②雄英入学~敵襲撃
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春。
新しい季節。
…新しい制服!
さぁ、この扉を開けて走りだそう!
夢はきっと叶えられるよ!
って思うでしょ。ここまで小芝居しておきながら出た瞬間転んだから。
その物音で近所の犬ガチ切れして吠えてきたし。なんなのホント。
初日から盛大にため息をついて早速汚してしまった制服をはたいて気を取り直し、学校へ登校した私は悲しきかなあのヘドロ少年と同じクラスになってしまった。
正直なりたくなかったな?でもクラスには縮れ毛と呼ばれてた子と、助けた女の子。
そして縮れ毛と呼んでいたいかにもな学級委員長タイプの子もクラスが一緒だった。
「おめぇ…」
「あ、試験ぶり」
「けっ」
いやそんな態度するこたないじゃん?
てかそんな態度するならなんで話しかけたのさ…。
名前は…爆豪か。爆豪くん思春期なのかい?私には思春期の子供を持ったことがないからわからないよ…。
程なく席に座ると、入口の方から聞き覚えのある声が聞こえて来た。
ガタッと立ち上がって後ろのドアから廊下を見ると、見慣れた寝袋。見慣れた小汚い男が床で寝転がっていた。
うわ。
思わずドン引きだよ。言葉失ったよ。
恨みやらなんやらを携えてやっと会えたと思ったけれど、え?……何?
消さんが教室に入ると共に私もまた座り、ついでに「これも含めて色々とどういうことだ」と思いながら睨んでみると、一瞬目があったものの合っていないものとされた。ムカつくわあのおっさん…。
しかも静かになるまで8秒かかって合理性に欠けるって言われたし。
「担任の相澤消太だ。よろしくね」
なんだそれ。申し訳程度に親しみやすさを出すな。
え?てか担任…?え…?
「意味わかんないわあの人…」
思わず溢れる言葉。言葉失ったのに言葉出ちゃったよ。
そしてすぐ消さんは寝袋から体操着を出して、グラウンドに出るように指示をした。
…あれ、誰の体操着だ。
***
グラウンドに出ると、個性把握テストをやるとのことだった。
やることは体力テストと同じだったが、どうやら個性を禁止せずに、寧ろ個性を駆使して最大限記録を出せとのことらしい。
ちなみに試しに消さんが爆豪くんにやらせたボール投げは705.2m。すごい。
「なんだこれ!!すげー面白そう!」
「705mってマジかよ」
「個性思いっきり使えるんだ!!さすがヒーロー科!!」
あっ
「………面白そう…か。ヒーローになる為の三年間、そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい?」
でた、怖いやつ。滅多に見ないあの怖いやつ久しぶりに見た。
何きっかけで見たかと言えば、昔私が怪我してそのまま訓練しようとした時にあれの一歩手前の雰囲気で怒られたことがあった。
今の状態は、あれ以上の雰囲気だからつまりめちゃめちゃ怖い。
「よし、トータル成績最下位の者は見込み無しと判断し、除籍処分としよう」
「はあああ!?」
「…えぐ」
「
「…いーえ」
てか苗字呼びか。これはつまり先生って呼べってことだな。わかりましたよ、相澤センセー。
私は察しの良すぎる女ですからねー。後で褒めろ~
「生徒の如何は先生の自由。
ようこそこれが雄英高校ヒーロー科だ」
Puls Ultra、全力で乗り越えて来い
消さんはそう言って指をクイクイと挑発して来た。
…にゃろう。やってやろうじゃん。
ていうかマジで後で雄英の教師だったとかその他諸々話聞いてやるんだから覚悟しとけよ!!!
「あ、艦。お前は8種目全て順番最後にやれ」
「は!?消さ…先生何かあったんですか?」
「資料を見たところお前の個性は撃った後にでる影響の範囲が広い。他が巻き込まれるとマズイからな」
「あ〜…わかりました」
「じゃあ各自列になれ」
クラスのみんなは言われるがままに列になり、50m走を始める。
「次、艦」
「はい」
個性を戦艦の金剛の型にしてキリキリと後ろに向かってやや斜め下に向ける。
そしてスタートとともに撃ち、轟音を鳴らしてゴールをする。
青山くんとほとんど同じことをしたけど、私の場合威力が桁違いだから余裕で50mをこの一回で超えていく。記録は4.3秒。
これも走り立ち幅跳びに使えそうだよね。次は握力もあるし、大和型でやってみるかな。
ーーちなみに言うと、私のこの個性は使用中のみ身体能力がべらぼうに上がるのだ。
だから、握力も個性を使ってないと30kgくらいだけど、使用中は460kgだった。すごくない?隣で何気なく見てた瀬呂くんにドン引かれたよ。
そして540kgの障子くんには負けた。ドン引かれた上に1位にすらなれなかった。つらい。
「さて…立ち幅跳びか…」
さっきと同じことをやるのは芸がないよな…。記録も同じくらいになってしまうだろうし。
うーん、どうしたものか…。
「…あ、いいこと思いついた。」
発射したら個性を解除して体を軽くできないかな。
さっき撃った後は爆風で飛んでたようなもんだし。それで記録を伸ばしてみよう。
再び轟音を立てて、飛んだ瞬間に個性を解除して吹っ飛んでみると、面白いぐらい飛べた。
反復横跳びは島風という一番早い艦になると記録が少し伸びたので、力以外にも足も早くなることがわかったのは収穫だったなぁ…と思っていると、次のボール投げで緑谷くんの番になった時、何でか消さんの個性によって消されたらしい。
「な…今確かに使おうって…」
「“個性”を消した」
「!?」
「つくづくあの入試は…。
合理性に欠くよ。おまえのような奴も入学出来てしまう」
「消した…!!あのゴーグル…そうか……!
抹消ヒーローイレイザーヘッド!!!」
緑谷くんよく知ってたね…。
弟子の私ですら最初というか最近まで知らなかったよ。この話は消さんに黙ってるんだけどね。だって普通の人ならいざ知らず、弟子がそんなことを言おうもんならあの捕縛布で今の緑谷くんみたいにぐるぐる巻きにされかねないからね。
「見たとこ…個性を制御できないんだろ?
また行動不能になって誰かに救(たす)けてもらうつもりだったか?」
「そっそんなつもりじゃ…!」
グイッとデクを捕縛布で引っ張る消さん。あれ絶妙な締め付けで身動き取れないしで捕まった側は嫌なんだよな。
もしかしたらソッチのアダルトな方向でもイケるんじゃないの?
「どういうつもりでも、周りはそうせざるをなくなるって話だ。
昔暑苦しいヒーローが大災害から一人で千人以上を救い出すという伝説を創った。
同じ蛮勇でも…おまえのは一人を救けて木偶の坊になるだけ。
緑谷出久。おまえの“力”じゃヒーローにはなれないよ。」
スッと個性を解除して上がった髪が下がる消さん。き、厳しいな…。
いや、でもまぁ当たり前…か。お荷物になられても困るし。
何よりも私が消さんと修行していた時、
「燃料は常に意識して最小かつその状況において効果的な攻撃をしろ、補給食を食べれば燃料は回復するかもしれない。
だがそれを食べられる余裕がない時はどうする?」と口すっぱく言われていた。
しかも私は個性が解けた場合海に沈んでしまう可能性がある。それは避けなければならなかったため余計にだろう。
だから、きっと緑谷くんも個性を使ったことでペナルティ的な、身動きが取れなくなってしまう個性なのを知ってのあの言動だ。
「“個性”は戻した…ボール投げは2回だ。とっとと済ませな。」
大丈夫かね、と心配して緑谷くんを見れば、彼はブツブツと何か独り言を言っている。
そして彼は…
ピピッと計測器が鳴る。
「まだ……動けます」
「こいつ……!」
でた。消さんのテンション高い顔。
なんだか久しぶりに見た気がする。
そう思ってたら爆豪くんが緑谷くんにブチ切れて襲いかかるも、消さんに迅速に捕縛布により止められ、事なきを得た。
その時の消さんはめちゃくちゃ文句言ってたけど、すぐに次の人に促し、私もボール投げをしてkm単位の記録を出し、残りの持久走、上体起こし、長座体前屈を済ませた。
そして結果発表…
何とか2位に行けたけれども、八百万さんには負けた。なんだあの個性。
伸び代がとてもある立派な個性じゃないか。
「んじゃパパっと結果発表。
トータルは単純に各種目の評点を合計した数だ。
口頭で説明すんのは時間の無駄なので一括開示する。
ちなみに除籍はウソな。」
!?
私含めたクラスの全員は驚きに満ちた。
え、あれ本気の顔だったじゃん…?と思って消さんの顔を見ていると、消さんはなぜかこちらをガン見した。
「君らの最大限を引き出す」
…
「合理的虚偽だ」
ニヤリと彼は笑い、私に向かってそう言った。
「…はっ!?」
わ、私は気付いてしまった…。
何も知らないクラスメイトは今ので全てだが、私にだけもう一つの意味が追加されていた。
察しの良すぎる私の推理が正しければ『黙っていた方がお前も緊張せずに合理的に試験に臨めただろ?そのための合理的虚偽だ』的な?私察しすぎじゃない?大丈夫?
いやまぁ、…別にわからない方がまぁ…精神的にも合理的だったとは思うけどさ…。
そんなこんなで個性把握テストを終え、着替えてからクラスに帰ろうとした時、消さんが前の方を歩いていた。
「お。みっけた。」
消さんを追い抜くふりをして、腰のあたりを小突いて、ワザとらしく振り返って「あ、ごめんなさい!」と言いながら消さんにしか見えない位置で「んべ」と舌を出した。
これはお返しだ。
「これでチャラだかんね、センセ」
「ん」
小声での短いやり取りを終えてさっさとクラスに戻ろうとそのまま去ると、後ろで「励めよ」と聞こえた。
「…はーい」
思わず振り返ってしまい、なんだか気恥ずかしくて私は小声で返事をしてしまった。
…そこ、「その顔悪くないな」的な顔をやめなさい。
なんかもう超意地悪い顔してるよ???
…やめなさいったら!!!