②雄英入学~敵襲撃
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「消さん!!!!!」
私が見た光景は、あまりにも絶望的な光景で視界がぐらりと揺れた。
その光景は、まるであの黒い巨体の敵は遊び方を知らない子供で、そいつに乱暴されている消さんはまるでかわいそうな人形のようだった。
「ぐっ…!」
「!や…めろ…やめろ!」
消さんの声にハッとして足を踏ん張らせ、同時に怒りで頭に血が上る。
私はそのまま怒りに任せて戦艦大和に換装し、主砲、副砲全てをあの敵に向ける。
決して消さんに当たらないようにと慎重にミリ単位で位置を調整して狙いを定めた。
「このっ…!先生を離せ!」
響く轟音。大きく煙が上がり、当たったと確信したがまるで効いていないようで、ソレは一切動いている様子がなかった。
「み…お…!離れろ!」
消さんの居間にも消え入りそうな声にハッとなり、焦りを覚えた。
早く、早くあの人を助けなきゃ。
でもどうすれば…
そう思っている隙に敵はゆらりとこちらを向くと、一瞬でこちらに移動して私の腹部に一発撃ち込んできた。
「がっ!!!」
何て重いパンチ…っ!
しかも大和の艤装は相当重いのにもかかわらず私はいとも容易く吹っ飛び、水難ゾーンのプールに落ちていった。
「艦さん!!!」
緑谷くんの声が一瞬聞こえた気がするが、それも水に打ち付けられた音で消えてしまった。
まずい。
まずいまずいまずい。
消さんを助けなきゃ。
消さんが死んじゃう。
消さんがいなくなったら嫌だ。
でも体が動かない…!
まだ燃料もあるのに私は何をやってるんだ…っ!
どうすれば…っ!
ごぼりと私の吐いた血が水に溶けて行くのをただ見つめながら、私は痛みに気絶してしまった。
また…私は無力なまま、誰も助けることがでキナいノ…?
***
蛙吹さんと峰田くんの三人で力を合わせてやっと敵を倒してプールから出ようとした時、相澤先生が戦っている方向から一人吹っ飛んできた。
「艦さん!!!」
「私助けにいってくるわ」
ざぶんと水の中に入っていって救出に行った蛙吹さんに艦さんを任せて僕は吹っ飛んできた方を見れば、小枝を折るかのごとく簡単に先生の腕を折り、頭を地面に沈めてしまうところを僕たちは見てしまった。
「ケロ…!?」
蛙吹さんの声が後ろから聞こえてきた。
どう聞いても艦さんを助けたような声ではなく急いで振り返れば一人、この学校の生徒とは思えない女性が水面に立っていた。
「お、おい緑谷…!アレもしかして俺たちが逃した敵か…!?」
「いや、でもそれなら僕たちがこうしてた間に後ろから襲ってたはず…!」
まさか、と思った。
コスチュームも変わっていて気付かなかったが、よく見れば艦さんによく似ていた。
彼女の個性は軍艦。僕たちの想像する軍艦とは少し違うようで、それぞれの装備を使うような個性だったはずだ。
僕たちには教えていない使い方が、まだ彼女にはあったのかもしれない。
「でも…なんか様子がおかしいよね…」
「緑谷ちゃんも、そう思う?」
こちらにそっと戻ってきた蛙吹さんが会話に混ざる。
そう。元々彼女は背が低く、髪も短い状態で機械装備を使っていたはずだ。
それなのに、髪は長くなって背も高い。そして、装備をつけていない。
その代わりに…
「あんな禍々しいの…初めて見た…」
艦さんよりも後に水中から浮かんで水面に立った黒い巨体。
まるで先生が今戦っていた敵のようで、おそらく敵より大きいだろう。
体は一つなのに、頭は二つで首には大きな鎖が巻いてあり、大きな錨を背負っていた。
そしてその巨体の目とやや開いている口からは到底生物とは程遠い赤い光を放っていた。
やがてその禍々しい巨体は艦さんを恭しく頭を垂れてから肩に乗せてあげていた。
怖い…。
彼女はこの雄英の生徒で、今も味方な筈なのに、心強さよりも先に、恐怖が勝っている。
『…キャ、』
「おい緑谷!今あいつ何か言ったぞ…!」
「多分あれは艦さんだ。敵じゃないと思うけど…!」
『ワタシガ…守ラナ…キャ…。モウクリカエシタクナイ…!』
艦さんの声はとても悲痛な声だった。
繰り返したくない…?
彼女は一体何がと思いながら、彼女の機械で加工したような声に耳を傾けているとその言葉とともに後ろに控えていた巨体は勢いよく口から攻撃を発射させ、一気に走り出した。
ソレは僕たちを通り過ぎ、向こうにいる敵へ向かって殴りかかりに行くが、敵はそれを防いで反撃をした。
その光景はとても異様なもので、このご時世こんなことをいうのもなんだが、非日常的な光景だった。
『ヘェ…ヤルノ?ジャア、コレハドウ…!?』
彼女の次々と繰り出される攻撃は当たるものの、効いていない様子だった。
イラついたように舌打ちをした艦さんは『ウザッタイナァ!』と自身にも大きな装備を換装させて応戦し始めた。
「すごい…艦さんってあんなに戦えたんだ…」
「多分戦闘の実力はクラスの中じゃ一番かもしれないわね」
よくよく考えれば彼女は目立ちはしないものの、よく順位で二位の位置にいることが多い。
それって実はすごいことなんじゃないか、と僕は彼女への見る目が少し変わった。
「死柄木弔」
「黒霧。13号はやったのか」
敵と艦さんが戦っている横で相澤先生を踏みつけていたもう一人の男はさっきのモヤの敵と合流して何か話しているようだった。
「行動不能にはできたものの、散らし損ねた生徒がおりまして……一名逃げられました」
「……………は?はあーーーー。黒霧、おまえ…おまえがワープゲートじゃなかったら粉々にしたよ…さすがに何十人ものプロ相手じゃ敵わない。
しかもあの変なガキも脳無とやりあっててなかなかしぶとい…。
ゲームオーバーだ。あーあ…今回はゲームオーバーだ。
…帰ろっか」
…え?
「……?帰る…?カエルっつったのか今??」
「そう聞こえたわ」
「やっやったあ助かるんだ俺たち!」
「ええ、でも……………、気味が悪いわ緑谷ちゃん」
「うん…これだけのことをしといてあっさり引き下がるなんて…」
オールマイトを殺したいんじゃないのか!?
これで帰ったら雄英の危機意識が上がるだけだぞ!!
ゲームオーバー?何だ…何考えてるんだこいつら!!
「けどもその前に、平和の象徴としての矜持を少しでもーーへし折って帰ろう!」
ひた、と蛙吹さんの顔を死柄木が触れるも、何も起こらなかった。
「本っ当かっこいいぜ
イレイザーヘッド」
それは先生のおかげだったことがわかったが、艦さんと戦っているのにもかかわらずすぐに脳無は先生の頭を地面へと埋めるように殴りかかった。
『ソノヒトカラ…ハナレロ!!!』
轟音と艦さんの怒りの声が聞こえる中僕は今の状況にとても焦っていた。
ヤバイヤバイヤバイヤバイ!!
さっきの敵たちとは明らかに違う!!
蛙吹さん!!救けて逃げ…!!
「手っ…放せぇ!!」
「脳無」
ーーーー!?
スマッシュを打つと自分の腕が折れておらず、こんな時に“力の調整”が出来たことに驚いた。
うまくスマッシュ決まった!!!
やった…
「え……」
何でコイツがコッチに…!速っ…いつの間に…ていうか効いてない…!?
それにお前は艦さんと戦ってたはずだろ…!?
『ッガハ…ッ』
艦さんの方を見れば大量の血を吐いて地面を這って先生の方へ手を伸ばして気絶していた。
あの黒い巨体も満身創痍で彼女に近付き、やがて覆いかぶさるようにそこから動かなくなった。
「艦さん!?」
「いい動きするなぁ…スマッシュって…オールマイトのフォロワーかい?
まぁ、いいや君」
僕は脳無に腕を掴まれて、やられる…と絶望を感じた時、ドアが盛大に破壊される音が聞こえた。
「!!」
「もう大丈夫。 私が来た!」
「オールマイトーーーーー!!」
「……!」
「あーーー…コンテニューだ」