②雄英入学~敵襲撃
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お腹いっぱい食べた後の授業は消さんのヒーロー基礎学だ。
今日は何をやるんだろう。
「今日のヒーロー基礎学だが…俺とオールマイト、そしてもう一人の3人体制で見ることになった」
瀬呂くんが何をするのかと聞けば、本日は災害水難なんでもござれ、
「レスキュー…今回も大変そうだな」
「ねー!」
「バカおめーこれこそヒーローの本分だぜ!?鳴るぜ!!腕が!!」
「水難なら私の独壇場ケロケロ」
そっか。蛙吹さん蛙の個性だからか水場得意だもんね。潜水艦モードなら一緒に活動できるよなぁなんて思ってると視線を感じた。
「おいまだ途中だ。それに艦、話ちゃんと聞け」
「は、はーい…」
「今回のコスチュームの着用は各自の判断で構わない。
中には活動を限定するコスチュームもあるだろうからな。
訓練場には少し離れた場所にあるからバスに乗っていく。以上準備開始」
うーん、今回は全部着替えておくか。
キュ、と提督帽を被ってバスの前に集合すると飯田くんがこれでもかというほど張り切っていた。
「バスの席順でスムーズにいくように番号順に二列で並ぼう!」
「飯田くんフルスロットル………!」
***
「こういうタイプだったくそう!!!」
「イミなかったなー」
「どんまい飯田くん」
ポンポンと肩を叩いて後ろの空いてる席に向かうと、すでに窓側に轟くんが座っていた。
チラリともこちらを見る気配がない。
「あ、轟くん隣いい?」
「…ああ」
「昨日の思いっきり殴ったところ大丈夫だった?手加減はしたんだけど」
「大丈夫だ」
「そか、よかった。」
はい話終了。もう話すことないよ。何かこの子地雷持ってそうなんだもの…下手に話せないよね。こういう時こそコミュ力お化けのステータスがほしかった。とほほ~なんて思ってると視線が刺さる。
何も私声漏らした記憶ないけど。無意識に口に出すとかそういうことしてないけど。
「そんなにジッと見られると穴が開きそうだよ轟君…」
「……お前の家ってヒーロー一家が何かなのか」
え?うちがヒーロー一家?まさかそんな。
うちはごく普通の一般家庭だよ。
この時代では幸いなことに母は専業主婦で父は営業の方で働いてるごく一般的な部長だよ。
「いや、違うよ。普通の一般家庭だよ」
「そうか…随分戦い慣れてるって思ってな」
「え?あ、そ、う?」
「ああ。誰かに教えてもらってんのか?」
私たちの担任、相澤先生です。
…なんて言えないよね。
流石に担任の弟子っていうのはなんだかズルして入学!?みたいな悪い印象持たれても嫌だな。この子別にそういうの興味なさそうだけど。若干濁しつつ話そう。
「あー…うん、そう言われればそうかも。
お世話になった人にヒーロー目指したいから色々訓練つけてって頼んだよ」
「プロヒーローなのか?」
「うん、そうだよ。あんまり目立ちたくない人だから言うなって言われてるんだけどね。多分このくらいなら言っても平気。」
「変わったヒーローだな…」
「ね」
思ったよりも話せてしまった。なんとなく最初からピリピリした空気を持っていた轟くんとちゃんと話せたのは今回が初めてかもしれない。
それでもまだ子供らしからぬ張り詰めた空気持ってるんだけどね。
なんなんだろ。私はもっとほんわかな空気で話したかったよ。
「派手で強えっつったらやっぱ轟と爆豪だな」
「あ、轟くんすごいって言われてるよ」
「…」
あっ無視か?なんて切り替え早い子なの。心のシャッターが下りるのめっちゃ早いね轟くん…。
でもそういう子もいるよね!ていうか今が反抗期なのかな!ははぁ!…泣きそう。
「ケッ」
「爆豪ちゃんはキレてばっかだから人気出なさそ」
「んだとコラ出すわ!!」
「ホラ」
「ホントだ…」
「あ!?んだちんちくりんやんのか!?」
ち、ちんちくりん!?もしかして私のこと!?
ちょっと一言いっただけなのにこの目くじらの立てよう。すごい。
「この付き合いの浅さで既にクソを下水で煮込んだような性格と認識されるってすげぇよ」
「てめぇのボキャブラリーは何だコラ殺すぞ!!」
「低俗な会話ですこと!」
「でもこういうの好きだ私」
「爆豪くん君本当口悪いな!」
「ち、ちんちくりん…ひどい…私そんなにちんちくりんじゃ…」
確かに小さいけどあの言い方私自身の雰囲気も込みだよね!?
「あと澪の個性もすごくねえ?遠距離攻撃の幅広いし地味に近接対人もいけるしよー」
「え?!なんで私に向いたの!?」
一生懸命は頑張るけど注目されるのとかはちょっと恥ずかしい…!
顔が熱いので隠させてもらいます。
「こないだの個性把握テストの時や対人訓練の時も地味に凄かったわね。一部から人気でそうだわ」
「蛙吹さんまで!」
「梅雨ちゃんと呼んで」
「梅雨ちゃん!」
てか今地味って二回言われた!?
「もう着くぞいい加減にしとけよ…」
「「ハイ!!」」
思いのほか皆とキャッキャしたけど…こ、これが普通の高校生の会話なの…!?
前世ではこんなの全くなかったから感動すら覚えるんですけど…!
そんなことを思いつつ一瞬出そうになった涙をこらえてやっと会場に着いた。危ない危ない。
え…てか…っえ!?何ここの施設広くない!?
「すっげー!!USJかよ!!?」
「USJって何…?」
「えっ艦さん知らないの?!」
「そんな驚いた目で見ないでよ緑谷くん…」
前世は仕事忙しかったし、今世は今世で忙しかったんだよ…。
聞くと東京にも似たようなのがあるらしいんだけどそれも知らないって流石に言えなくてそうなんだ~!すごいね~!って適当に言っちゃった。ごめん。
「水難事故、土砂災害、家事…etc.
あらゆる事故や災害を想定し、僕がつくった演習場です。
その名も……U(ウソの)S(災害や)J(事故ルーム)!!」
「USJだった!!」
「スペースヒーロー『13号』だ!災害救助でめざましい活躍をしている紳士的なヒーロー!」
「わーっ私好きなの13号!」
プロヒーローの登場に緑谷くんとお茶子がはしゃいでて微笑ましい…。
自然と笑顔になっちゃうね。あのまん丸ほっぺ摘まみたい。
「えー始める前にお小言を一つ二つ…三つ…四つ…」
増える…と私含めみんながそう思っている顔をしていた。
「皆さんご存知だとは思いますが、僕の“個性”は“ブラックホール”。
どんなものでも吸い込んでチリにしてしまいます」
「その“個性”でどんな災害からも人を救い上げるんですよね」
「ええ…、しかし簡単に人を殺せる力です。皆の中にもそういう“個性”がいるでしょう」
その言葉に皆は真剣に耳を傾ける。
私の個性も人を簡単に殺せる上、艦種によっては攻撃範囲が広い。
それを忘れず十二分に気を付けろと消さんからも言われている。
「超人社会は“個性”の使用を資格制にし、厳しく規制をすることで一見成り立っているようには見えます。
しかし一歩間違えれば容易に人を殺せる“いきすぎた個性”を個々が持っていることを忘れないで下さい。
相澤さんの体力テストで自身の力が秘めている可能性を知り、オールマイトの対人戦闘でそれを人に向ける危うさを体験したかと思います。
この授業では…心機一転!
人命の為に“個性”をどう活用するかを学んでいきましょう。
君たちの力は人を傷つける為にあるのではない。
救ける為にあるのだと心得て帰って下さいな」
13号先生…超かっこいい…。
こりゃ紳士ヒーローだわ…ファンになりそ…。
というかグッズ絶対可愛いよね。今度探してみよう。
まぁ、私の推しのヒーローはギャングオルカなんだけどね!カッコイイよ!
「以上!ご静聴ありがとうございました」
「ステキー!」
「ブラボー!!ブラーボー!!」
「んじゃあまずは…」
授業をした消さんの声が不自然に途切れた。
…なに?と思ってみると後ろに何か気付いたようで、私もつられて見れば先日雄英ゲートが閉まる瞬間に見た…
「一かたまりになって動くな!」
「え?」
ソレは突如として現れ、ただならぬ雰囲気に私は固唾を飲んだ。
周りの子たちはまだそれに気付いていないのか、驚いた表情だった。
「13号!!生徒を守れ!」
「何だアリャ!?また入試ん時みたいなもう始まってんぞパターン?」
「動くな!あれは敵だ!!!!」
どんどんと黒いモヤの中から敵があふれ出てくる。
一体どれだけでてくる気だ。
「13号にイレイザーヘッドですか…。先日いただいた教師側のカリキュラムではオールマイトがここにいるはずなのですが…」
黒いモヤのような敵がゆらり揺れながら丁寧な口調で話す。
私は初めての敵との遭遇の恐怖と前世の深海棲艦の襲撃がフラッシュバックして身体の筋肉が固くなり、動きが鈍くなるのを感じた。
「やはり先日のはクソ共の仕業だったか」
「どこだよ…せっかくこんなに大衆引きつれてきたのにさ…オールマイト…平和の象徴…いないなんて…
子供を殺せば来るのかな?」
この間ゲート前で見た男の一言にゾ、と背筋が凍るようで思わず何かに耐えるように自分の二の腕を掴んだ。
「敵ンン!?バカだろ!?ヒーローの学校に入り込んでくるなんてアホすぎるぞ!」
「先生侵入者用センサーは!」
「もちろんありますが…!」
「現れたのはここだけか学校全体か…何にせよセンサーが反応しねぇなら向こうにそういうこと出来る“個性”がいるってことだな」
「校舎と離れた隔離空間。そこに少人数(クラス)が入る時間割…バカだがアホじゃねぇこれは。
何らかの目的があって用意周到に画策された奇襲だ。」
「そんな…」
口元を押さえて自分を落ち着かせる。大丈夫、今の私はまだいくらか敵を対処できる力がある。勇気がある。
きっと私たち学生は非難させられるだろう。落ち着いて行動しよう。
「13号避難開始!学校に連絡(でんわ)試せ!
センサーの対策も頭にある敵だ。電波系の“個性”(やつ)が妨害している可能性もある。
上鳴、おまえも“個性”で連絡試せ」
「っス!」
「艦、お前もだ」
「はい!」
私の使う電探は艦載機と私の間でしか使えない通信機だ。
でもこれが出来ればこの施設にどれほど敵が侵入したのかわかり、その上で私が避難したなら、外にいる他のプロヒーローたちに報告できる。おそらくそれが私の役割だろう。
「軽空母モード」
私は軽空母になり、中央敵の方には向かわせず、なるべくドーム型の天井を沿うようにさせて敵の攻撃が届かない位置で索敵をするよう、そして電探が使えないようなら窓を割ってでも戻って報告をせよと妖精に直接指示を出して数機発艦させた。
「先生は!?一人で戦うんですか!?あの数じゃいくら“個性”を消すっていっても!!
イレイザーヘッドの戦闘スタイルは敵の個性を消してからの捕縛だ。正面戦闘は………」
「一芸だけじゃヒーローは務まらん。13号!任せたぞ」
消さんが一人で戦うということに驚き、流石に私もとは思ったが、ぐっと堪えた。
私の役目は外に避難をすることだ。
カツ、と踵を返して一歩進んだ時、目の前に靄が広がった。
「させませんよ」
「!敵…っ」
「初めまして。我々は敵連合。せんえつながら…この度ヒーローの巣窟雄英高校に入らせて頂いたのは、平和の象徴オールマイトに息絶えて頂きたいと思ってのことでして。」
この敵は何を言っているんだ。
私たちヒーローの卵と少数しかいないプロヒーローを潰すならまだしも、オールマイト先生を殺そうだなんて。
「本来ならばここにオールマイトがいらっしゃるハズ…ですが何か変更あったのでしょうか?まぁそれとは関係なく…私の役目は、これ」
生徒を守るべく敵の前にいた13号先生が仕掛けようとした時だった。
それに気付かず気が早まった切島くんと爆豪くんが敵の前へ飛び出し、攻撃を繰り出した。
「その前に俺たちにやられることは考えてなかったか!?」
しかしその攻撃もモヤであるからか、いまいち攻撃が当たってないように見えた。
「危ない危ない………。そう…生徒といえど優秀な金の卵」
「ダメだどきなさい二人とも!」
そう言ったと同時に、私たちA組の大半は敵のモヤの中へと吸い込まれてしまった。
ドサッ
「いったぁ…!」
私が落ちた所は物音がせず、割と静かな場所だった。
ここどこだ…森のエリア?…にしては狭すぎるけれど…、もしかして私だけ外れの方に落とされた?
艦載機達に電探を使って私を見つけてもらえないかな。
「…だめだ。使えない。」
とりあえず索敵機を一機発艦させて他の艦載機たちに戻ってくるように言ってくれと指示を出した。
幸い敵もいないエリアに飛ばされたようだったのですぐに発艦させた他の索敵機を回収し、私のモールスを押して位置情報含め現在の報告をしてくれた。
「とりあえず皆のところに戻ろう。」
私は海じゃないと活躍できないのはわかってる。でもやっぱり消さんが心配だ。
先に艦攻爆を送って少しでも消さんの負担を減らしに行ってもらうことにした。
「皆。私もすぐ行くから皆で消さんの助けになってあげて。消さんから離れてる遠距離の敵を狙うようにお願い」
個性を空母から駆逐の島風に換装して足を早めて消さんの元へ向かう。
なんだか胸騒ぎが収まらない。早く行かなきゃ。
早く…早く…っ!
しかし、私が見たものは、悲惨な光景だった。
「っ消さんっ!!!!!」
それは、絶望。