しばらく買い物して色々食べて来るから二人だけで色々回って来なよ。そして花火も見ておいで」って背中押してバイバイしました!何でさ!男!そこお前頑張れよ!!!
最後の二人はまぁ遠慮しててこっちに対してギリギリ優しかったかな!?って思いたかったけどあれは単にウブなだけだったし。
まぁーいいんだけどね!子供ってなんであんな純情で可愛い生き物なのかしら!悲しくなんかないさ!くそ!
「…一人で来るよりキツかった……めっちゃ後悔」
まーいいんだけど!大人だったらこのままビール飲みに行ってるよ!!!
「…お腹すいた」
喋ってばかりで全然ご飯系食べなかったからな。花火まで時間あるからたくさん食べよ。
***
「ふう、食べた食べた。」
私はあの後たこ焼きやら何やらを食べて随分お腹いっぱいになり、ラムネとりんご飴を購入して、ラムネを飲みながら人気のない神社の敷地内にある椅子に座って花火を見ることにした。
「こっわ」
神社ってこんな恐かったっけ?え?お化けでたりしないよね?
私ちょっとそういうの無理なんですが?え?
でも…まぁ…人が多いところよりはゆっくりまったりできるからいいか…。
そう思っているとぬぅっと茂みから黒い何かが現れた。
「あああっ!?!」
「誰かいるのか」
本当にお化けが出てきたかと思って大きい声で驚いてしまっていたら、出てきたのはなんと消さんだった。
消さんはいつもの気だるげな眼が少し開いて目を丸くさせている。
これは恋ではないドキドキに胸を押さえて見ていると、だんだん落ち着いてきて、余計なことまで考え始めた。
…ちょっとかわ………なんて思ってない思ってない思ってない!
くそぉっやめろ私!最近マジで消さんに対してフィルター掛かってる!ああっ
「澪?」
「…あ?あ、消…さん?」
スッと私はああ、なんだ消さんかーなんて態度をしてここを切り抜けてやった。ああビビった。
というか草陰からでてくるのもそうだしいつもの格好がもう真っ黒で夜に溶け込んでるから本当にビビる。
「艦」
「名前でいいよ。誰もいないし呼びづらいでしょ」
というかさっき名前で呼んでたでしょ、と言いながら近くのベンチに座ってポンポンと隣を叩くと大人しく消さんは座ってくれた。
おお、素直に座ったの珍しい。明日は槍かな、なんて思ってたら思考がバレてるらしくて「何余計な事考えてるんだ」って頭を鷲掴みされて痛かった。
あの!ミシミシ言ってるから!ねぇ!
「…今日はクラスの連中ときたのか」
「いててて…ううん、中学の時の友達だと思う人と7人で行ってたんだけど、私以外の6人がいい感じになっていきまして」
「置いてけぼり食らったのか」
全くもってその通りだし心が痛いね!!
ちょっと…、口元悪い笑みになってますよ消さん。なんでそんな愉悦感じてるの。怖いよ。
ほんとこの人は私がこんな目にあっても何一つ慰めてくれないんだから。
「はぁ〜…ま、だから一人でご飯食べてデザートにラムネやりんご飴食べながら花火見ようかなって。
雄英に通ってる間に花火なんてそう何回も見に行けないし。消さんは?」
「見回りだ」
「そっか。あ、じゃあ引き止めちゃだめだったね。ごめん」
「いいよ。ずっと見回ってるし。今日は特に変な動きもなかった」
「それならよかった。」
飲み終わったラムネを見て横に置き、かさかさとりんご飴の袋を取って飴の平べったいところを舐め始めると、やけにこの空間が静かだな、と感じた。
「最近のりんご飴は小さいのもあっていいね。ちょうどいい」
「そうか」
「一口いる?」
「いらない」
「ですよね」
うーん、消さんに対する気持ちを自覚したせいか、こういう場面ってなんか落ち着かない。
なんとなく顔が暑い。
「…珍しく浴衣なんだな」
「え?あ、う…うん。折角だから着ていけって母さんが」
どう?似合う?なんて言ってみると消さんはこちらをジッと見ていた。
どうせアホな弟子がまたアホなことを言っているって思ってん…
「似合ってる」
「でしょー…!?」
に、似合ってる?!
今そう言ったの!?この人が!?!
「え?!やっぱ明日本当に槍でも降るのでは!?」
「何だって?」
「いひゃ、いひゃいいひゃい!」
「ふん、もう飴食って黙ってろ」
「言われなくても食べるけど痛いよ…」
頰をさすって痛みが引いてから再び食べ始めて花火まだかなと上を向いていると、澪、と消さんに呼ばれた。
なかなか溶けない飴を舐めながらそちらを見ると、顔が近かった。
「…!」
んぶ、と飴を唇に押し付けられる感覚。
でもそれは手によるものではなく、飴越しの消さんによるものだった。
舐めている様子は、ない。
突然のことで全くそういう気配を察知していなかった私は驚きの方が大きくてつい消さんの一連の動作をガン見してしまった。
でもそれを分かっていたかのように、消さんも私をガン見しながら私の口に飴を押し付けていたし、更に言うと逃げないように片手で頭を抑えられていた。
…時間はほんの数秒。やけに耳につく祭囃子と楽しそうな声。
消さんはゆっくりと私から離れていった。
「…本当はこんなもの越しじゃない方がいいがな」
「しょ、消…さ」
ボソ、と小さく聞こえた声。
な、なに…今の。
どういう、こと?
色々言いたいことがある気がしたけど頭真っ白だ。
消さんは立ち上がってからこちらを見てきた。
このやろう。平然とした顔して…!くそぉおっ…!
「さ。俺は戻る。お前は?」
「…かえ…る」
「花火はいいのか?」
「う、うるさいよ!こんなんなっちゃったんだもん!花火どころじゃないやい!帰るよバ…ッ」
バカ、と言おうとした時、ドンッと大きく破裂する音が空に響いた。
消さん越しに見えた花火。とても綺麗だ。
そして花火の光で見えた消さんの顔。
「………も、ホントばか…」
何でそんな優しい顔してるの。
「…途中まででいいから送ってよ、消さん」
「ああ」
手の甲を上にして消さんの方に差し出すと、すんなりと彼は私を立たせてくれた。
それから私たちは人気のない道の間だけ、手を繋いで帰った。
ほどなく祭り会場の出入り口に着き、消さんと別れた後、私は一人「忘れられそうにない夏になってしまったなぁ」とぼんやり思いながら、残りのりんご飴をかじった。
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