②雄英入学~敵襲撃
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「ふんふふん、ふんふふん、よ〜そろ〜」
今日はご機嫌さんである。なんせ昨日はメンチカツカレーだったからね!
朝はその残りを食べてきた。最高!
しかも今日のお弁当も持っていっていいよって言われたからお昼も楽しみなのである。
カレーという料理は不思議だ。毎食カレーでも全然飽きない。
え?ランチラッシュに行かないのかって?
行きたいけどそれは週一回、金曜日にカレー食べるって決めているから…!
寮にでもならない限りか、お弁当がない日以外は行かないよ…!これは揺らがない!
そんなことを考えていたら普通に校門前で溢れかえっていたマスコミたちの中に突っ込んでしまってコケてしまった。尻もちついて痛い。
ぶつかってしまった相手はすぐ気づいて振り返って「わ、大丈夫かい?ごめんね」と言いながら手を伸ばして立たせてくれた。ありがとうマスコミのお兄さん。
「キミ、オールマイトにはもう会った?」
「ん?会いましたけど…」
「お昼とか一緒に食べた?ハンバーガーとか食べてた?」
「え!?今日はカレーですよ!?」
「え?」
「あっごめんなさい。今日食べるお昼の事で頭がいっぱいでした。オールマイト先生とはお昼食べてません。では!」
「あっ!待って!他にも質問が!」
立ち上がらせてくれたお兄さんには申し訳ないけど、あんまり構ってたら遅刻しちゃうしと思って振り切ろうとすれば、肩を掴まれて後ろに引かれそうになった。
その時、ぐい、と見慣れた捕縛布が私の体に巻きついて前の方に勢いよく引き寄せられた。
ボフンと視界が真っ黒になる。
「お、ナイスキャッチ」
「黙ってろ」
「はぁい」
「彼は今日非番です。授業の妨げになるんでお引き取り下さい」
そう言ったあと、彼は私を解放したものの、捕縛布は私の体に巻き付けたまま引いて歩き始めた。何だこれ。私は囚人か?
「消さん。これとって。あとおはよう」
「おはよう。先生って呼んだら解いてやる。」
「先生先生早くとって〜先生〜〜」
「…」
ギチッと捕縛布の締め付けが強くなったので素直に謝った。ごめんなさい。だから解いて。
「ほら、お前も早く教室に行きなさい」
「はーい。あ、先生そういやこれあげる」
「なんだ」
「今日買ったドリンクについてた猫ちゃんキーホルダー。かわいっしょ」
捕縛布を解かれた後にポケットから取り出したものを消さんの目の前に出してプラプラと揺らしてキーホルダーを見せれば消さんは顔をしかめて心底呆れたようにため息を吐いた。
たかがキーホルダーごときでこの反応は流石に辛いぞ私。
「あのな…」
「いらない?」
「そうとは言ってない」
プラプラとさせていたキーホルダーは消さんの手によって奪われ、それがなんだか面白かった私は思わず笑いを溢した。
「ふふ、また買ったらあげるね」
「一個でいい」
こんなのんびりとした会話をしているが後ろの方ではオールマイトの話をだの、消さんにあなた小汚すぎません!?だの後ろが喧しい。
というか小汚いってやっぱり私の見識は間違ってなかったんだな。
やがて後ろからピーという音が聞こえ、振り向けばけたたましい音と悲鳴が響き渡る様子が見られた。
何この光景…雄英高校すごいわ…と思うと同時に、閉まる間際に見た視線がどうにも気になった。
一人だけやけにマスコミらしくない格好の男性で、インタビューをしたいがこのシステムのせいで…という雰囲気でもない。通りがかりの野次馬だろうか。
でも、雰囲気はそんな風でもない。もっと違う……あの目は…。
「…ねえ消さん」
「おい、先生って呼べって「マスコミってさ、人殺しそうな雰囲気のもいるもんかね」…さぁな。人相悪い奴はいるだろうな」
「…そっか。まぁ、いいけど…多分気をつけた方がいいかも。何か…変なのいたわ」
ジッと閉められた扉を睨み付けていると、頭に久しぶりの感覚がきて、すぐグリグリと頭を撫でられた。
「わっ」
「子供が気を揉むようなことをしなくていい」
「ちょっとしょ…先生!私はこう見えても大人だけど!?」
「身分は子供だろうが」
「ぐぬぬ…!」
「ほら、そんだけ元気なら今日の訓練も大丈夫そうだな。その元気は後にとっておけ。」
ポンポンと背中を押されて一歩前に出た私は振り返る。
二歩後ろにいる消さんはいつもと変わらない、抑揚のない表情をしている。
「…わかったよ、センセ。」
このざわつく感じが無ければすぐ笑って走っていくんだけどな。
どうにも無理そうだと思いながら、私は消さんを置いて行って教室へと小走りで向かった。
***
予鈴と共に入ってきた消さんは朝の挨拶と共に早速昨日の訓練の話を切り出した。
表情は特に険しくも笑顔でもない。というか笑顔の消さんなんて見たことない。愉快そうな顔はあるけど。
「昨日の戦闘訓練お疲れ。Vと成績見させてもらった。
爆豪、おまえもうガキみてぇなマネするな。能力あるんだから」
「………わかってる」
「で、緑谷はまた腕ブッ壊して一件落着か。いつまでも『出来ないから仕方ない』じゃ通させねぇ。
俺は同じこと言うのが嫌いだ。それされクリアすればやることは多い。焦れよ緑谷」
「っはい!」
「さてHRの本題だ…急で悪いが今日は君らに…ー」
何だろう。また臨時テストかな。
いい加減臨時はやめてほしいぞ。
「学級委員長を決めてもらう」
「「学校っぽいの来たーーー!!!」」
急じゃないじゃん!大丈夫だよ!アンタの個性把握テストよりも急じゃないよ!!!
みんなやりたいやりたいってはしゃいでてさすが雄英だなとまた感じる。
私はやりたいかといえばどちらでもいいって感じだ。
「静粛にしたまえ!!“多”をけん引する責任重大な仕事だぞ…!
『やりたい者』がやれるモノではないだろう!!
周囲からの信頼あってこそ務まる聖務…!
民主主義に則り真のリーダーを皆で決めるというのなら…これは投票で決めるべき議案!!!」
「そびえ立ってんじゃねーか!!何故発案した!!!」
ダメだ飯田くん面白いわ。
「日も浅いのに信頼もクソもないわ飯田ちゃん」
「そんなん皆自分に入れらぁ!」
「だからこそここで複数票獲った者こそが真にふさわしい人間という事にならないか!?
どうでしょうか先生!!!」
「時間内に決めりゃ何でも良いよ」
あ、消さんまた寝ようとしてるな。
隙あらば寝ようとしてるな。
んー、投票か…。それなら私は…
「僕三票ーー!!!?」
「なんでデクに…!!誰が…!!」
「まーおめぇに入るよかわかるけどな!」
「一票…!?俺に入れてくれたのは誰だ…!?」
私だよ。てか自分に入れたら八百万さんと並んだのになぜ…。
「他に入れたのね………」
「おまえもやりたがってたのに……何がしたいんだ飯田…」
「じゃあ委員長緑谷、副委員長八百万だ」
「うーん悔しい…」
「ママママジでマジでか…!!」
「緑谷なんだかんだアツイしな」
「八百万は講評よ時のがかっこよかったし!」
あー、緑谷くんガッチガチになってる…。
大丈夫かな…。というか飯田くん超落ち込んでんじゃんね?
ーー昼。
今日はお弁当なので、私は教室でご飯を食べていた。
朝も言ったけどメンチカツカレーだ。
エネルギーの補給は大事、とたくさんご飯とルウを入れてもらった。
メンチカツは2個!最高!
お母さんありがとうと感謝して食べているもと警報が響き渡った。
すぐ立ち上がって一気に残り少ないカレーをかきこみ、お茶を飲んで口を拭くと放送がかかった。
≪セキュリティ3が突破されました。
生徒の皆さんはすみやかに屋外へ避難して下さい。≫
「セキュリティ3…!?」
1ならまだなんとなくしょぼいのはわかるけど3って…!?どのくらいやばいのさ!?
「あ!あのすいません!」
「なんだよ!こっちは急いでるんだ!」
「セキュリティ3ってどのくらいやばいんですか!?」
「関係者以外の人に校内へ侵入されたってことだよ!お前も逃げろ!」
「ええ!?」
外は、と廊下の窓を見れば消さんがマスコミに対応してるのが見えた。
すぐ廊下に出て私は他の先輩らしき人を捕まえて、放送室はないのかと聞き出し、すぐに向かってドアを開けようとするが当然のように鍵がかかっていて開かない。
「くそ!ああもう!戦艦モード!!!ごめん消さん!」
大砲は流石に使ったらやばいので、戦艦になった際に向上した身体能力を使って、バンッと力任せにドアを開いて鍵を壊した。
誰にも見られてませんように〜っ!って思いながらすぐに放送の電源を入れて、校内放送のマイク音量を上げた。
「皆さん落ち着いてください、外を確認したところ、校内に侵入をしたのはマスコミです。
ただ今、相澤先生、マイク先生が対応をしておられます。
走っている人は急には止まらずゆっくり足を緩めて止まってください。
繰り返します…」
***
放送の甲斐もあってか、騒動はすぐに収まり校内に響き渡っていた慌てふためいた声も聞こえなくなった。
放送室のドアはぶっ壊してしまったので人がいないタイミングで外に出て早々に教室へ撤退。デザートの苺を食べて堪能した。
暫くすると警察が到着し、マスコミも撤退したらしい。
その時マイク先生がバッドマスコミュニケィション!!!なんて言ってたらしいが、なんというかもう、お疲れさますぎる。
「なんで雄英のゲートにくぐれなかったマスコミが侵入できたんだろう」
ふー、と天井を見上げて考えるも思い出すのは朝から胸のざわつきが取れない、あの視線。
「何もなきゃ、いいけど」
そして昼休みが終わり、他の委員決めを始めることとなったが、委員長の緑谷くんの指名により、委員長が飯田くんに決まった。
よかったねぇ飯田くん。
そしてつつがなく他の委員も決まり、その日の授業も終わると、帰りのHRで消さんに職員室へ来るようにと言われたので、職員室の扉の前に立っていた。
「うーん、なんかあったっけ…失礼しまー…「あるだろ」あたぁっ!?」
開けた瞬間閻魔帳で叩かれた。痛い。つら…。
「お前、今日なんかやっただろ」
「は?」
「それならヒントをやろう。昼休み、放送室、ドア破壊。」
「……………あっ」
バコンッ
「痛い!体罰だ!でもごめんなさい!」
「わかってるならいい。意図は」
「侵入者がマスコミだってのと、先生たちが対応してるのがわかって…。
でも生徒たちはそれに気付かず走って避難しようとしてたから、けが人が出ると思って校内放送しました…。」
「…」
「…んで…その時に放送室使おうとしたら鍵かかってて…時間なかったから壊しました…ごめんなさい」
直す経費もタダじゃないのを重々承知しているので深く頭を下げる。
頭上から長いため息が聞こえた。
「…次はないからな」
「……はーい」
べしべしと3回くらい閻魔帳で叩かれて「これで勘弁してやる」と言われて解放された。
その時カシャンと金属が落ちた音が聞こえ、ん?とそちらを見ると鍵が落ちていた。
「あれ、先生鍵落としたよ」
ひょい、と拾って消さんに渡そうとすると、何か見慣れたものが付いていた。
「…あ……」
「ん、ああ悪い……な」
今朝あげた猫ちゃんキーホルダーだ。
頭を上げて何か言おうとしたがグググッと珍しく力強く頭を抑えられた。
「今頭上げたら除籍にする。余計なことを喋っても除籍する。大人しくそのまま鍵をよこせ」
「は、はい…どうぞ…………」
「じゃあ気を付けて帰れよ。」
「さ、さよなら〜…」
職員室の扉はピシャンと締められた。
「え?これ流石に私悪くないよね…え?」
なんでこうなるのさ。